「リヴァイアサン」第4の自然法、報恩
「他人から、まったくの恩恵からでた便益を受けた人は、それを与えた人が自分の善意を後悔するもっともな理由をもたないように、努力すること。」「『リヴァイアサンⅠ』ホッブス著、水田洋訳、岩波文庫1994.5.16」246p 恩恵を受けた相手がして欲しいと思っていることに応えるように努力しなさい、といいかえることができるだろう。ホッブスが、善意をうらぎらないように努力することを説くのは、それが信用をつくり、相互援助のはじまり、また人と人との和解のはじまりになると考えているからだ。そして、それが、人びとに平和をもとめよという、第一の基本的な自然法につながるからだ。 世界の現状は、相互不信と敵対心の極みといってもいいだろう。だからこそ、敵対でなく信頼を構築していく過程を検討し実行する政策が求められている。 報恩で考えれば、災害時の国際救助協力があるだろう。過去には、あまり知られていないが、関東大震災時に義援金が中国からおくられてきたことがある。その前に日本が、中国の水害に対して複数回義援金を送っていたから、それに対する返礼の意味があったのだろう。 そういった人道交流がありながら、日中戦争を回避することができなかった。軍部のプロパガンダにより、世論がゆがめられた結果だと考えられる。しかし、その時と違って今は、多様な情報を手にすることができる。武力による解決をよしとせず、人道の観点に立った解決をのぞむ国民の意識が、戦争を回避する力になるだろう。梶村晃「平和教育」資料室 研究員 池間龍三