【お知らせ】
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こんにちは。血液内科スタッフKです。

 

今回はJCOからで、移植適応・非適応の高リスク多発性骨髄腫に対するIsa-KRd療法を検討したGMMG-CONSEPT試験の結果をご紹介いたします。

 

Isatuximab, Carfilzomib, Lenalidomide, and Dexamethasone for the Treatment of High-Risk Newly Diagnosed Multiple Myeloma

Leypoldt LB et al, J Clin Oncol 2023, doi: 10.1200/JCO.23.01696

 

【目的】

GMMG-CONSEPT試験では、移植適応(TE)および移植非適応(TNE)の新規診断多発性骨髄腫(NDMM)患者で、前向き臨床試験が限られる特にハイリスクな症例に、微小残存病変(MRD)陰性へと導入することを目的に、イサツキシマブ、カルフィルゾミブ、レナリドミド、デキサメサゾン併用療法(Isa-KRd)を検証した。

 

【方法】

今回の学術的な医師主導、多施設共同の第Ⅱ相試験には、国際病期分類が必ずステージ II/IIIで、さらにdel17p、t(4;14)、t(14;16)、3コピーを超える1q21というハイリスク染色体異常(HRCAs)を伴うことで定義されるハイリスクNDMM患者(HRNDMM)が参加した。患者はIsa-KRd療法による寛解導入/地固め療法とIsa-KRによる維持療法を受けた。TE患者は高用量メルファランの投与を受けた。TNE患者は、寛解導入後に2サイクルのIsa-KRd療法が追加された。

 

今回の事前に規定された中間解析(IA)は、地固め療法終了時点での主要評価項目、MRD陰性(次世代フローサイトメトリーを用いて<10-5)について報告する。副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)である。

 

【結果】

主要評価項目のためのIA集団HRNDMM患者125人において(TE-intention-to-treat[ITT]-IA 99人、TNE-ITT 26人)、年齢中央値は58歳(TE-ITT-IA)と74歳(TNE-ITT)であった。Del17pが最も頻度の高いHRCAで(TE 44.4%、TNE 42.3%)、評価可能なTE/TNE患者の約3分の1が2つ以上のHRCAを有した。本臨床試験は、主要評価項目である地固め療法後のMRD陰性率がメットし、TE患者で67.7%、TNE患者で54.2%だった。TE-ITT-IA患者99人中81人がいずれの評価時点でもMRD陰性を達成していた(81.8%)。MRD陰性は62.6%の患者で1年以上持続した。フォローアップ期間中央値44カ月(TE)、33カ月(TNE)時点で、PFSはどちらの群でも未到達だった。

 

【結論】

治療困難なHRNDMM患者群において、移植の有無にかかわらずIsa-KRd療法は効果的に高く持続するMRD陰性率をもたらした。それにより44カ月、33カ月後のPFS未到達につながったと考えられる。

 

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抗CD38抗体であるイサツキシマブをKRd療法に組み込んだ、Isa-KRd療法をベースとした一連の治療を検証した臨床試験となります。4剤併用療法というと、イサツキシマブのライバル(?)であるダラツムマブによるDara-RVd療法を検証したGRIFFIN試験や、本試験と似たような高リスク患者を対象としたDara-CVRd療法を検証したOPTIMUM試験という先人があります。ブログでも取り上げておりますので、良ければ御一読ください。

 

 

 

Isa-KRd療法も、厳しい予後が予測される高リスク患者に期待出来る奏効を示しています。これらの治療戦略のどれが優れているのかまでは分かりませんが、まずは既存の標準治療と比較した第Ⅲ相試験が待たれますね。

 

おまけ

 

 

何の変哲もないニラもやし炒めです。シズル感のある写真が撮れるようになりたい。