四診について | 飯塚病院 漢方診療科のブログ

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こんにちは

今回は,漢方独自の診察方法,「四診」(ししん)についてご紹介します

漢方では,病人の状態を判断して適切な処方を導くため,

大きく四つに分かれた診察方を用います。


①望診(ぼうしん)

望むという字の通り,顔色や,動作,皮膚の色など,視覚によって得られる情報を取り入れるのが,望診です。

特徴的なのは,舌の形や色や苔を見る「舌診」が含まれることです。


②聞診(ぶんしん)

患者さんの話し方や,呼吸音,腸の蠕動音など,から聞こえる情報と,

口臭,体臭,便臭など,からのにおいによる情報が含まれます。


③問診(もんしん)

患者さんから病歴や症状など様々なことを聞き出します。

漢方では聞く項目がとても多いので,初診の場合には問診表も用います。

④切診(せつしん)

直接手で触って診察します。手足の冷えが無いかということも触って確かめます。

特徴的なのは「脈診」「腹診」が含まれることです。


脈診は,橈骨動脈という血管に,人差し指・中指・薬指の3本を当てて診ます。

橈骨茎状突起という,親指側の骨のでっぱりくらいの位置に,中指が来ます。


うちの病院では片手ずつ診ますが,両手いっぺんに診るという見方もあります。

浅く抑えたときと強く抑えたときどちらがはっきり触れるか,

強さはどうか,大きさはどうか,伝わり方は滑らかか渋っているか,などを判断します。

腹診は,西洋医学の診察とは違い,膝を伸ばして寝てもらいます。

お腹全体の弾力,腹筋の緊張,お腹の張り具合,どこに圧痛があるか,

動脈の拍動を触れるか,などを判断します。


飯塚病院漢方診療科での全体的な診察の流れとしては,

患者さんが入室してきたときから顔色や動きなどをチェックし(望診),

病歴を聞きながら耳と鼻も駆使し(問診&聞診),

ベッドに横になってもらって足先の冷えを確認したり,

脈を見たりお腹を触って診察し,舌も見る(切診,望診)という感じです。


ベッドに横になってお腹を出すので,

女性はワンピースより上下セパレートになっている服の方がお勧めです

また足首が出せるように,タイツは避けたほうが楽です



四診は,身体の表面に現れているものから身体の中の状態を推測する,

五感を駆使した診察方なのです。

そしてしっかり患者さんに触れる漢方の診察方は,

安心感を与え気持ちが落ちつくという効果もあるようです。

人の温もりって,ほっとしませんか

患者さんに触れることで,私たち診察する側も癒されているのではないかと,

思う時があります