第10部 ブルー・スウェアー 第13章 壊れた絆 | ブログ小説 第10部 ブルー・スウェアー
「あー、腹が立つ!!どいつもこいつも!」あずさは腹のむしどころが収まらず苦し紛れにグラスをためらいもなく床に思わず叩きつけた。あずさは何もかもが自分から離れていくようで内心発狂しそうになっていた。今にも誰もいない部屋で顔が歪んでいった。
「どーなっているのよ!?」あずさは発狂したように泣き出した。
「絶対に許さないから!」あずさの手元には<退去通告>の葉書が送られてきていた。

愛那は部屋で女の顔半分が破けた写真
をみていた。顔半分がやぶけているなんてどんな気持ちでこんな風にしたのだろう・・・と愛那はみつめていた。
(あの人にもこんな一面があるだなんて・・・) 写真から流れている空気は明らかに「今」でないことは確かだった。写真から滲みでる時間は明らかに今、流れている時間ではないことは明らかだった。
「何をみているの?」愛那の背後から真一の声が聞こえてきて、ビクッとした。愛那は背中に何か殺気だつような気配を感じて瞬間的に無意識にビクッとした。
「何をみているんだよ!?」真一の低い声に愛那はゆっくりと振り返った。
「・・・」愛那は心臓が止まるのではないかというほど<ドキッ>としていた。それは<LOVE>なドキッではなく恐怖の意味あいで言い知れぬ気持ちだった。愛那の表情(かお)をみて、真一は我に帰ったようにターンオーバーしたように、クスッと笑った。
「そんな怖い顔をするなよ!」
「えっ!?」愛那はようやく言葉を返せるようになった。
「昔の写真をみていたのか!?」真一はそういうと愛那が左手にもっていた破れた写真を取り上げた。
「どこにあったんだ!?こんな昔のもの・・・」
「鏡の下に落ちていたんです!」
「なんでこんなものが落ちていたんだろう・・・」真一は妙に落ち着きを払いながらいった。それがとても違和感があった。
「これは姉貴や」
「えっ!?」愛那は思いがけない返答に驚きを隠せなかった。
「お姉さん!?」
「外国にいっとるんやけれど、久しぶりにあってな。俺を可愛いがってくれとったんやけどな・・」真一は口元に微笑みを浮かべていた。
「破ったの!?」
「あぁ、ケンカした時に目の前にあった写真をこのヤローっていって破ったんだ・・・」
「・・・」
「変な想像したんだろう・・・」
「・・・」真一は愛那の女心を見透かすようにいいながらも、妙に気が昂っていたのが少し気になっていた。
「俺とケンカしたのを最後に連絡が来なくなった。なんかあったら親父らに連絡がいくだろうし、便りがないのがよい便りじゃないけれど、元気ならそれでいいんだ」真一は愛那にいうと愛那を抱き寄せた。愛那は突然のことに驚きながらもすぐに順応した。
「ずっと側にいて欲しい」真一の言葉に愛那は俊也の存在はそこにはなくて、素直に今度は受け止めることが出来た。愛那は真一の肩にゆっくりと預けた。