第8部 悲しみの雨 第4章 許されぬ夢 | ブログ小説 第10部 ブルー・スウェアー

「やっぱり私たちのものだよっ!」
「懐かしいなぁ。タイムスリップしたような気分だな」誠一はしみじみとした顔でいった。
「昔、ここのコテージで紙に願いを書いて、コテージの下の砂に願いを書いて瓶に入れて埋めると願いが叶うっていうジンクスがあったけれど、願いは叶ったということになるのかしら?
あの時のジンクスが本当に叶うなんて凄いわぁ」真広は一つ一つのことに感動しながらいった。
「そっ、そうだな」誠一は少したじろぎながらもいった。
「やっぱりどんなことがあっても信じる気持ちって大切よね?」真広は目力をこめて誠一に向かって呟いた。
「・・・そ、そーだな」真広の言葉に誠一のほうが少したじろいだ。
「何でもそうだけれど、恋に限らずどんなことでも信じる気持ちが大切なのよね。その気持ちは時間がかかってもつながっていくものなのよね。インパルス信号って言葉があるけれど、五感で感じたものってインパルス信号で暗号化されて見えないものとつながるって何かの本で読んだことがあったの」真広の言葉に誠一は少し黙り込んだ。
「好きなものに対する追及は相変わらずだな」誠一は少し分析するように言った。
「こだわりが強いのね。わりきって何でも合理的に生きていける器用な人間じゃないのよね。よく言えば追及型人間というのは凄い成功する人の典型らしいけれど、悪く言えば、柔軟性のない頑固者らしい。扱いづらい。いい面と悪い面が両方あるわ。いいのか悪いのかわからないけれど・・・」真広も分析するように言った。
「それでいいんじゃないのか?今のままでいいじゃないか?」誠一は端的にまとめた。
真広と誠一はコテージから離れると海辺にいき、波と戯れた。波が押し寄せる部分までふたりは時おり靴が水につからないように避けたりしていると誠一が再び波がやってきた時、真広の手を引き、水の中に真広をひっぱった。
「冷た~い!何すんのよ。もぉー!」真広は頬をぷぅーと膨らませた。
「買ったばかりの靴がダメになるじゃないのよ!」真広は海水に靴が濡れて少し不機嫌になりながらも、諦めたように微笑みを浮かべた。誠一は真広の腕を引くと真広はよろけて転んだ。
「きゃああ、何すんのよ!ひどいじゃない?ずぶ濡れじゃないの!」真広は負けじと誠一を押し倒した。誠一も波間に転び、びしょ濡れになった。
「ざまーみろ!」真広は笑いながらいった。
真広と誠一は波間からずぶ濡れで離れると鞄からハンドタオルを取り出して体を拭いた。
「ほらー」真広は少し膨れながらも靴下を脱ぎ、裸足で靴を履き替えようとした時、誠一は真広の手を思わずひっぱった。真広が砂浜によろけながら膝をつくと裸足に砂がたくさんついた。
「ちょっと何なのよー!これいやがらせなの?」真広は少し不機嫌にいった。
「また波に足をつけて洗いながせばいいじゃないか?」誠一は鞄からビーチサンダルを取り出した。
「持ってきていたの。気がきくじゃない?」真広が誠一からビーチサンダルを奪おうとするが誠一はビーチサンダルを後ろに隠した。
「いいから、砂を洗いながしてこいよ」誠一に言われると真広は仕方ないわね、と言わんばかりにズボンをめくりあげて、波間にいき、足を洗うようにぴちゃぴちゃ足を振るった。真広がふと後ろを振り返ると誠一がスマホを真広に向けていた。
「ちょっと何撮っているのよ!勝手に撮らないでよ」
「いいじゃないかよっ!別にさ。写真を撮っているわけじゃないよ。動画を撮ってるよ。真広、可愛いよ」誠一の言葉に真広は笑顔を浮かべながら誠一のスマホにどんどん近づいてくる。
「・・・・いじわるっ!いー」真広はカメラに向かってわ微笑みを浮かべながらどしどし近づいていく。
真広はわざとカメラに向かって「あっかんべー」としてみた。真広はカメラから離れると、誠一から少し離れた所にいき、小さく手をふった。
「ひょほー。今日の海は気持ちがいいですね」真広はおどけたようにいう。
「他にいうことはないのかよ?」誠一は真広に問いかけた。
「えっ?」真広は聞こえないというように耳に手を当てた。
「他にいうことはないのかよ?」誠一は更に声高にいうと真広は一瞬、思案そうにいった。真広は身をかがめながら笑顔でいった。
「今日、またこの約束の海にこれたことが嬉しかった」

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つづく、、

p.s今日、海の写真をアップしたくてでも最近海に行っていない!ということでクロスユニヴースで2010.5.11の鎌倉日和という自分の昔のブログからリユースしましたぁ(笑)海はいいですね。写真をみてたらあれから6年が経つんだぁーって懐かしくなりました⭐️よく遊んでいたなぁ。
真広って純粋だよね!
私には出来ない純粋さだとつくづく思いました!
海辺のシーンを書きながら書いている私が恥ずかしくなりました!笑