イルジメ〔一枝梅〕 公式応援ブログ -23ページ目
<< 前のページへ最新 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23

「イルジメ」仕事の裏で

皆さん、アンニ・ヨン・ハセヨン(ヨンはヨンのヨンですよ!)


更新が遅れてしまいました。ので、一度、気を引き締め直して。


が、その前に。実はつい先ほどまで、「イルジメ」DVDパッケージ用のあらすじ原稿を書いていた(遠回しに更新遅れの言い訳・苦笑)。1200字内という制限の中、どのエピソードを入れて、どのエピソードを省略するか、全体のどこまで書いて、どこを濁すか(要はどこまで明かすか)、う~んと唸りながら、書いたり消したり直したりしていた。

いろいろな物語が同時並行に進み、それぞれに絡み合っているものだから、そしてまた、それがのちの話に繋がっていくものだから、あ~これは省きたくないなぁ、でもこれを入れると文字数オーバーだなぁ…と、頭を悩ませながら、どうにか書き上げた次第。この仕事のために、再度見直して、エピソードをピックアップし、前後関係を整理し、ついでにブログのネタを拾い上げ…なんていう作業をしていたのだが、これをやりながら「すげぇよ、イルジメ。やっぱ、すげぇよ!」と妙な若者言葉を呟きながら(若者じゃないのに)、感動していたのだ。


こういう仕事はこれまでも多々やってきたのだが(そして現在、他にも某作品をやっているのだが)、これをやると嫌が上でも、その作品の上手さ、拙さを知ることができる。あらすじをまとめやすいから良い作品というわけでもないし、逆にまとめにくい(入り込んだ)作品が良い作品というわけでもない。このあたり説明するのが難しいのだが、エピソードが見事にリンクしたりすると、やはり「お~」と唸らされてしまう。エピソードのリンク? 分かりにくいですよね…例えば、「イルジメ」で言うと、ヨンにとっての父子の物語、シフにとっての父子の物語が同時に進んでいるのだが、別の角度で描かれながら、ある回でテーマがぴたりと重なる時があるのだ!そういうリンクを幾つも発見し、そのたび、「すげぇよ、すげぇよ」と興奮するわけである。まぁ、そんな作業をしていて、更新が遅れたのだ(言い訳…)。その上、同じ作品を飽きずに繰り返し見て、「やっぱりヨンが好き!」「ジュンギ、君はやっぱりいいよっ!」と、もう何度目かの恋に落ちるのである。(だって、役者として「すげぇよ!」)


そうそう、このブログ、携帯でも見られるように、という当初の目的を忘れ、第1回目は思いっきり長文で書いてしまいました。すみません…。しかし、ブログって楽しいです。楽しいというか…普段の仕事では文字数の制限があり「書き足りない!」と始終唸っている身としては、文字数の制限がないこの空間は、もういくらでも書けるわっ嬉しいわっ!っていう感じでして、ついつい我を忘れて書き過ぎてしまうのです…。なので、考えました。一つのテーマについて、細かくアップしようと。これなら好きなだけ書けるし、こまめにアップもできる。皆さんには少しずつ読んでもらえるので、疲れることもない!まぁ、仕事もあるので、毎日アップということはできないでしょうが、書きたいことは多々あるので、時間の許す限り書けたらいいなと。


で、次回の予告は「両班社会ってどういうことよ?」です。近々アップできるか??


それでは、今日のところはとりあえず、アンニ・ヨン!(ヨンはヨンのヨンですよ!って、しつこい?)







「イルジメ」布教委員会発足の巻き

昔、一人の義賊、ありにけり。

貴族の家に忍び入り、盗みし場所に梅の花 一枝、残し去る。

かの男、人は「一枝梅(イルジメ)」と呼びにけり…



古典風に始めてみたが、とにかく義賊である。…そう言われても、ピンと来ない人は多いだろう。「正義」の「義」に、「盗賊」の「賊」…日本で言えば、ネズミ小僧や石川五右衛門、西欧だとアルセーヌ・ルパンやロビン・フッドといったあたり。盗人だけど弱者の味方、権力に物を言わせて金を貯め込む悪代官のような輩たちを成敗し、彼らから盗んだ物を貧しい人たちに分け与える、そんな粋な盗賊が「義賊」と言われる人たちだ。ワルなのに実は正義、しかも自分の正体は決して明かさず善行を施すってあたりが、女子はもちろん、男子にとっても“シビレる”もので、古今東西、義賊ヒーローの人気は高いのである。

で、朝鮮半島の義賊代表がこのイルジメである。

初めにも書いたが、義賊である上に、盗んだ場所に頂戴したブツの変わりに“梅の花 一枝”を残すという逸話つき。なんと粋な! 

