前回の続き。

1/12(土)のこと。

今回も前半にしか来ない、宮島口駅「あなごめし弁当」の整理券を求め、今大会2度目の参戦にして、早くも開店前に並ぶ。

というよりこの時の3連休こそが、毎年駅弁大会の最大の山場で、テレビの影響が功を奏して人で人で押しくらまんじゅう状態になる時期なのである。

 

この日はとにかく寒かった。

全く晴れ間が出てくれない。

9時になり、漸くシャッターが開き、風よけとでもいったらよいのか、ガラス扉の内側へ入れてもらえる。

チラシをもらい、ひとしきり回る順番をシミュレーションした後は、ひたすら本を読みながら待っている。並ぶ人でいっぱいで、碌に身動きもとれない。

すぐ後ろに、どうやら初心者らしきおばちゃんがおり、どこか近くに待機させている娘と携帯電話で話しているのが聞こえてくる。

“こんなに並ぶとは思っていなかった。”

“あんた今カフェにいるの?”

“いい加減したら帰りたい”

そんなことを言っている。

9時45分頃になると、毎度のことで先頭集団から店内に誘導され、化粧品売り場の前に待機させられる。

エレベーター一籠あたり16人ずつに分けられる。

私は2籠目の集団のどん尻にいたので、すぐ後ろの携帯おばさんとは別れてしまったが、どうやら化粧品売り場からエレベーターの前に誘導される時になって、戦線離脱を案内係のおっちゃんに申し出ていた。

そこまで我慢したのに、何とも勿体ない話だ。

 

いつものようにエレベーター前で、前の人が一番後に籠に乗り込むよう、各ブロックごとに順番の入れ替えがあり、開店5分前には静々と籠に誘導され、そこで一斉にくるりと正面に向き直る。

こうしてエレベーター内でも、厳密に並び順が再現される。

この辺の案内に一切の淀みも迷いもない。

実に手慣れた作業である。

 

10時の開店と共に、最初の籠から時間をずらして7階へと上昇を始める。

いつも思うのだが、この時、「2階へお願いします」などと見当違いを言って、周囲の顰蹙を買う客はいないのだろうか。

駅弁大会の開店前の並びは結構殺気立っているから、駅弁以外の売り場へ行く客は、エレベーターごと分けられているようにも思える。

 

7階へ着く。

走るなと言われるが、無理な話だ。

すり足走行で、目指すコーナーへ散る。

地下から上がってくるエレベーターがどっと客を吐き出すので、更に焦る。

闘争本能が刺激される。

 

最初に「C-1 総合案内」へ向かう。

列はできていたが、整理券をもらうだけなので、捌けるのは早い。

昨年だったか、通路を隔てて並んでおり、プラカードをもったおばちゃん店員の言葉に従って、対岸へ向かおうとしたら、そこに通りかかった男が「いかめしはどこか?」とそのおばちゃんに話し掛け、こちらも焦っていたので、その“いかめし男”をよけて対岸へ行こうとしたら、割り込みと勘違いされて注意されたことがあった。

元々いかめしがそんなに好きではない上、そんな経験があるので、ますますいかめしが眼中になくなってしまった。

あんな会期中いつでも買えるものを、殺伐とした朝一にわざわざ買いに来て、しかもどこの売り場か下調べもしないなんて、どうかしている。

…と思うのだが、客観的に見れば、そう思わされるほど殺伐とした焦燥感しか抱かぬ自分のほうが、多分どうかしている。

 

ともあれ無事整理券は手に入れた。

例年だと、折角稀少価値の「あなごめし弁当」なので、つい気が大きくなり、1枚では済まさず、2枚、3枚と券をもらってしまうのだが、この日はグッと我慢の子。

ただ、園部の「栗めし」の券だけはしっかり一緒にもらっておいた。

 

その足で今度は「A-0 輸送駅弁」へ行く。

「A-0」は極力避ける積りだが、一度は並ぶことにした。

長い列から漸く売り場に誘導され、籠が上に下に飛び交い、人で押し合いへし合いのバーゲン会場並みの混雑。

一時に大量に買い込むと、食べきれなくなるので、前半のみ登場する実演を優先させ、この日は次の3種類のみ買った。

 

