帰国の時間が迫ってきました。後半戦のレポートをやっていきたいと思います。後半戦は天気成熟度の2つが大きなトピックスになります

 

具体的に天気の話をすると今年は梅雨が早くやってきてしまいました。梅雨はいつもだと5月中旬或いは下旬頃からスタートしますが、今年は5月の頭から降り始めています

今このブログを更新している最中、外は台風でも来たかのような大雨

 

杉林渓などの標高の高い産地がこれからというところで不安定な天候が続いてしまったのは不運としかいいようがありません

 

ちょうどGWぐらいの時に台湾が梅雨入りし、そのあと5月11日から16日の期間だけ天気の回復がみられました

 

大雨が連続すると困るのは茶摘み人員確保の問題。中々簡単にディレイする事ができず、大雨でも茶摘みを強行する事もしばしば

 

ディレイできたとしても全体のスケジュールが遅延し渋滞発生が起き、本当に摘みたいタイミングを逸してしまうのが頭の痛いところ

 

4月まで雨が降らないことで嘆いていたのに今度は降ってほしくない時にイヤという程降るのだから泣きっ面に蜂どころではありません

 

仕入れの仕事としては雨の期間はひたすら待機。雨の日に良茶無しです

 

個人的にラッキーだったのは結果として仕入れたお茶は4月後半の天気の良い期間に集中していたので、5月の雨の期間にはヤキモキせずにすんだことです

 

勿論この天候を読んでの行動ではなくそれは偶然。ただ偶然ではなく必然的に有利に働く事があるとすれば現地に居てずっと張っていること

 

天気の悪い日は見送って、好天が来た時にすぐさま行動することができるのが長期滞在仕入れのメリットなので、今年はその安全弁が発揮されたかなと思います

もう一つのトピックスである成熟度の問題。これは4月後半ぐらいの茶からは少し解決されてきました

 

4月の雨に助けられた標高の高い地域の茶園をみると生産量も比較的落ち込まず、前半で見られたような“公孫葉”の問題は少し解消されてきました

ただし上記であげた大雨の影響を受け、いざ製茶どきとなったら中々好天が来ないので成熟度を過ぎてしまったものも多くみられました

 

ネガティブな話が実に多いですが、つまり今年は条件が揃ったストライクな茶は全体で見ると非常に少ないという事です

 

仕入れの難易度としては間違いなく過去最高の難易度で、総括するなら過去の厳しい経験が今年は非常に活きた年

 

また今回改めて学べた事は人間は逆立ちしても自然には勝てない、という事です。雨が降らない時は降らないし、降る時は降るのですから

 

そんなこんなで今年の波乱万丈な春茶の仕入れも終幕の時が訪れています

 

個人的にはとてもうまくいった好感触があります。あらゆる状況から考えて当初これを乗り切るのは困難だと思えましたが、やりきってみれば満足のいく収穫がありました

 

私はよく仕入れは“運”だと強調して主張しますが、運に加え友人たちの手助けこそが真に重要だと実感した年でした

 

本当の意味で他力を恃むことはとても勇気がいるし、自力に驕らず他力本願にならずのバランスを考えれたような気がします

 

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台湾春茶の最前線 ~台湾茶業界地図~

今年の東京セミナーの日程が決まりました

 

日時:6月16日(日)

   ①午前10:00~12:00

   ②午後13:30~15:30

 

場所:China Tea 茶泉

http://www007.upp.so-net.ne.jp/chasen/sub7.html

 

参加費:3000円

 

内容

前半は今年の春茶の品質について詳細なレポートをします。今年の特殊な気候が品質にどのような影響を与えたか、原料の状態から製茶技術までのお話。後半はサブタイトルにある台湾茶業界の話。台湾茶の流通ルートは結構特殊です。仕入れの仕事をしていて台湾ならではの商習慣は中国大陸や日本とはかなり違うなと思います。舞台の裏側と表側から見る事でもっと台湾茶の事が面白くなるはずです。春の新茶は4種類くらいは出す予定でいますのでよろしくお願い致します

