打上げ花火の恋 | 翠色の部屋

翠色の部屋

Curiosity is all of my life

2005年1月に公開された黒木瞳、岡田准一主演映画『東京タワー -Tokyo Tower- 』(源孝志)。
なぜだか公開当時劇場で見ている。
年の差がクローズアップされた黒木瞳、岡田准一の主役より、寺島しのぶ松本潤のコンビがとても良かったと記憶している。
wowowで放映されるというので、もう一度久しぶりに見た。

製作委員会に名を連ねる広告会社等の綿密なマーケティングリサーチ&ロケハンされたであろう、東京タワーの見えるホテルやバーで、透(岡田)と、母親(余貴美子)の学生時代からの親友・詩史(「シフミ」と読む。黒木)との夢のような逢瀬が繰り広げられる。
バックミュージックはノラ・ジョーンズのアンニュイなヴォカール。
黒木のセリフのグズグズさはさておき、この当時の岡田クンはなかなか美しい。
もちろん、いまでもじゅうぶんカッコいいんだけどね。
透の遊び人の友人、耕二(松本)がまたいい。
普段の地そのままなのではと思わせる自然体の演技がなんともみずみずしい。
相手役の専業主婦・喜美子(寺島)の演技がいいのは言うまでもない。

これは製作者サイドの意図したものなのかどうかわからないのだが、前半のプロモーションヴィディオのような(作られた)美しいシーンの連続との対称を狙ったのか、後半突然ふたりに訪れる修羅場。
これが酷い。
透の母親役・余の田舎芝居鼻白んだよ。
シャンパングラスの中身を親友の顔にぶちまける。
あまりにも、ステレオタイプ過ぎやしませんか。
それに、詩史の夫・浅野(岸谷五朗)の役者本来の脇でキラリ光る巧さを活かしきれていず、もったいない。

今のわたしには、夫を捨て、仕事を辞め、透の留学先のフランスにまで追いかけて行ってしまう詩史の突飛な行動は、ちょっと理解できない。

マツジュン萌えを引き摺り、原作も読んだが、この作家の話はいつもそうだが、少女漫画のようで、登場人物それぞれが内包する葛藤が読み取れなかった。

耕二と喜美子の、ひと夏の、激しい、花火のような恋がとても美しく感じられる夜だった。