Hello everyone!
先日、アメリカから日本に帰郷中の翻訳業に携わる友人に誘われ、横浜で開催されている『生誕100年ドナルド・キーン展』へ行ってきました。
語学や文学の仕事に携わっていなくても、ほとんどの日本人はこの方の名前は知っているはず。ちなみに、東日本大震災後に日本に帰化した彼の漢字名は「鬼怒鳴門」。
1922年にニューヨークのブルックリンで生まれたキーン氏は、飛び級で奨学生として１６歳の時に米国の名門コロンビア大学へ入学。そこで出会った中国人学生の影響を受けて漢字に興味を持ち、その後、街の本屋で出会った英訳版"The Tale of Genji"（ 源氏物語）に魅せられ、亡くなる直前まで日本文学の道へと邁進していくのですが、その後の彼の人生はまさに日本の近現代史の生き証人さながら。
語学将校として太平洋戦争にも従軍、ハワイ島、アッツ島、キスカ島、レイテ島などを経て沖縄本島へ。各地で日本兵捕虜の通訳や戦死した日本兵が残した日記の翻訳作業などを行い、沖縄戦終結後は再びハワイへ。その後、中国の青島へ向かう途中のグアムで玉音放送を聞いたキーン氏ですが、こんな戦時中においても、休暇を利用してハワイ大学で日本文学の研究をしていたのはいかにも勤勉なキーン氏らしいです。
終戦後も学問の道をあきらめず、再びコロンビア大学へ戻り、日本文学の道を極めていきます。（キーン氏は日本語だけではなくフランス語、スペイン語、中国語、韓国語など、多くの言語に通じています。）
その後は日本とアメリカを行ったり来たりしながら、私世代にとってもすでに歴史上の人物として知られる２０世紀の名だたる文学者、文化人、国内外の著名人らとの交流を記した手記や記録写真、その他キーン氏の執筆した著書、翻訳書、研究関連の資料などなど、膨大な資料が出展されています。
彼の偉業は紹介しきれませんので、簡単なプロフィールはこちらのサイトをご覧ください：
日本文学に興味がなくても、語学の仕事に携わる方、語学に興味があったり勉強をしている方、日本の近現代史に興味のある方、平和を希求する方、、、たくさんの方に訪れてもらいたい展示会です。
閉館１時間半前くらいに入館しましたが、時間がまったく足りませんでした。多くの展示物はキーン氏の自筆（彼の美しい草書体で書かれた日本語は必見！）で書かれた文字であったり、日⇄英の翻訳資料、著書など、とにかく文字だらけですので読み始めたら止まりません。資料も惜しみなく提供され、大変見応えのある展示会ですので、時間に余裕を持ってお出かけください。メガネも必携！
この展示会に誘ってくれた友人の大学での専攻は英語でしたが、日本文学の先生に感銘を受けて文学の世界にのめり込みました。キーン氏がコロンビア大学在学中に出会った角田柳作（つのだりゅうさく）先生のような先生だったのかな？などと思いを馳せてしまいましたが、日本文化研究者で教育者でもある角田先生は、受講希望者がキーン氏一人だけなのに"One is enough."と言って快く授業を引き受けてくれたこともあったそうです。学生時代にそんな恩師に出会えた友人やキーン氏をちょっと羨ましく思いました。
トム・クルーズの通訳をつとめたこともある友人の語学力を支えている礎は、やっぱり母語である彼女の日本語力。閉館間際に出口で仁王立ちしている警備員さんの早く出てくれプレッシャーにも視線にも負けず（＝気が付かず(笑)）、最後まで作品に張り付くように見入っていました。Mちゃん、誘ってくれてありがとう！
Donald Keene’s Special Exhibition is being held at the Kanagawa Museum of Modern Literature, through July 24. There was so much to see from tons of his translation works to interactions with historical figures, so you should allow yourself enough time. Highly recommended.
（県立神奈川近代文学館にて、生誕100年ドナルド・キーン展が7月24日まで開催されています。彼の翻訳作品から歴史上の著名な人物との交流まで見どころ満載ですので、ぜひお時間に余裕を持ってお出かけください。おすすめです。）
元町・中華街駅を出て目の前にあるアメリカ山公園を通り抜け、
外国人墓地を通り過ぎ、
しばらく行くと港の見える丘公園に到着します。文学館は公園の東端にあります。
駅から徒歩で１０分ほど。
横浜駅まで戻り、最後はビールで乾杯！ く〜〜〜😋
東京は猛暑でしたが、横浜は東京よりも２〜３度低く、海風も心地よく感じられました。
散策も楽しく、７月にオススメのスポットです。