 

参加ご希望の方は下記メールアドレスか茶泉・土井氏に直接ご連絡下さい

TeaBridge2012@gmail.com

 

台湾に入って約20日間になります。おそらくあと1ヶ月近く滞在する予定で、まずは今年の前半戦を振り返ってみようと思います

今年を語る上でもっとも重要なトピックスは深刻な雨不足問題暖冬です。ん?この話題どっかで聞いた事あるなと思った人はこのブログの2017年の記事に少し似た状況が書いてあります

 

日本も今年は暖冬でしたが台湾はそれ以上に暖冬で、尚且つ雨が全く降らない状況が約5ヶ月近く続きました

 

つまり冬茶が終わってから雨がなく、3月の中旬になってやっとちょっと降った程度です。その時の雨音はまるで天からお金が落ちてくるような音だったとか…

 

本来冬の時期は気温も下がって茶樹は休眠期に入るはずですが、今年はおそらくしっかりと休むことなく春を迎えてしまった様子

 

加えて雨が降らなければ肥料の効果は薄く、結果として生産量はグッと落ちます

凍頂でもいつものように製茶をしましたが、手触りは非常に硬く春とは思えない原料に驚きました(さすがにこれは買えません)

 

冬の間もだらだらと伸び続けた硬い葉と新茶の小さい芽が一緒になってしまう状況を“公孫葉”といいますが、今年はそういった不揃いな原料が多く製茶する上では非常に困難を極めます

 

春はやはり柔らかく栄養満点の原料から生まれる特有の滋味が魅力なのですが、今年はそういった春っぽい雰囲気が少なく香味が全体的に薄い印象です

 

生産量も凍頂や阿里山では例年に比べると激減しており、おそらく全体で4割は減産しているありさま

 

そうなってくると必然熾烈な競争状態となり、それはバイヤーとして腕の見せ所でもあります

昨年の春はわりと順調な年で全体のクオリティが安定していましたが、今年は品質に大きな差が生まれる年になることは間違いありません

 

本当の勝負はまさにこれから。本当の高海抜帯の茶園はこれからまさにスタートを切るところです

 

逆境こそチャンスと思い乗り越えていきたいと思います

桜が咲き始めるとそわそわします。桜はどうもそういう成分を出すらしいのですが、新茶が始まるぞという気分と重なってこの時期はいつもそわそわします

渡台前最後の台湾茶解説となりますが、今回は奇莱山高冷茶です

 

このお茶の良さはとにかく香味が立体的であるところ。品種から生まれる香りとかではなく、奇莱山の風土と製茶師の技術が合わさって台湾茶らしい魅力が発揮されています

昨年のエコ茶会のセミナーで話した発酵に関するテーマで、単純に発酵の低い高いだけでなくスポット的絶妙なポジションがあるということを取り上げました

 

それは原葉の成熟度と日光萎凋とも大きく関係があり、いってみれば複雑性が極めて高いケミカルな物です

 

高山茶で生まれる特別な香気は山頭気(土地由来の香味)だけではなく、製茶過程とりわけ萎凋において生まれるものも多いです

 

烏龍茶という部分発酵系の茶類にとっては、良くも悪くも再現性がなく製造工程もあってないようなものですが、あらゆる条件が揃ってピンスポット的に発生する特殊な香味こそ烏龍茶の醍醐味だと私は思います

奇莱山は写真にあるように土というよりな土質なため、阿里山や杉林渓が持つような味わいとは異なります

 

ただ普通に作ってしまうと良さが感じられないタイプの茶産地ですが、個性を把握した上でブレイクスルーすると非常に面白いお茶ができます

 

すっきり系の清香ベースにスパイシーで華やかさを持っていて、心躍らせてくれるアート的なお茶だなという印象です

これから台湾に渡り2019の仕入れが始まるわけですが、今年もトキメキを与えてくれるお茶に出会うことが楽しみです

 

上手な仕入れをしようとかではなく、そこを超えたところで無心で走り続けたいと思います