前回の続き。
今回は全て甘いもの。
JR九州「ゆふいんの森」車内限定駅弁「折鶴」を引き取り、再び屋上へ上がったが、弁当をこれ以上中途半端な時間に食べる気はしない。とはいえ小腹は空いている。
そこで今回初めて屋上で甘いものを随分食べた。
これまで確か横浜郊外の四角いプリンを一気食いしたことはあったが、あれはそうしないと痛むと思ったからで、パン特に玉出木村家のパンをすぐ食べたのはお初である。
数回前に取り上げた“ご当地パン特集”の時と似た行動パターンとなっている。
お蔭で当初の誓いはどこへやら、目方が増えた…。
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・もっちりどら焼(クリーム味/いちご味)(各180円)(岡山・リノ)
これも「2ちゃんねる」を見て、買う気になったもの。
その名の通り、もっちりとした薄めのどら焼生地でクリームを挟んだもの。クリームはふんわりとした優しい口当たりで、皮の質感とよく合う。
しかし、これはもはや「どら焼」と言えるのか?
“薄皮ホットケーキサンド”と言っても通用しそうな、完全に洋風の菓子である。
因みにナイフなしの環境下で、中身がよく写るようにと、撮影用に懸命に皮1枚剥いだが、皮がもちもちしすぎて、随分と苦労した。
その苦心作(?)がコレ。↓
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・水ようかん (福井・えがわ)(700円)
これは毎回買っている。
水羊羹は実は福井県が名産だが、彼の地では夏ではなく真冬にこたつに入りながら食べるのだそうだ。
確かに私も、水羊羹ではないが、冬に食べるアイスが好きだ。
身体を温めながら、口にだけひんやりと冷たくて甘いものが滲みわたってゆく快感!これは味わった者にしかわからない。
さて本製品。
上品で控えめな甘さのこしあんに黒糖味が効き、シンプルながら奥深い味わいとなっている。量も十分。
名産というだけあって、福井には色々水羊羹を作っている店があり、毎年この「駅弁大会」の直後に京王新宿で催される福井物産展には、5種類余りのさまざまな水羊羹が一堂に会する。
私も一度全て食べ比べてみたが、やはり王道というか定番のこの店の水羊羹に落ち着いた。
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・玉出木村家 菓子パン各種
今年も懲りずに買い込んだ玉出木村家の甘いパン。
すっかり顔を覚えられた大将に見せてもらった、今後のイベント予定表を再掲するが、あまりこの店のパンばかり立て続けに食べ続けると、代謝能力が落ちてきた我が身としてはどんどん太る一方になってしまうので、スミマセン…折角見せてもろうても、不義理ばかり働いております。
チラシで見る限りでは、3月上旬の新宿京王には、“甘くない”「グラタンパン」というのが来ていたようで、それはそれでそそられるが、まぁ似たようなパンは他で随分見るからなぁ…と負け惜しみというか自分に言い聞かせるというか…。
今回初めて会場で買い込んだパンの一部を早速屋上で頂いたのは上で記した通り。
以下はそれも含めたレポート。
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・クリームパン (162円)
数回前に記したように、販売所では敢えてお店の方にリクエストして初めて出してくれるパン。
細長い形にやや固めの生地。表面にアーモンドスライスが乗り、香ばしい食感を生み出している。
それとは対照的に、中身はたっぷりのカスタードクリーム。
玉子がたっぷり入った黄色いもたっとした食感。
勿論砂糖たっぷりの甘めの味つけ。
豪快にたっぷり入っているので、ガブリとかぶりつくと、クリームがはみ出て大変なことになるかも…。
昨年の記事を読み返してみると、先のクリームパンも含めて同じものを2つ真っ先に取り上げていたんだなぁ…と気づかされた。
外側は粉糖のまぶったサクッとしたパイ生地。それにくるまれた中身はしっとりとしたロール生地。
いちご、バナナ、アップルなど色々な味があり、以前は「バナナ」がよく来ていたが、昨年に続き、今回も「オレンジ」であった。
他に「みかん」もあるが、柑橘系のフレーバーは、パンの濃厚な甘みと具の酸味のコントラストが際立ち、“甘い×甘い”の「バナナ」よりも、個人的にはこちらのほうが好み。
・ウィンナーショコラ (259円)
分厚くコーティングされたチョコレート層の下は、柔らかめのパン。中は空洞になっており、やはりたっぷりとカスタードクリームとチョコレートが入っている。
このパンには凡そ“甘さ控えめ”などという言葉は無縁である。
全てがとにかく甘い。
外側のチョココーティングがたっぷりと甘いから、中身のカスタードクリームやチョコレートクリームは甘みを抑えて…などという軟弱なことはしない。
そんなコントラストを重視するなら、そもそも中にまでチョコレートを入れないだろう。
いっそのことカスタードクリームもやめにして、全部中身もチョコレートクリームにしてもええんちゃう?とも、大のチョコレート好きとしては思わなくもないが、さすがに味が単調になってしまうのを避けたものか?
