AIと漢方? | 飯塚病院 漢方診療科のブログ

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Hです。

最近では生成AIがもてはやされていますね。

3年前に書いたAIについての記事が未掲載のまま放置されていました。

さほど古臭い意見でもなかったので、改めて掲載させていただきます。

 

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 AI(Artificial Intelligence, 人工知能)なる言葉が日常に浸透して久しいですが、最近では、AIが日常の煩わしい作業を請け負って私たちの生活を便利にする反面、作業の自動化によって人間に取って代わり、失業者が増えるのではないかと懸念する人もいます。かの偉大な物理学者ホーキング博士もAIによる人間支配に警告を発していました。
 ところで、AI活用の真骨頂は、人間が気づくことのできない新しい知識の発見にあると思います。コンピュータの処理速度の向上、新しいアルゴリズムの開発等によってその能力は向上し、単なるデータ解析ではなく、新たな科学的知識の発見に繋がっていきます。医学、生物学の分野においても様々な生体反応の解明に力を発揮し、創薬研究を後押しする知識発見にもAIが活用され研究が進んでいます。
翻って漢方診療はといいますと、古来の知識に従って黙々と治療を行っている、なんだか古くてありがたいもの、といったイメージを持つ方もあると思います。古来の知識を発見した傑物の教えに忠実であることの重要性は言を俟たないのですが、実のところは現代に至るまで新たな知識の発見を繰り返してもいるのです。現在でも新たな知見が学会や論文誌で発表され蓄積されています。当科でも、古来の知識を一歩進めて、あるいは異なる側面から、漢方薬の新たな効果を見いだすべく、日々診療に取り組んでいます。もしここに、AIのもつ知識発見の特性を併せることができれば、さらに多くの知見を得て、患者さんの治療に貢献してゆけるのではないかと感じています。