第8部 悲しみの雨 第11章 家族の証 | ブログ小説 第10部 ブルー・スウェアー

弟と向き合ったのは小学校の時以来だった。病院の屋上のベンチで何気に衝撃的にむきあった。

「姉貴、元気にしていたの?」

「・・・まぁ、何とか・・」

「生活に苦しくないか?」翔平は愛歩を少しいたわるようにいった。

「急にどうしたのよ。気持ち悪いわ」愛歩は翔平と隣に座って思わず本音を吐露したが、本音の本音は何を今更、話していいのかわからなかった。

「生活に苦しくなったら言っていいから、少し位なら援助出来るから」

「だからどうしたのよ。何が言いたいのよ」

「・・いや・・お母さんのお姉さんの子供が離婚したの、知っている?」

「えっ?そうなの?知らなかった」愛歩はぼんやりと、ひとみという母親の娘の顔を思いだしていた。確か、愛歩を見下していたようなどこか勝ち気な感じがする人だった。色彩兼備なのよといわんばかりにどこか敷居が高く、上から目線のひとみという親戚に愛歩は苦手意識があり、弟とずっと口をきかなかったみたいにひとみと会話を交わしたのは人生で片手で数えられる位だった。

「それがどうしたの?」

「あの人、子供が2人いて離婚したみたいなんだけれど、おじいちゃんがお姉ちゃんに残してくれようとしているものさえ狙っているよ。子供がいて大変なのはわかるけれど、俺、マジ許せないんだよね。姉さんだって結婚はしていないけれど、苦労しているんだよ。それを・・・母さんをちょろまかして自分のものにしようとなんて、なんか汚いものをみているようで、嫌気がさしたから、何にも知らない姉さんに事実を伝えようと思って」翔平はどこか遠い瞳(め)をしていった。

「ねぇさん、元気にしてた?」

「・・・うん」愛歩はかろうじていった。

「姉さん、僕のこと、恨んでいる?」

「なんで急に・・今更、恨んだって戻るわけではないんだから仕方ないじゃない」愛歩も遠くを見ながらいった。

「俺、冗談じゃなくて、姉さんに幸せになって貰いたいって思っているよ。僕はもうじき今の彼女と結婚する予定だけれど、姉さんにも幸せになってほしいと思う。母親の事は恨まないで、僕から謝っておくよ」

「急にどうしたのよ。気持ち悪い」愛歩は素直に翔平に行った。

「もうじき結婚するといったのは彼女のお腹の中に子供がいてね、もうじき父親になるんだよ」翔平はニガ虫を噛むようにいった。

「えっ?」

「きっと、姉貴はいろいろ精神的につらかったんじゃないかなぁって。だからまだ苦しいんじゃないかなぁって思えてきてさ」

「それと今が何か関係あるの?」愛歩は強がるようにいった。

「あるんじゃない?きっと。過去はみんな捨てて幸せになって欲しい。姉さんの気持ちもわからずに姉さんの為に残そうとしたものまであのひとみとかいうヤツ自分のことしか考えてなくて腹が立つんだよ。言動をよく見ていた方がいいよ」翔太は本音を思わず吐露した。

「あと、母さんには黙っていて欲しいんだけれど、俺も今日は仕事を休んできたから明日から病院にあまり来れなくなるけれど、姉さんに渡したいものがあるんだ。絶対に母さんやあのひとみとかいうヤツには見せないで欲しい。これおじいちゃんから倒れる前に預かってきたものなんだ。忘れないうちに渡しておく・・」そういうと翔平はポケットから小さな紙包みを取り出して愛歩に渡した。

「・・・これ、こないだ、おじいちゃんが倒れる前だったんだけれど、最後にあった時に渡されたもので、愛歩お姉ちゃんに会う機会があれば、渡して欲しいって頼まれたものなんだ。お母さんには見せないで、愛歩お姉ちゃんにだけに渡して欲しいって頼まれたから」翔平は愛歩に手渡した。

「お母さんにはくれぐれも内密に。お姉ちゃんよりもいとこと仲がいいんだから・・じゃあ」翔平は少し微かな微笑みを浮かべるとその場を立ち去った。愛歩は翔平から手渡された小さな小袋をそっと開いた。すると小さな鍵が出てきた。愛歩はその鍵をふいに見つめていた。


p.s

あふれるように書きたいことがあるんですが、、何から書けばいいのかわからないんですよ。この物語のこのラストシーンは誰も想像できないですよ。ラストシーンはいいのですがそこに辿り着くまでが大変ですね。なんか苦しかった。書きながら。苦しくなって、少し書くことをやめて、大丈夫かなぁ、、って思ってまた書き始める。その繰り返し☆とまどいが絶えずあって、というのは、本当に胸にぐっーとくるんですよ。あまり人の死というものに、極力触れたくないわけですよ。でも引っ張られるように書き始めて、なんか胸にせまって来るんですよ!せつなさみたいなものが。

話も途中、おかしくなったり、苦しい。。ここで辞めたら、、私の信用がなくなるし、、本当にどうしよー、、って思いながら不安になりながらも5行は最低でも書こう(それ以上は書くんですが)進めていき、「案ずるがよりが生むが易し」と言い聞かせていた時期があったり(笑)こうみえて安定志向が強い人なんで、見えない何かに恨まれたり、何かタブーに触れて運気が落ちたら嫌じゃないですか?(そういう所にとても敏感なんですよあせる)いろいろ悩んでいた時期もあったり、触らぬ神に祟りなし、じゃないけれどいろいろ考えていた時期がありましたが、でももうじき終わりなんで、、少し肩の荷がおりましたぁ!

今日も昨日も素敵な日でした。感謝☆

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