第8部 悲しみの雨 第16章 土砂降りの中の懺悔 | ブログ小説 第10部 ブルー・スウェアー

愛歩は警察に行った次の日、涼太が入院しているという病院にむかった。愛歩は病室にいくと涼太は個室に入院していて、愛歩はノックした。

ノックすると、松永舞子が愛歩を招きいれた。酸素ポンペをつけたままの涼太がまだ意識が回復しないままで顔には包帯を巻いて横たわっていた。愛歩は涼太の寝顔をみながらもどこかまだ棘のように残っているわだかまりが渦巻いていた。

愛歩はじっーとその顔を見つめながらも元気だったこの間までの涼太を思いだしてせつなくて泣きそうになった。

「だいぶ容態は安定してきたけれど、まだ、意識が戻らないの」舞子は声を押し殺すようにいった。

「こないだまで頑張っていられたのに、なんか辛いです。あんなに頑張っていたのに!あんな、ひどい・・・」

愛歩は泣き出しそうになっていた。

「あなた何かを知っているの?」

「救急車を呼んだのは私です!」

「えっ?あの夜、涼太の身に何が起きていたの?」舞子は愛歩に擦り寄るように近いてきた。

「涼太君は自分が狙われていることに気がついていましたし、いつも昔、あった出来事を嘆いていました」愛歩は鳴き声で真実を吐露した。

「えっ?」舞子の顔が少し変わった。

「涼太君はいつもどこか悲しそうな顔をしていました。そして、過去の何か忘れられない出来事に怯えているようでした」愛歩は言った。

「・・・」舞子は両手で顔を覆いながらも黙り込んでいた。

「あなたは他に何を知っているの?」

舞子は冷静になって尋ねた。

「涼太君は昔の仲間に襲われたんですよ。私はその事実をまだ警察には伝えていません。すごく怖かったから・・」

「・・・・そう」

「昔、何かあったのでしょうか?すごく気がかりです」

「・・・きっと・・・天罰ね・・」舞子は遠い目をしながらつぶやいた。


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