第10部 ブルー・スウェアー 第6章 地獄界の住民たち | ブログ小説 第10部 ブルー・スウェアー

「どうした?」太一は急に見知らぬ画面がうつっているのをみて、不思議そうに質問した。

「ヴォイスレコーダーのアプリです」

「ほぉ〜」太一は挑戦的な顔でニヤリと笑いながらいった。

「今からこのしょぼい若造の青い誓いをこのヴォイスレコーダーに収めますよ!!」俊也はそういうと赤いマークのボタンを臆面もなく押すと録音のマークが流れ始めた。

「さっ、おまえは誓うんだ。22歳の誓いというヤツだ。ここに証拠として残すんだ!!」太一がまるでどこか芝居がかったようにいった。

「俺は、愛那をどんな事があっても守りぬくと誓います!」

「・・・どんなことがあってもか?」太一は念を押すようにいった。

「・・ええっ、どんなことがあろうとも!!」俊也は強気に答えた。

「他にもっといい女が突然現れたら?」

「今日の誓いを忘れることはなく、原点にもどり、手をだしません!」

「もし、変な男が忍びよってきたら?」太一はニヤリと笑いながら意地悪そうにいった。

「そ、それは、そうなって見たときじゃないとわからないけれど・・・でも、そうならないように気をつけるし、彼女が俺を捨てることはあっても

俺から彼女を捨てることは絶対に捨てるような事はありません。万が一、別れることがあった場合は、愛那がぼくを捨てる時です!」俊也は言葉に詰まりながらも答えると太一はニヤニヤと笑っていた。

「そうか?でも捨てられた後にまた元に戻りたいといったら?捨てられたら、はい、終わりというのか?」太一はニヤニヤと笑いながらいった。俊也は言葉に詰まりながらもしどろもどろになりながらもいった。

「そ、そのときは、受け入れますよ!どうしてそんなコアな質問するんですか?」俊也は意地悪な質問に答えさせようとする太一に反問した。

「いや、すぐに別れるのなんだのって簡単に別れちゃうのが多いんだ。喧嘩したあと、何かあったあとにどうするかが大切なんだ。別れることは簡単なんだ!」太一は俊也に反問されて、とってつけたようにいった。

「・・・僕から別れることはないですし、万が一そんなことがあっても、僕はいつでも受け入れますからね」

「ホントだな?」太一は念を押すようにいった。

「一体どうしたっていうんですか?」

「いや・・世の中は<永遠の愛を誓う>と神に宣言をしていて、いともあっけなく別れてしまう人が多いからな。神に愛だのと誓っておいて、いとも簡単に約束をやぶってしまうなんて、神様との約束をやぶっているようなものじゃないか?」

「・・・考えすぎですよ!」俊也は笑いながらいった。

「そうか?考えすぎか?」

「そうですよ。そこまで深く考えてる人なんていないんですよ。見かけによらず考えるタイプなんですね」俊也は茶化すように笑った。

「別にクリスチャンではないし、神仏を崇拝するという訳ではないけれど、やっぱり人間にはどんなことがあっても守るべき誓いともいうべきものがたった一つ必要だと思うんだ。それがなかったら生きていたって仕方ないんじゃないかって思うんだよ。1つとは限らないけどな?」太一は真顔で諭すようにいうと、俊也は思わず吹き出して、ご飯つぶを口から出てしまった。

「俺は真剣にいっているんだぞ!」太一は急にムキになって反論した。

「柄にもないことをいうから笑っちゃいますよ。師匠はそんなロマンチストな部分があるなんてびっくりしましたよ!」俊也は思いっきり笑った。

「おまえ、よくも笑ったな!!俺だって守るべきものが40すぎてできたさかいな。それまで、傍若無人で失うものなんてなかったが、そんな意味がわかるようになるまで時間がかかったさ。あんな世間を騒がせた事故から奇跡的に生還したんだ!!しっかりしなきゃな!」太一が事故の話を持ち出すと俊也の表情(かお)が一瞬にして険しい顔に変わったが太一は臆することなく話を続けた。