古代ギリシアの哲学者、ソクラテスは言いました。
~人間の過信や傲慢を戒め、人知を超えてはならない~
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石っぽいソクラテス
「無知の知」で有名なソクラテスは「自分は無知である」と思っていました。
しかし「ソクラテス以上の賢者は一人もない」という噂を聞き、
驚いたソクラテスは、
世に言う賢者たちが、どれほど真実を捉えているか明らかにしようと考え
数々の「問答」に挑みます。
一休さんみたいですね (^O^)
評判の高い政治家や詩人たち・・・。
彼らは実際に話してみると、
確かに高い技術や知識を持っていました。
でも、彼らは技術や知識を持っているという事実だけで
「自分は偉い、権威がある」と思い込んでいたのです。
ソクラテスは結論します。
「ソクラテス以上の賢者はない」
その意味は
「知らないことを知っている」と思い込んでいる人々よりは、
「知らないことを知らないと自覚している点で、
自分は少し優っている」
(結果的に無知を指摘されてしまった賢者たちは、
ソクラテスを苦々しく思うようになります。)
知識の基盤とは
「『対話』の中でこそ磨くことができる。『暗記』という努力こそ重要である。
対話による「生きた言葉(話し言葉)」は音や旋律、抑揚を感じることで、
双方向性があり、真理を突くことが出来るが
一方の『書き言葉』は読み手の反論を許さないので『記憶を破壊する』」
という信念に至ります。
だからソクラテスは著作を残しませんでした。
また、金銭を受け取って徳を教える弁論家・教育家(ソフィスト)と違い
貧富の差別なく何人の質問にも応じ、誰の師匠にもなりませんでした。
とはいえ「死人に口なし」です。
『ソクラテスの弁明』などを著したプラトンは
「自称弟子」として、後世にソクラテスの姿を書き残します。
ソクラテスの気持ちは複雑でしょうが
その存在を知ることが出来るのは、プラトンのお陰なのですね。
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●『クリトン』プラトン著
死刑を言い渡されたソクラテスは、逃亡・亡命を勧められた。
ソクラテスに同情的な牢番も、いつでも逃げられるよう鉄格子の鍵を開けていた。
しかし自分を曲げないソクラテスは
死を恐れず殉ずる道を選んだ。
「自分がアテナイという国家を望んでいなかったのならば、
若いうちに国外に移住することもできた。
老年まで国家に留まり、家庭まで設けた。
延命しても人生に価値は無い。」
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石っぽいプラトン
ソクラテスは、逃げも隠れもせず
「単に生きるのではなく、善く生きる」意志を貫き、死刑を受け容れたのです。
このエピソードについて、
プラトンは以下のように書いています。
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(移住することもできたし、老年まで国家に留まり、家庭まで設けたのだから)
ソクラテスと国家・国法の間には合意(契約)が成立しており、
それを侵すことはできない。
合意(契約)は、人民に法の遵守を求める服従契約であり、
法を作り出す主権の主体は、人民ではありえない。」
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この考えは、後のルソー「社会契約論」の原型と言われますが
本当にソクラテスの言動なのか、
プラトンの解釈なのかは、定かではありません。
(ルソーは「『一般意思』によって作り出された主権によって国家が成立した」とします。)
恐らく『クリトン』中でのソクラテスは
あくまで登場人物、一種のキャラクターであって、
ソクラテスの口を借りた「プラトン論」なのでしょう。
こうして哲学や歴史は形を変えながら引き継がれ、
時には利用されるのですね・・・。
◆「社会契約論」の真意とは◆
「あなた方は無関心だから、社会的自然選択説により、何があっても了承した、という証拠だ」