第9部 幻(フレア) 第16章 誰かのシナリオ | ブログ小説 第10部 ブルー・スウェアー
「・・・」悠人は黙りこんで聞いていた。

「その子の親はカンカンさ。当たり前だろ?工場の近くで遊んでいただけで大爆発の末に亡くなったんだから。そして裁判になった。ただの事故ならそれで終わりだったんだけれどな、そうはいかなかった。重大な落ち度が工場にはあったんだ。だから大変だったんだよ。責任を問われたら、業務上過失致死になるだろ?当時あの工場を仕切っていて、指示を出していたのはおまえの父親さ。でもいざとなったら、あいつは自分に責任はなく、そんな事実はなかったとシラを切って当時は私は現場の統括をしていて、だから私が指示をだして、危険な違法な成分の材料を裏手に隠していたという事実を作りあげて、私に全ての罪を擦りつけた。おまえの父親というヤツはさ、そういとも簡単に手のひらを返せるヤツなのさ。関係のない人間に冤罪を被せるヤツなのさ」添田は遠い目をしながら俯きながらいった。

「・・・それは、知らなかった」

「私はそれでも擦りつけられた罪を被ったよ。そして、会社でもいろいろ揉め事が起こる度に、私がまるで盾のように使われて、従業員が過労死した時も何故か私が裁判に呼ばれた。あいつは誰かに評価されたり、賛辞を受ける時だけは高々としているけれど、都合の悪い時だけはよく逃げるし、責任転嫁はするし、そういうヤツだってわかっていても、アイツとは同じ野球部で一緒に甲子園を目指した仲だったし、家族と折り合いが悪くて1人でふらふらしていた俺に自分の会社で働けっていって拾ってくれた事もあったから、目を瞑っていたんだ。いろんなことを。子供が事故で亡くなったことだって、俺はそんな成分が工場の裏手にあることさえ知らなかった。それでも俺が罪を被って、被害者の両親から罵声を浴びせられたよ」添田は急に涙目になっていった。

「それは全く知らなかった。親父はいつも仕事ばかりしていて、一人息子の俺とさえちゃんと話したことがなくて、俺はいつも添田さんを父親以上に親だと思っていた。当時幼かった俺と父親のように優しくしてくれたのは俺を利用するためだったのか?」悠人は長年の心のわだかまりを解消したいかのように真摯に聞いた。

「・・・そうだな。半分はそうかもしれないし、でも、君をみていると、自分をまるでいるような気がしていたのかも・・」

「どういう意味だよ」悠人はムッとしたようにいった。

「・・・孤独な人間だっていうことだよ」添田は悠人から目を逸らさずにいった。