韓国人なら誰でもが知っているという古典ヒーローをドラマ化したものが、この「イルジメ」だ。ご存知の方も多いだろうが、このドラマは韓国で2008年に話題を呼んだヒット作で、私の周囲でも多くの人がハマって見たと聞く。ちなみに、この「多くの人」には「男性」も含んでいる。『朱蒙』をきっかけに韓国ドラマにハマったという男性諸氏の話はよく聞くのだが、『イルジメ』はまた別の魅力で引きこまれると彼らは言う。しかも、「時代劇」という感覚で見ているわけではないらしい(というか、むしろ現代劇を見ている感覚)。「時代劇」ならいざ知らず、韓国ドラマに縁のない男性達が、「イルジメ」にハマり、泣いたと語る。

だって、面白いから(物語が)。

だって、切ないから(主人公が、そして取り巻く人々が)。

だって、愛おしいから(すべてのキャラクターが)。



って言われても、見ていない人には分かりませんよねぇ。

挨拶が遅れました。皆さん、はじめまして。イルジメ、始めました。「冷やし中華、始めました」みたいですが、狙いました。

…下手な冗談はここまでにして、「イルジメ」です。本日、5月2日からレンタルが開始(セル版DVDも6/3にリリース)、6月15日からは地上波放送もスタートです!

「だから何?」って思われる方、「ちょっと気になってるのよ」という方、「もう見ました。大ファンです!」という方、いろいろでしょう。でもまぁとにかく、一度でいいから見てほしい。一度見た人は、もう一度見てほしい。で、見て頂くために、わたくし、立ち上がることに致しました。自称『イルジメ』布教委員会会長! もちろん、誰かの差し金で動いているわけではありません。ただ単に、このドラマが好きなんです。で、その魅力をちゃんと伝えてあげたいんです。1本のドラマについて、どれだけ書けるのか、ある意味、ライターとしては賭けでもあったりして…(生業がライターでして)。でも、書きたいんですよね、「イルジメ」に関しては。いくらでも書きたい! そう思わせてくれるドラマは、考えるほど多くないものです(私の場合、韓国ドラマに関してはこのドラマを入れて5本くらい。同じ作品を何度も書いているうちに、ネタもつきますから)。また、どんなに好きでも何度でも見ていられるドラマも、そう滅多にありません。

というわけで、少しでも多くの人たちに見て頂くべく、またすでにご覧になった方にはよりディープにハマって頂くべく、このドラマの魅力を少しずつ紹介、解説していきたいなと。といっても、あくまで私個人の見方ですから、人によっては違う受け止めもあると思います。そこのところは、ご了承を。ネタバレにならないように、レンタルや地上波放送のことも考えつつ、ちまちまアップしていこうと思いますので、ご興味のある方はぜひお付き合いくださいませ。

あぁ、早くも前置きが長いです。無粋だなぁ。「盗みの現場に梅の花、一枝を残して去る」イルジメのように、粋な文章を目指さなくては…。

では初回ですし、まずざっくりと「イルジメ」とはどんなドラマなのかを…。

一言で言ってしまえば、1人の青年が父親を殺した仇を復讐するべく、義賊になっていく物語です。が、もちろんそんな一言で片付けられるような簡単な話ではないし、また、悪人を成敗する痛快物語!みたいな単純なドラマでもありません。なので、すみません。冒頭から義賊義賊と「義賊ヒーロー」であることばかりあおってしまいましたが、通常のヒーロー物とは違うということを、まずお話しておきたい。確かに義賊としても活躍も描かれるし、それも面白いのだが、「痛快」とか「正義」とか、そういうものとまた違ったところに、むしろ引き込まれるのです。

例えば、主人公ヨンが義賊イルジメになっていくまでの過程。ヨンは初めからヒーローなわけではありません。ごく「イマドキ」の若者で、賭博場と妓生館に入り浸っているような、しかも口が上手くて悪知恵も働くそんなヒーローの「ヒ」の字もない青年です(笑)。が、実はヨンと呼ばれるこの青年、正しくは隠れた王族イ・ウォノの息子イ・ギョム。つまり両班で、かなり高貴な家の出なんですねぇ。そのギョム少年は、父が王(仁祖)に対して謀反を企てたという罪により暗殺される現場を目撃してしまいます。そのため家族は離散、王に命を狙われる身となったギョム少年は、逃走する中、様々な心的苦しみから記憶喪失になるのです。わずか8歳の子供が経験するには、あまりに衝撃の大きい出来事だったわけ。で、元コソ泥のセドルにより助けられたギョムは、ヨン(龍)と名づけられ、セドルとその妻タンの息子として育つのである。そして13年ののち、南門市場を庭に成長したヨンは、ギョムが生きているという情報を得た王の命令によってその手下たちに追われる中、記憶を取り戻すことになるのです。(ここまでがハラハラもの!)