白焼風炙りあなごめし(広島駅)

近江牛焼肉めし(草津駅)

活ホタテ・ホッキバター焼き弁当(札幌駅)

 

続いて実演コーナーをちゃちゃっと回る。

ここからは前半で撤収してしまう弁当を優先させる。

まずは、肉のふがね

毎年前半のみ登場し、ここ10年近く毎年欠かさずリピートしている岩手短角牛の店だ。

数年前、「さなえばっちゃんのおこわ弁当」という素晴らしい弁当が来たが、今年も来ず。

それでも3種類もの弁当があった。

もとより贔屓の店だから、迷った時は全て買う。

 

岩手短角牛やわらか煮弁当

岩手短角和牛焼肉重

岩手短角和牛丼

 

続いて、ここも前半の実演の時に欠かさず買っている贔屓店・花善

今回は定番の「鶏めし」はひとまず置いといて、初登場の「Paris's鶏めし弁当」のみを買う。

そして「2ちゃんねる」で知った五家宝チョコレート味も売り切れてしまう前に入手。

 

これらを携え、早々と屋上へ。

ものすごく寒いと思ったら、途中でチラチラ雪が舞ってきたほど。

こりゃ早く食べて、温かい屋内に避難しないと…。

 

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岩手短角和牛丼(肉のふがね)(1,080円)

見た目はとりたてて「これ」という特徴のない、シンプルな牛丼弁当。

甘辛のタレで煮込まれた牛肉は脂身十分。

空腹にはこれが一番堪らん。

じっくり味わおうとか、よ~く吟味してとか、そんなことは最早言ってはおれぬ。

1分位で掻き込んだかもしれない。

今、写真を見直してみると、シイタケが入っているのを確認できる。

うーん…食べてるときは全く気づきませんでした…。

 

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・岩手短角和牛焼肉重(肉のふがね)(1,980円)

続いてはコレ。

何年か前にも同じ弁当が来ていて、その時も奮発した覚えが…。

こちらは「198」と上の約倍の値段の高級版。

器は「定番」の岩手短角牛やわらか煮弁当」と全く変わらないが、白飯の上には香ばしい焼肉がぎっしり。更にピンク色が美しいローストビーフが加わる豪華仕様。

これで美味くなかろう筈がない。

あっという間に胃袋に収まった。

今大会初っ端に食べた佐賀牛といい、この弁当といい、美味い牛弁に当たると実に幸せ気分に浸ることができる。

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「定番」の岩手短角牛やわらか煮弁当」は、翌日の“映画の友”に取って置き、肉は肉でも鶏肉に”味変”する。

 

「Paris's鶏めし弁当」(大館駅)(920円)

東日本大震災前年、東北へ旅に出た。

奇しくも甚大な被害を被った三陸海岸線を7時間かけて仙台まで下り、更に旅の最終日には仙台から上野まで常磐線を鈍行乗り継ぎで乗り通した旅であった。

その途中、大館で一度泊まったことがあったが、駅に着いたのが遅く、次の日出たのが早かったので、結局現地で花善の駅弁にありつくことはできなかった。

 

この弁当は、定番の「鶏めし」と一見すると「何が違うの?」というくらい似ているが、鶏肉の量は明らかにこちらのほうが多く感じる。

きんぴらごぼう、山菜水煮、里芋煮、しば漬けと、付け合わせは「本家」とはまるで違う。

…で、何が「Pari's」なのかというと、どうやらこちらの鶏肉はパリッとした食感が感じられるってことらしいのだが、それにしても売り場にエッフェル塔のミニチュアまで用意してしまうという凝りよう。

結局、この後「鶏めし」は、後半の輸送になってからも含め、今年は食べる機会を失したので、過去記事から「鶏めし」の写真を再掲しておく。

付け合わせの違いをじっくりご確認あれ。

甘い煮汁の独特の炊き込みご飯は同じです。

現地へ行くと、昼だけ開いているお食事処で「鶏めし御膳」という定食が食べられたり、「スペシャル鶏めし弁当」という超豪華版2段重ねまであるらしく、これだと特に付け合わせの充実度が最強。大絶賛の「鶏のつみれ」も「がんもどき」も余すところなく堪能できるはずなのだが、定食にありつくには昼間も大館に留まらねばならず、「スペシャル」は5個からの予約のみとなかなかハードルが高い。

