雨が降っている。霞む街の光が妖しげに二人を照らしていた。カン・ヨンクと由花は高級ホテルのスイートルームで向かい合っていた。
「ほう、旦那の恋的を痛めるお願いだなんて君も随分汚い女だね」
「お願い、私、、、もうだめ」由花は頭を叫びながら塞ぎこんだ。
「君に魅力がないってことなんじゃないの?逆恨みしちゃダメだよ。君に恨まれて殺されたりしたら彼女が可愛そうすぎるね」塞ぎ込む由花を見下すように馬鹿笑いしながらすぐに真顔になって言い放った。
「おまえ何様のつもりだぁ。金にも嫉妬にも汚い畜生が!!俺らチャイニーズは日本人なんかよりずっと優れた生き物だ。金に汚くて見てくれだけで薄っぺらな腐った生き物とはここが違うよ」カンは自分の頭を軽くこずいた。
「けれど、おまえは日本人以下だよ。馬鹿にもほどってもんがあるよ」
浴びせられる屈辱的な罵声に唇を噛み締めながら由花の胸に去来した思いがモノクロ映画のように写し出されていた。