毎度記すことだが、上にかかったチョコレートが横にまで垂れて、どうあがいても、台紙を剥がす時に、滴りかけたまま固まったチョコレートがぽろぽろ零れ落ちるのを避けられないが、このパンを食するものは、そのチョコレートのくずも、余さず拾い集めて口の中へ放り込め!!
私はそれがこのパンを食べる時の“お作法”だと勝手に思っている。
・ゆずケーキ(216円)
前から噂には聞いていたが、今回初めて巡り会えた。
カップケーキのゆず味、アイシングがけというのが、簡にして要を得た説明だと思う。
とはいえこの店のものだけに、中のパウンドケーキ=甘さ控えめなんてことはしない。やはり甘さは強めである。
砂糖のペースト(製菓用語で「アイシング」というのだそうだ…)は、これもたっぷり甘め。
カップケーキは割と中のパウンドケーキが甘さ控えめだと、ただでさえパサパサとした食感なのに、味の単調さが強調され、おまけにアイシングまで控えめだと、もう紅茶か何か液体の力を借りて飲み込むしかないのだが、この「ゆずケーキ」は全体的に濃厚な味の割に、バターの風味はさほどなく、ゆずのさっぱりとした甘さが代わりに加わって、食べやすい味だった。
勿論、飲み物の助けは借りていない。
・ベネティアーナハーフ (518円)
この店を代表する看板商品。
オレンジピールが練りこまれたふわふわとしたパンを中身に、表面はメロンパンよろしくカリッサクッとした食感のクッキー生地。
随所に粉糖の塊と、粉糖のまぶったアーモンドが埋まり、味のアクセントとなっている。
この手のパンは、華やかな外側に比べ、中身が単調で飽きてしまいがちだが、それをオレンジピールがうまく作用させることで、飽きの来ない味に仕立てている。
中身を先に食べきって、外側の甘い部分だけを残しておき、最後に「お楽しみ」を一気に味わう。
例えばユーハイムのバウムクーヘンだと、年輪に沿って外側のアイシングのついた箇所だけ極限まで残して最後に平らげるのと同じ。
甘党のちょっとお下品な、これも“お作法”もとい習性だと思うのだ。
・雪山パン (594円)
“トリ”を務めるのは今年もやはりこのパン。
玉出木村家版シュトーレンである。
表面は御覧の通り、見事なまでに粉糖に覆われ、ものすごく甘い。
三角形状の断面のこんもり頂きがとんがった、まさに雪山だ。
ヘーゼルナッツ、レーズン、チェリー、オレンジピールと中の具材はドライフルーツの宝庫だが、洋酒は使われておらず、これなら小さい子供でも抵抗なく食べられることだろう。(…私は幼少期、洋酒の利いたスコッチケーキが大嫌いだった…)
毎年11月から売り出され、クリスマスがピーク。
この京王駅弁大会で終売となるそうだ。
一番値の張るパンだが、シュトーレンだ思えば割安のほうである。
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私自身のリアルな体験からすれば、今みたいに「甘さ控えめ」が持て囃されだしたのは1980年代に入ってからのことで、その前は「甘さ=豊かさ」であった。
この店のパンは、そんな往年のイズムを彷彿とさせ、私にとっては幼少期の、ひたすら甘いものを親にせがんだ1970年代を思い出させるのである。
確かに健康のためには糖分の摂り過ぎは毒だろう。
だが、何でもかんでも、いつでもどこでも「甘さ控えめ」なんて言っているのが、果たして今、世の中から感じられるような“カッコイイ”ことなのだろうか?