そして、すべてを思い出したヨンは、父の復讐を果たすべく、仇の目印である剣(ある模様が刻まれている)の持ち主を捜すため、盗賊という道を歩き始めのです。もちろん、周囲の人を巻き込んではいけません。だから、彼は昼はヨンのままを装い、夜は義賊イルジメとして、たった一人で活動していく…。



というわけで、様々な悲しみを背負い、青年は義賊となっていくのだが、この過程には「え~?!」という容赦ない出来事もあり(号泣)、また“地道な泥棒訓練”といったやや間抜けで可愛い場面(爆笑)もある。普段は勉強嫌いで遊んでばかり、始終、親から箒で叩かれまくっている(笑)ような青年だが、実は心の中では幼い頃の傷を抱えている。育ててくれた親への感謝や思い遣りから、記憶が戻ったことは話せないため、これまで通り「陽気なヨン」を装い、ただ一人、義賊への道を進んでいくのだ。見ているこちらは、そのヨンの事情を知っているから、明るく振る舞えば振る舞うほど、どうしようもない切なさに胸が締め付けられてしまう。

さらに、赤の他人の子供であるヨンを「実の息子だ」と装って、無償の愛を注ぐ父親セドルにも泣かされること度々。父も息子も、互いを思い遣って、嘘をつきあうのである。それも、底抜けに明るく、バカ言いながら…。2人の軽妙なやり取りに毎度笑わせられるのだが、一方で、それぞれの事情を知っているから、どうしようもなく切なくなる。父は息子に血の繋がった実の親子である振りを、息子は実の親子だと信じている振り(つまり記憶が戻っていない振り)をして、いつも通りを振舞うのである。実の親子以上に深いその情愛に笑いながら、涙するのである。書いていて、泣けてきた…。



そんなわけで、ヒーロー物語ではあるが、チュモンのような歴史ヒーローとは異なり、より身近で現代的な感覚があるため、ぐんぐん思い入れしてしまう。また、義賊という意味では日本版『ネズミ小僧』と言えるが、昼行燈で夜はヒーローと、普段は正体を隠しているという意味では『必殺仕事人』の要素もあり、幼い頃に受けた心の傷ゆえの復讐を誓い、自らは「人を殺さない」(←これ大事!)という意味では『バッドマン』とも言えて(が、あれほど冷たく暗くはない)、キャラクターとしては『ドラゴンボール』っぽくもあったりして、様々な要素を持った“ヒーロー”になっている。とにかく、主人公ヨンがたまらなく魅力的なのだ! あ~、やっぱり見てもらいたいなぁ。

さらに、全体を通して、涙と笑いのバランスが絶妙で、復讐劇であるのに重過ぎず、笑わせたり心温まるポイントがありながら、ズッシリしたテーマ性を持って心を揺さぶってくる。だから、泣いて泣いてたまらないけれど、何度でも見ることができちゃうのだ。



実は、私は韓国で放送された当時、リアルタイムで視聴してハマって以来、仕事の関係もあって、すでに10回以上、このドラマを見ているのだが、今回、はじめて吹き替え版で見直してみて、ちょっと感動している。韓国ドラマの吹き替えは、正直あまり好きではなかったのだが、字幕ではどうしても略されてしまう前後の説明がセリフになっていて、物語の流れやキャラクターたちが置かれている状況がより明確に分かるようになっている。また、映像に集中できるため、役者たちの細かな表情や動き、画面の中で展開されている事件をがっちりと見て取ることができる。それによって、あぁなるほど!という発見が、今更あったりして、吹き替え、あなどれじ!と感嘆しているほどだ。声優の演技、声のトーンも、各キャラクターに合っていて、個人的には合格点! なので、吹き替え版を見て、字幕版を見る、というやり方で、再度見直しているところである。(って、どんだけ見るのか?)でもねぇ、本当に飽きないのである。繰り返し見ちゃうのである。で、見るたびに、いろんなこと(それぞれのキャラクターの心情とか)がより深く理解できるようになり、あぁそうだったか!と再び感動するのだ。

そんな風に、「イルジメ」は深く何度も見られるように作られたドラマなのである。ほんと、名作だと思う。

あれ…書いているうちに、こんなに長くなってしまった。しかも何を書いていたか、分からなくなってきてしまった…すみません。

次回以降、ちゃんとテーマを設けて、解説、紹介していきたいと思います。

ではでは、長々とありがとうございました。

次回また、会いましょう。アンニ・ヨン!














<< 前のページへ最新 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23