流石に5個一人で食うのはきついしねぇ…。

 

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こうして一度は小雪舞いかけた屋上で、充実の駅弁タイムを味わったが、まだ11時にもならない。

「あなごめし弁当」や園部の「栗めし」の引き取り時間には間がありすぎる。

 

そこで一旦新宿を離れることにした。

丁度、その頃上野の国立西洋美術館でレンブラント展がまだやっており、会期終了が迫っていたから、新宿西口の金券ショップを巡ってみれば、1,000円を切る値段でチケットが手に入った。

それで大江戸線に乗り、上野を目指すことにした。

上野御徒町という駅で降り、西洋美術館まで歩くのだが、これが結構遠い。

ついこの前、鈴本へ久しぶりに行き、「ああ寄席はええなー」などとご満悦だったが、丁度その鈴本の昼の回の券売開始の頃だったのか、広い歩道に長蛇の列ができているのを目の当たりにし、その脇を通り抜け、エッチラオッチラ西郷さん目指して階段を駆け上がる。

こうまでして行ったレンブラント展だったが、人はそこそこだったが、自分にはあまり響くものはなく、1時間ほどで出てきてしまった。

アメ横に寄り、二木の菓子で輸入物のチョコレートをどっさりと買い込む。

 

更に神保町にも寄り、なかなか行けずにいた書泉グランデへ近鉄ビスタカー写真集第2弾を買いに寄る。

現金なもので、早弁のせいか、少し小腹が空いたので、余程「ねいろ屋」の氷にも寄ろうかとも思ったが、あまり遅くなってしまっては元も子もないので、氷はまたの機会に。

 

こうして再び駅弁大会会場へ舞い戻り、整理券を持っていた2種類の弁当を買う。

その後で、前回記した「ご当地パン特集」へと続き、結局氷を食べなかったお陰で小腹が空いたせいもあり、再度屋上で“菓子パンパーティー”の仕儀に相成ったというわけだが、そこは今回は端折る。

帰りに清泉寮ぼソフトクリームを舐め、口直し。

ご帰宅となった。

 

清泉寮ソフトクリーム(清泉寮)(400円)

モバイルクーポンの恩恵で50円引の350円で購入。

ソフトクリームからイメージする、柔らかくて滑らかでクリーミィな味とはちょっとイメージが異なり、適度にシャリシャリ感のあるあいすくりん系の味。

これだけ熱気にあてられると、これ位さっぱりしているほうが余程有難みを感じる。

 

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さてその翌日、渋谷で朝から晩まで映画漬けになった

朝は買った駅弁にご当地パン攻勢もすさまじく、昼は朝と兼ねてお終いにしたが、夜はそういうわけにもいかない。

この日入り浸った映画館は幕間が異常に短く、前の映画が終わってから次の作品のために開場するまで5分もあれば上々というほどなので、晩メシを外に買いに行くことすらできない。

こんな時こそストックしてある駅弁だ。厳密には駅弁じゃないけど、晩ご飯用にとこの日携えてきたのが短角牛の片割れである。

 

「岩手短角牛やわらか煮弁当」(肉のふがね)(1,480円)

映画の開場後、自席で膝に乗っけて駅弁を頬張る。

フラッシュたいていきなり写真写して、ほんま、ゴメンナサイ。

過去に何度もリピートしている、私にとっては最早「定番」と化した弁当。

脂身が少ない赤身牛肉を、繊維質のみが残るほど煮込まれ、甘辛醤油味がよく合う。

さしずめ“高級コンビーフ”といった味わい。

付け合わせの野菜の煮物、口直しの梅干し、肉の食感を助ける、敷き詰められたきんぴらごぼう。

どれをとっても欠くことのできない、総合芸術的仕上がり。

数年前に改良されたという白米も、確かに美味い。

次回へ続く。