俺は一気に
やる気が出てきた。

こてっちゃんに
手の平で転がされる自分も
別に嫌ではなかった。

「分かった。暇だし…やるかぁ!」

「よし!後で飯も奢ったる!」

「約束だかんな!」

どこから
どう片付けたら良いか
分からなかったが、
とりあえず
目の前のゴミを
片っ端から
ゴミ袋に入れていった。

ゴミを詰めては
一階のゴミ捨て場へ、
詰めてはゴミ捨て場へ。

その間ワン公は
流しや
タバコのヤニがつた壁を
拭いていた。

部屋の隅に積み上げられた
エロ本を見つけたので、
指差しながら聞いてみた。

「あれも捨てていい?(笑)」

「ん~…あれは兄貴のだからなぁ…」

「ウソつき(笑)」

「カッカッカ(笑)よっしゃ!捨ててくれーい!」

「いいのいいの?大事な宝物でしょ?(笑)」

「達也、秀樹、何冊か持ってくかぁ?」

「俺はいらねー。ワン公は?」

「ヒョ……いらねー」

ヒョーと言いかけて
言葉を飲み込んだ。
ワン公は分かりやすかった。

2時間位で
大体片付いてきた。

「よし、じゃあおめーらちょっと待ってろ。弁当買ってくるからよ」

そう言うと
残りの掃除を俺達に任せて
こてっちゃんは
一人で出て行った。

「ワン公、エロ本貰っちゃえよ」

「…い、いいかな?」

「ああ。内緒にしとくから服の中にしまっとけよ」

「ヒョ……えへへ」

最後のゴミ袋を
出しに行ったら
丁度こてっちゃんが
両手にビニール袋を抱えて
帰ってきた。

「おーい!一杯やんぞー!」

ゴミを出し終わって
一緒に部屋に戻った。

「すげーぞ達也!秀樹!
よくやった!ピカピカじゃねーかよ!」

そう言うと
テーブルに買ってきた弁当と
ビールを出した。

「ほんとにお前等ありがとな!助かった!」

そう言って
深々と頭を下げた。

「ほんとだよ。掃除位してよこてっちゃん」

「カッカッカ!まぁまぁそう言うなって(笑)」

「酒も飲ます気?」

「なんだ?いらねーのか?」

そう言うとおもむろに
ビールの缶を開け始めた。

三缶開けた所で

「気持ちだよ気持ち。
形だけでいいんだよ。
乾杯しようぜ」

無理矢理ビールを持たされた。

「かんぱーい!」

こてっちゃんは強引だった。

「プハーー!うめーー!」

それにつられるように
ワン公も一口飲んだが、
すぐに顔をしかめた。

俺も一口だけ飲んで
弁当を食べ始めた。

それを見てこてっちゃんは
満足そうな顔をしていた。

「食え食え。じゃあ約束通りアカシとの出会いでも話そうかな」
こてっちゃんは
タバコに火を点けて話し始めた。

次回
へ続く