第9部 幻(フレア) 第20章 述懐 | ブログ小説 第10部 ブルー・スウェアー

真波は車を運転していると、スマホが鳴っていた。真波は鳴り続けていたスマホをみると、父親の孝介からだった。

「お父様、今、向かっていますわ。ちゃんとお花も買いましたわ。もう少しで着きますわ。もうじき病院につきますわ」真波は病院から少し離れた駐車場に車を止めると花束を持って車に降り立った。病院に向かう道すがら真波は何気なく横をみると、電信柱の陰に男女が抱き合っているのがみえたけれど、顔は見えずにいて、通り過ぎようとした時、電信柱の向こうに父親の孝介が直立不動になって立ち尽くしているのが見えた。

「お父様!!」真波は笑顔で蒼ざめた顔で立ち尽くしている孝介に声をかけたが、真波の声など耳に入らないと言わんばかりで唇を噛み締めて紅一点眺めていた。

「お父さん・・・」真波は孝介に近寄っていくと、電柱に隠れていた悠人とみずほが抱き合っている姿が真波の視界に入ってきて、真波は手に抱えていた花束が腕から滑り落ちて、地面に散らばった。真波は思わず両手で口を塞いだ。悠人もまた蒼ざめた表情で金縛りにあったように動けずにいた。後ろを振り返ることが怖くて、少しだけ顔をあげて、前を向くとそこには関根孝介が今までみたことのような鬼のように悠人を睨みつけていた。悠人は動けずにいた。


俊は走ってみずほのアパートに向かっていた。店を無断欠勤をしていたことを知り、みずほに電話を数回かけても出る事はなかった。俊はあの男からみずほの監視を頼まれていた。逃すような事でもあったら自分がやばいことになると思い、慌てて寮という名のボロアパートに走って向かった。

俊はみずほの部屋のインターホンを鳴らしたが、反応がなかった。ドアのノブに手をかけ回してみたけれど、鍵はかかっていた。

<ゴンゴンゴンッ!!>俊はドアを叩いた。

「いるのか?いるなら出なさい!」俊は大声でドアに向かって怒鳴ったが反応はなかった。俊はポケットからスペアキーを取り出すと、躊躇いはあったけれど、ドアに鍵をさして、ドアを開けると、ガランとした部屋には誰もいなかった。もともと物がない部屋だったからただ出かけただけなので、出ていったのか判別はつかなかった。

しかしよくみると、玄関には赤いハイヒールが片方だけ置かれていた。

俊はそのハイヒールを苛立たしげに手に取ってしげしげと眺めていた。

「ふざけんなっ!!」

「畜生!!」俊は地団駄を踏んだ。俊は地団駄を踏みながらもみずほのような小娘に欺かれたような気持ちになり苛立ちを隠せずにいた。


つづく、、



p.s

昨日と今日は意外と気持ち的にのんびりしておりましたが、でも疲れた〜〜!!今日は短距離移動するだけで暑すぎでトロけるチーズみたくなっていました💦あついよー、、トロトロ。しかし、幻の終了までカウントダウンが始まりました。確実には8月中には執筆が終わる予定。そして、次作は「極限」まで自分を追い込み、渾身の最高傑作を書きますっー!!

はずかしさとか、いろんな思いを捨てて、「極限、極限、そして極限まで」自分を追い込んで書こうと思います。そして、強くて、よい作品を書いて、夢に大きな前進をかけたいです。


さわやかで当たり障りがない物語など大嫌いなのだっ!!