バーフバリ
2015年 インド映画
監督 S・S・ラージャマウリ
脚本 S・S・ラージャマウリ
出演 プラバース
ラーナー・ダッグバーティ
アヌシュカ・シェッティ
タマンナー・バティア
⚫︎あらすじ
アマレンドラは正義と慈愛に満ちた王子だったが、陰謀により義兄バラーラデーヴァに陥れられ、母シヴァガミの命を受けた忠臣カッタッパによって命を落とした
シヴァガミはその真相を悟ると、命懸けでアマンドレラの赤子・マヘンドラを滝下へ逃がしたのだった
滝の下の村で育った青年シヴドゥが自らの出生の秘密を求め滝を登り、囚われの王女デーヴァセーナを救い、自分がかつての偉大な王アマレンドラ・バーフバリの息子である「マヘンドラ・バーフバリ」だと知る
成長したマヘンドラがバラーラデーヴァの圧政に苦しむ民と母デーヴァセーナを救い、父の仇を討って王国を取り戻す
⚫︎感想
「バーフバリ 伝説誕生」と、「バーフバリ 王の凱旋」、3時間+3時間の合計6時間という長い映画でした。
ざっくり言うと、王家の跡目争いの話しです。
アマレンドラ・バーフバリは、マヒシュマティ王国の建国者ヴィクラマデーヴァ王の息子です。
しかし両親がアマレンドラ誕生前に亡くなったため、王の兄・ビッジャラデーヴァの妃シヴァガミに引き取られ、ビッジャラデーヴァの息子バラーラデーヴァとともに育てられました。
のちに民に愛されるアマンドレラが王位に付きますが、シヴァガミの実の息子バラーラデーヴァは面白くありません。
王になったアマレンドラは旅先でデーヴァセーナと愛し合い結婚します。ですが姑(シヴァガミ)と嫁(デーヴァセーナ)の間に亀裂ができてしまいます。
実はその裏には、バラーラデーヴァとその父ビッジャラデーヴァの権力欲からアマンドレラを陥れ、陰謀によってシヴァガミ自身がカッタッパにアマレンドラの殺害を命じてしまうようにしむけていたのです。
長い映画を短くまとめるのは難しいですが、シヴァガミは、王の子アマンドレラと、自分の子バラーラデーヴァを育てます。
国母シヴァガミの実の子なのに王になれないバラーラデーヴァは面白くありません。そのため陰謀を仕掛けてアマンドレラをおとしいれ自らが王になります。
王では無くなったアマンドレラは、愛する妻と幸せに暮らしますが、人望の厚いアマンドレラに国民の人気が集中してしまいます。
またそれが面白くないバラーラデーヴァは再び陰謀を仕掛けてアマンドレラを亡き者にしてしまいます。
後からそのことを知ったシヴァガミはアマンドレラの子マヘンドラだけは、なんとしても守るため滝下に逃します。
その子・マヘンドラが自分の生い立ちを知り、マヒシュマティ王国に凱旋するんです。
バーフバリとは「腕力が強い者」という意味だそうです。これは、ヒンドゥー語で「バーフ(腕)」と「バリ(力が強い)」という言葉が組み合わさった言葉です。
インドでは、ヒンドゥー教の神々(ラーマ、クリシュナ、シヴァなど)は、単なる宗教上の存在ではなく、日常的に語られる生きた物語のようです。
叙事詩とは、民族や国民の英雄や重要な出来事、神話、歴史的事件などを物語る詩のことです。
子どもの頃から神話を聴いて育つため、誰もがインド叙事詩の世界観に親しんでいます。
インドには、世界最長級の叙事詩「マハーバーラタ」「ラーマーヤナ」があります。勇気、裏切り、愛、戦争、神々の加護などが壮大に描かれ、これらは何千年も語り継がれてきました。現代の映画やドラマも、この構造をそのまま引き継いでいます。
インドでは英雄の物語が希望を与える
社会問題や格差のある現代インドでは、「正義が悪を打ち倒す」「貧者が王になる」といった英雄譚が、多くの人の夢や信仰と結びついて人気です。
インド映画が“現代の神話”になっている
インド映画は、スーパースターを“神の化身”のように描く傾向があります。「バーフバリ」もまさにその典型で、古代神話のようなスケールと精神を現代映画で再現した作品です。
ジャイナ教の伝承上の人物バーフバリ
バーフバリは、兄バラタと王位継承を巡って争ったものの、その後、勝利しても家族間の争いを後悔し、すべてを捨てて修行者となりました。伝説によれば、バーフバリは苦行と瞑想を続け、長い間微動だにしなかったため彼の身体に蔦が絡まり、足元には蟻塚ができるほどだったといわれます。
この姿を再現した巨大な石像が南インドの聖地に建立されており、ジャイナ教徒の信仰の対象になっています。
ですが映画「バーフバリ」はジャイナ教のバーフバリとは関係の無い、強さを強調する名前の主人公にしただけだと言うことです。
正義(ダルマ)
アマレンドラ・バーフバリは、国のため民のために自分を犠牲にしても正義を守る人物です。これはヒンドゥー哲学の中心にある「ダルマ(義務・正しい道)」を象徴しています。インド人はこの姿に強く共感します。
母への敬意と忠誠
シヴァガミとバーフバリの関係は、インド社会で重んじられる「母の神聖さ」を表しています。母はただの親ではなく、神に近い存在として尊敬されます。その母を裏切った兄のバラーラデーヴァとの対比は、道徳と欲望の対立を明確にします。
神話的ヒーロー像への憧れ
インドでは、神と人の境界があいまいです。英雄はしばしば神の化身のように描かれます。バーフバリはラーマ神やクリシュナ神を思わせる存在で、「理想の王」「理想の人間」として人々の夢を背負っています。
インド映画の主役の男性はみんな体格のいいガッシリタイプの俳優さんです。インドでは韓国ドラマのような、シュッとしたスリムな男性より、ガッチリした強そうな男性が人気があるようです。女性は鋭い目をした美人が多く、女王を演じる女優はアラビアンナイトの雰囲気を持った人が多い感じがします。
インドはペルシャ(現:イラン)から来たアーリア人と、もともとインドに居た人とが混在する国です。
そして長い間ペルシャ文化とインド文化が融合したムガル王朝(イスラム)による支配が続いたためボリウッド映画にもアラビアンナイト的な雰囲気がするんですね。
バーフバリの「清らかで勇敢なリーダー像」は理想として憧れられます。インド人からは「もし今の政治家に彼のような王がいたら…」という声も多く聞かれたそうです。
S・S・ラージャマウリ監督作品です
↓