そもそも本当に糖分を控えるというなら、菓子パンなんて食わなければいい。
甘いもの自体食べなけりゃよい。
皆がそうしてしまったら、菓子屋は商売上がったりである。
ひと頃、「エコ、エコ」と何でもかでも連呼するのが流行りだったことがあった。
それが東日本大震災で、計画停電騒ぎが起こり、いざという時、何でも電気に頼る生活は甚だ心もとないという風潮になった。
するとおかしなことにパタリと「エコ、エコ」と言わなくなった。
ざまあみろと思った。
ついでに言うと、テレビや新聞でやたらと「CO2」と二酸化炭素だけを元素記号で言うのが流行っていたが、あれもものすごく鼻について嫌いである。
変な所だけ教養人ぶるなと思い、苦々しく見ていた。
二酸化炭素のことを元素記号で言うのなら、「O2」を吸って、「H2O」で顔を洗って…と言わないと、間尺に合わない。
そういえば、有名人が次々に名指しして、冷水バケツを被っていくという、あの恐ろしく無意味な流行はどこへ行ってしまったのであろう?
そんなに地球環境大事と大上段に構えるのが好きなら、そもそも自動車なんか乗らなきゃいいのだ。
全員が自動車に乗るのをやめれば、二酸化炭素もさぞかし減ることだろう。
しかし、マスコミはそうは言わない。
この国の基幹産業で、大スポンサー様で、利権を握っている自動車産業が、そんなこといわれりゃ黙っていないからだ。そこは車屋を立てなければならない。
だから「エコ」とクルマを売りつけることを両立させる都合のいい方便で、ハイブリッドカーなどというものを売り込もうとしている。
「甘さ控えめ」の菓子は、いわばハイブリッドカーと同じだ。
糖分の過剰摂取を抑制させるプロパガンダを打ちつつ、糖分摂取を完全に放棄させようとは決して言わない。
そこまで言うのは重症糖尿病患者の主治医くらいなものだ。
食品メーカーへの忖度があると感じる。
だからやたらと喧伝される「甘さ控えめ」など当てにならないと思っている。
そういう欲を何でも抑制することが、カッコイイというイメージ戦略にすぎない。
ストイックぶって、痩せ我慢して、それがスタイリッシュだなんて、聞いて呆れる。
こういうものばかり年中食べるのは考え物だが、甘党を名乗るなら、時にはいつしか世間で出来上がってしまった「甘さ控えめ」の呪縛から、身を解き放ち、思い切り甘いものを堪能したっていいじゃないか!
「甘さ控えめ」が心から好きならそれはそれで個人の好みだから良いのだが、どうも私は健康志向の名のもとに、一種の情報操作の匂いを感じてしまうのだ。
事実、大の甘党を名乗る自分にしても、昔のように苺に砂糖をまぶしたり、コンデンスミルクに漬けて食べるのは、いつしかやらなくなった。
コーヒーに砂糖を入れるのも随分前からやめてしまった。
決して健康志向で無理してそうしているのではない。
味の好みが変わったから、自ら好んでそうしているのだ。
だから、菓子パンだって、ストイックな「甘さ控えめ」がある一方で、この店のように思い切り甘いパンがあったって良いと思う。
各人がめいめいの好みと、その時々の必要性に応じて選択すればよいだけの話である。それなのに何故、かくもこの世の中は、「エコ」や「ハイブリッドカー」や「甘さ控えめ」を強制するのか?
毎度ながら、この店への私なりのかなり主観が入った強い擁護もとい応援メッセージで、今回も締めくくりとさせていただく。
次回へ続く。































































