ロボコップ
1987年 アメリカ
監督 ポール・バーホーベン
脚本 マイケル・マイナー
出演 ピーター・ウェラー
殉職した警察を民間企業のオムニ社がサイボーグ化して最強の警察官を創り上げた…
⚫︎あらすじ
正義感の強い警察官マーフィは、凶悪な犯罪組織との戦いで惨殺され、殉職してしまう
しかし、オムニ社は彼の遺体を生体部品として利用し、最強のサイボーグ警官「ロボコップ」として蘇らせた
驚異的な戦闘能力と記憶装置を武器に、ロボコップは街の犯罪を次々と壊滅させていく
しかし、任務をこなすうちに消去されたはずの「人間としての記憶」が蘇り、自分を殺した犯人への怒りや家族への想いに葛藤する
少しだけ記憶を取り戻した彼は、自分を殺害した組織の背後にオムニ社の副社長が潜んでいることを突き止める
企業の癒着と巨悪を暴くため、ロボコップは警察の相棒ルイスと共に最後の戦いに挑んでいく
⚫︎感想
40年前の映画だけど面白い!実によく出来ていると思います。
まず、「民間が警察の仕事をする」って言うことからアメリカっぽいです。
そして、とにかく金になることは全てビジネスに変換して、市場を創り出す!
『イッツ アメリカ』
そしてそして、ロボコップを見たら必ずロボコップの動きをマネしたくなります!
そう、歩く方向に頭を曲げた後に胴体を曲げる動き。
40年後の2026年には、ロボコップにちょっと近いロボットが出来ていますよね。
⚫︎アメリカは警察も民営化?
実際にアメリカの民間企業が警察になって治安維持をすることはありません。しかし、アメリカの治安維持における民間の関わり方は日本よりもはるかに深く、「事実上の民営化」や「民間の活用」が広く浸透しています。
①民間警備員が警察官より多い
富裕層の居住地域など
②民間警察が実際に存在する
民間鉄道警察、キャンパスポリス
③警察から民間に依頼
駐車違反、監視、科学捜査など
⚫︎小さな政府という考え方なの?
小さな政府とは、民間に任せられるものは民間に任せて、国(政府)の経済負担を少なくすること…
アメリカの警察権そのものは民営化されていませんが、背景にある「小さな政府」という思想が、膨大な数の民間警備会社や私立大学警察の存在に繋がっています。
映画『ロボコップ』は、この思想が行き過ぎて「警察すらも効率重視の民間企業に買収されたらどうなるか」を描いた、強烈な皮肉(ディストピア)だと言えます。
⚫︎ 日本の郵政民営化もそういうこと?
小泉純一郎首相が掲げた「官から民へ」「民間にできることは民間に」というスローガンは、まさに「小さな政府」の思想そのものです。
①公務員の数を減らす
当時郵政は公務員の3割を占めた
②資金を官から民へ移し市場を活性化
官の金は官の事業にしか回らない
③民間で競争原理を働かせる
国の経営は倒産しないので非効率
法を遵守し市民を守るはずの警察官が法を破ってストライキを起こさざるを得ない状況と、それすらもビジネスにしてしまう巨大企業の冷酷さ。
まさにこの映画のテーマである「行き過ぎた資本主義への警鐘」を象徴する、完璧に計算された風刺です。
⚫︎ロボコップの中のニュース
映画「ロボコップ」では、たびたび劇中でニュースが流れてきます。そのニュースでは「防衛レーザー砲が演習中に誤射され113人が死亡」とか、「警察のストライキで治安維持に対して市民が不安がっている」とかいうアメリカ社会を風刺するニュースが流れます。
1980年代後半のアメリカが進めていた「戦略防衛構想(通称:スター・ウォーズ計画)」という宇宙兵器開発への皮肉です。
宇宙からレーザーやミサイルで迎撃するという構想は、当時の技術水準では実現が極めて困難でした。1991年に宿敵であったソビエト連邦が崩壊すると計画は中止になりましたが、近年、かつてのSDIに近い構想が再び脚光を浴びています。
トランプ政権下では宇宙軍が創設され、宇宙空間からのミサイル監視網の構築が進められました。「ゴールデン・ドーム」と呼ばれる、全米を覆う新たなミサイル防衛シールド構想を打ち出しており、かつてのレーガン大統領の夢(SDI:スターウォーズ計画)を現代の技術で完成させようとする動きを見せています。
警察ストライキは、1919年のボストンで実際に警察ストライキが起きてしまい、ボストンの街で大規模な略奪や暴動が発生し、最終的には軍隊(州兵)が投入されて鎮圧する大混乱となってしまいました。
ロボコップは、この有名な歴史的事件をベースにして、「もし警察が民営化された未来で同じことが起きたら、企業はそれをビジネスチャンスにしてしまう」というブラックなアップデートを加えたのです。
ロボコップは、こうした社会風刺が全編に散りばめられているからこそ、「時代を予言していた傑作」なんですね。
