実習の感想 | 飯塚病院 漢方診療科のブログ

飯塚病院 漢方診療科のブログ

漢方診療科へようこそ♪

Sです。1泊2日で研修にいらした先生の感想文です。

 

私は現在研修医2年目の者です。

漢方医学に興味を持ち、この度、2日間見学させていただきました。 私はまだ漢方の勉強を始めてから日が浅く、漢方医学的な病態の捉え方や処方など、知らないことばかりの中での見学でした。 ですが先生方はそんな状態でも快く受け入れてくださり、こちらの質問にも丁寧にお答えいただきました。

 

見学の内容は下記の通りです。 盛り沢山で大変充実していました。

1日目 朝の抄読会→外来陪席→病棟回診・カンファレンス

2日目 朝の抄読会→外来陪席→2コマのレクチャー→夕の勉強会

 

以下では、個人的に印象深かった内容について記載します。

①外来

2日間の見学だったため、2人の先生方の外来に陪席させていただきました。 実際に診察を体験させていただき、その所見に対するフィードバックもいただける状況であったため、大変勉強になりました。 また、問診の内容は冷えの有無・睡眠状況・姿勢・天候での症状変化など、西洋医学で強くは意識されない事柄が多く、漢方ならではの診察を体験させていただきました。 また、家族で受診される方も多く、 家族全体を診たり、1人の患者様について本人以外からも情報収集できる機会が多いため多角的に診ることができるのも漢方の特徴だと教えていただきました。

②病棟回診・カンファレンス

飯塚病院では、外来治療では限界のある方、全身状態が良好でない方、副作用が強めの生薬を使う方などを対象とした入院での漢方診療を実践されています。 患者様の詳細は起立性調節性障害、膠原病、COVID-19、烏頭導入例など、多岐にわたる様子でした。 回診では部長の先生と主治医の先生が共に身体診察を行い、その場で治療方針を確認し合うというスタンスでした。 カンファレンスではその週の患者様の中で先生方の印象に残った方を1人ずつ紹介し合い、こちらも大きな学びの機会だと感じました。

③レクチャー

レクチャーは入門レベル、専門医レベル、指導医レベルのものがあり、数も何十個と多数の中から2つ選ばせていただきました。 私は漢方の基本から教えていただきたかったので「陰陽・虚実・表裏・寒熱」と、個人的に興味があった「和漢食・電気温鍼」の2つを受講させていただきました。

◆「陰陽・虚実・表裏・寒熱」では、日本漢方とはどのようなものか、漢方医学的な病態の捉え方とはどのようなものか、漢方医学の歴史についてなど、様々なテーマについて詳しくお話いただき、初学者にも大変わかりやすく解説していただきました。 特に六病位の捉え方や日本漢方と中医学の違いなど、本を読むだけではわかりにくい内容もスッと頭に入って来ました。

◆「和漢食・電気温鍼」 は、個人的に和漢食に興味があり受講させていただきました。 私の働いている病院でも糖尿病食・高血圧食・膵臓病食などはあります。 ですが治療のメインではなく、薬物や処置などの他の治療法のサポート役というイメージでした。 ただ、飯塚病院の和漢食は漢方薬と並んで治療の主軸の1つとなっており、 実際にアトピー性皮膚炎、関節リウマチ、膠原病、肥満等の患者様の治療として有効性が示されているようです。 勿論、メリットだけでなくデメリットもあるようでしたが、応用の効く治療法だなと感じました。 食事療法の威力を見せつけられたと同時に、自分の日頃の食生活についても考えさせられる内容でした。 電気温鍼は、身体診察や問診で把握しきれない潜在的な体の冷えを確認する方法です。実際にこれを用いて烏頭導入をされたお話などをお聞きしました。漢方医学的な診断を定量的に行うことができ、大変興味深い方法だと感じました。

 

他にも様々なテーマがあり、漢方について抱いている疑問の大半はこのレクチャーで解決するのではないかと思う程のラインナップでした。 漢方医学に興味を持たれた方は、是非一度飯塚病院に見学に行かれることをお勧めします。