「・・・えぇ?俺好みの女の人っているのかな?」
「いやわかんないだろう?いるかもしれないだろう・・・もし、運命のいたずらでそんな人が出てきたらどうする?」
「・・・そしたらあきらめますよ!」
「どっちを?」
「もちろん、あとから出てきた人をですよ!!」
「ホントか?」
「一体何なんですか?当たり前じゃないですか?」思わず俊也は問い返した。
「そうか?あきらめるんだな?なんか世の中の人をみていて、あるとき、ふと思ったんだ。永遠に愛を誓いますと言っておきながら、よくも呆気なく別れるもんだなぁって思うんだよ!」大槻はしみじみとした口調でいった。
「でもそんなものじゃないんですか?」俊也はさっぱりとした口調でいった。
「いや、言葉の意味をわかっていないんだ。永遠に誓うということは神に誓うということなんだ」大槻の言葉に俊也は思わず吹き出しそうになった。
「そんなにおかしいか?」
「師匠がそんなことをいうなんて意外だなぁって思って!!」
「俺だってそれぐらいのことは思う事はあるさ!今はくっついたり、離れたりそれが多いけれどさ、永遠に誓うということはさ、神様に向かって誓うということは俺は約束を破ってはいけない事だって思うんだよ」大槻は少し気恥ずかしそうにいった。
「・・大丈夫ですよ!」
「じゃあ次の質問!!」大槻は矢継ぎ早にいった。
「・・・」
「誰かが犠牲にならない、いやどちらかが何らかのアクシデントに遭遇して犠牲にならなくてはいけない危機が前触れもなく訪れたら、お前は自分の命を差し出してでも守ることができるのか?」大槻は試すような表情でいった。
「・・・多分、そうしますよ!」
「多分って迷うことがあるのか?ええっ?」
「いや、そうなったら自分が犠牲になりますよ!!」今度は俊也はきっぱりとした口調でいった。
「ホントだな?それは神に誓うか?」
「もちろん!!」俊也は大きくうなづいた。
ーそんなものこの世にある訳がないー
俊也の心の中にはふと、相反する声が聞こえたような気がした。