「・・・まぁ、いろいろあるわよ!」あずさはグラスに注がれているウィスキーを飲み干した。
「いろいろですか?」
「シンデレラ物語ではないわよ」
「・・・」
「そんなコネもある訳ないじゃない。コネも財力もない私が何もなくなれる訳ないわよ」あずさはそういう顔には素直さがあふれていた。
「・・・どんな手を使って・・」直美は半ば固唾を飲みながらいった。
「・・・付き合っているの」
「へっ?誰とですか?業界の人ですか?」直美は確信をつくようにきいた。
「いえ、取り引き先の御子息さまと・・スポンサーの取り引き先の息子よ!」あずさは隠すことなくあっけらかんとしていった。
「でも付き合っているんですよね?別に営業という訳ではないですよね?」直美は半ばフォローするようにいった。
「・・そんなものなんじゃない?別に好きで付き合っている訳じゃないよ。取り引き先の息子、30歳の息子と付き合っているのかな?」
「取り引き先って?」直美は固唾を飲んでいった。
「●●会社の専務の息子さんよ。私のファンだったみたい。このドラマのスポンサーなの・・」あずさはつっけんどんな感じでいった。
「・・・でも憧れるなぁ・・。そんな人と付き合えるなんて!」直美はそれでも羨望の眼差しを向けた。
「・・・そうでもないわよ。愛がないのに、仕事のために相手してあげているんだから水商売みたいなものよ!それが一番の苦痛かな?タイプな男性じゃないし!それに・・・」あずさはいいかけて言葉を濁した。
「・・・それに?」直美は言葉を復唱した。
「・・・相手には家庭があるから・・」
「ええっ?」直美はびっくりして唖然とした。
「だからわかるでしょ?いいもんじゃないのよ!それになんか人間の感情があるのかなぁっていうくらいなんかロボットみたい🤖なのよ!!あんな機械みたいな人に抱かれるなんて気持ち悪いわ。それが代償なのよ」あずさは気味悪そうにいった。
「・・・光と影ってヤツですね!」直美はしみじみといった。
「いいこというわね。まさしくそうなのよ。光と影、プラスマイナス0なのよ」あずさは放心したようにいった。
「でもドラマが終わったら別れるんですよね?」
「当たり前じゃない?今だってイヤなのにさ」あずさがぶっきらぼうにいうとカバンからハンカチを取り出したとき、あずさのカバンがエナメルのカバンであることを直美は見逃さなかった。
「センパイ!!それはエナメルじゃないですか?」直美は目ざとくいった。
「まぁね!」あずさはニコッと笑った。
「やっぱりいいなぁ・・エナメル❣️」
「そんなことないわよ!!先輩が買ったんですか?」
「まさか・・・買ってもらったのよ!」あずさはにべもなくいった。
「それって、それって、本気と書いて本気(マジ)というヤツじゃないですか?」直美は茶化すようにいった。
「付き合ってやってんだから、これぐらい当たり前じゃない?好きじゃないのにさ!!」あずさは少し動揺しているかのようにいった。そういいながら直美は直感的に女心を感じずにはいられなかった。
(ホントは・・・)直美は疑惑のまなざしを心の何処かで向けていた。
「愛人でもいいからシャネルを買ってくれる男になりたいです。私は愛人にさえなれないんです!童顔だし」直美は拗ねるようにいった。
「・・・私はイヤになった。夢が汚れる!でも何のコネもないんだ!!道はないのよ。道なき道をかき分けてあるいているのよ!あっ、あの子、快復したの?助かったみたいよね。親から聞いたけれど。最後に会ったとき、私のことを冷ややかな目でみていたわね!」あずさはそういうと苦笑した。
「ああいう子なんですよね。正方形みたいな子ですから!!」直美は少し醒めたような顔でいった。
「正方形?」あずさはおつまみを口にしながら少し吹き出しそうになった。
p.s
今日、歩いていたら、ふと見上げると東京タワー。こんな所から見えるなんて・・・。最近、美しい人に出会いました。ホント心が綺麗な人に出会い、、こんな人が世の中にいるんだぁってびっくりしました。その人のおかげですっごい落ち込んでいたのが、みるみる回復をしました。いるんですよー!こんなハイリスク、ノーリターンな私を受け止めてくれる人が・・・!!ほんと、神様みたいな人もいるんですよね。なんかホントに不思議・・今思うと、なんかドラマみたいと思えてきます。苦しいことがありましたが、その方のおかげで元気になりました。なんかすごいわ!!すごい大物だと感じる今日この頃です📝
こないだ作ったケーキでティータイムです。