悠人はやるせない気持ちで俯きながら歩いていると、真波の父親・関根孝介が通りすぎた。
「君は蔵田君じゃないか?」関根は穏やかな笑顔で元気がない悠人に声をかけると、悠人はのろのろと顔を上げると関根に気がつくと、取り繕うように急に作り笑顔を浮かべた。
「あっ、お父さん、どーも。お世話になっておりますっ」
「どうしたんだよ。こんなところで。今日はなんか用でもあったのかい?」
「えっ、まぁ・・・。ちょっと」悠人はおどろおどろ答えた。
「どんな用事なんだい?」関根は優しくいいながらも、突っ込んで聞いてきて少し悠人は戸惑い動揺した。
「あっ、こないだ来たとき忘れ物をしたみたいで、取りにきただけですよ」悠人は取り繕うように愛想笑いを浮かべた。
「そうか。忘れ物はあったのかい?」
「ええっ。お陰様で・・・」悠人はそういうと関根にぺこりとお辞儀をするとそそくさとその場を立ち去っていく姿を関根はなんとなしに見届け、永野が歩いていくと、経理室のドアから眼鏡をいじりながら悠人の去っていく姿をじっーと眺めている永野に関根は声をかけた。
「永野さん、どうかされましたか?」
「これは、これは、先生」永野は少しかしこまったような顔でいった。
「蔵田君がどうかされたのかな?忘れ物を取りにきたといっていたけれど・・」
「忘れ物?そんなもの取りにきていないですよ。別件できたのですよ」
「・・・別件って何のことかな?」関根が永野に問いかけると永野は少しバツが悪そうに顔をしかめた。
悠人はそそくさと病院から出ようとした時、一台のタクシーが目の前に止まりドアが開いた。悠人がタクシーを避けて通り過ぎようとした時だった。
「あらっ、悠人さんっ!」悠人は名前を呼ばれて思わず振り返ると真波が立っていた。
「今日はどうかしたの?」真波は微笑みながら聞くと、悠人は少しめんどくさそうに作り笑いを浮かべながらいった。
「忘れ物を取りにきただけさ」悠人は一言そういうとめんどくさそうに小走りにその場を立ち去った。真波はそそくさと立ち去っていく悠人の姿を寂しそうにみつめていた。
経理室から関根が少し固い表情で出てくると娘の真波と鉢合わせになった。
「あっ、お父さんっ!」
「あぁ、真波っ!どうした?」関根は作り笑いを浮かべると、真波は手に持っていた箱を関根に渡した。
「これ、ママが作ったケーキよ。忙しくしているパパに差し入れなのよ」真波はニコッと笑った。
「パパ、今日、蔵田さんにお会いした?さっき、すれ違ったんだけれど、何だか元気がなかったの。忘れ物があったといっていたけれど、何を忘れたのかなぁ?」
「さぁ、パパもわからん」関根は少し腑に落ちないといった表情でいった。
p.s
お正月が終わり寝てばかりいた束の間の日々にも終わりをつげました。新しい一年が始まりましたね
やはり寝ていられる日々は幸せだとつくづく思いました。こんなこというと非難されそうですけれど(笑)
寝ているってやはり幸せ。ずっと寝ていたいとは思わないけれど、もう少し寝ていたいと思いました。スピリチュアリズム的には「魂が解放されている状態」なわけだから、一番幸せな状態だと思うんですよ(笑)
寝ているって幸せあとゆっくり家のことをやりつつ、好きなこともしたい。。なんかだんだん現実離れしていきますが💦
でも何でかわからないし、何かあった訳ではないけれど、気持ちがなんか爽やかなんですよ。この気持ちで新しく未知なる1年も新作も含めて創作活動を頑張ります
こんなさわやかな気持ち、ずっと持ち続けていたいね!