「よし、帰ろうぜ!」
美咲はそういうとバイクに跨った。

「達也ぁ、
俺も分かんねー事だらけだよ。
それによぉ、
今全部分かっちまったら
人生面白くねーぞきっと」

そう言うと
爆音を鳴り響かせて
帰っていった。

「美咲さんの言う通りだな、うん」

信男が腕組みをしながら
何度も頷いていた。

「信男は美咲さん命だからなぁ」

こてっちゃんが
苦笑いをしながら言うと、
信男は頬を赤くして
こてっちゃんに突っかかった。

「てめぇ…鉄矢もそうだろうが!」

「カッカッカ(笑)まぁそう怒んなって」

二人のやり取りを見て、
この二人は
美咲の事が好きなんだなと思った。

「二人とも美咲の事が好きなん?」

そう言うと
こてっちゃんが俺に言った。

「バカもん(笑)確かに好きだけどよぉ、憧れっつーだけだよ」

「うんうん」

信男が相槌を打った。

「達也ぁ、お前等今日どうすんの?学校行けば?」

こてっちゃんが聞いてきた。

「ん~…今日はもう休みって事になってるし…迷ってる」

「そっか。秀樹はどーすんだ?」

「自分も達也と同じッス」

「ワルガキどもめ(笑)アカシに怒られんぞ?」

「それを言わないでよ(笑)」

こてっちゃんは
俺の操り方を心得ていた。

俺は何故か
アカシの話を振られると弱かった。
こてっちゃんが
俺を見てニヤっと笑った。

「達也ぁ、ウチ来るかぁ?」

「お!行く!」

俺とワン公は
まだこてっちゃんの家に
行った事が無かったし、
この後やる事も無かったので即答だった。

アカシの部屋を見た時は
衝撃を受けた。

こてっちゃんの部屋は
どうなんだろうと
一気に期待が膨らんだ。

「お前等タフだなー(笑)その元気を勉強にぶつけろよ」

信男がそう言った瞬間、
皆の目が信男に向けられた。

心の中で皆が
「お前が言うな」
と言っていたと思う。

そんな空気を察したのか、

「俺は帰って寝るわー。
鉄矢ぁ、このワルガキ達は任せた(笑)」

そう言って
皆を先導して歩き始めた。
ワン公は嬉しそうだった。

初めてアカシ達と会った日から
ワン公は生粋の
こてっちゃん信者だった。

俺もこてっちゃんは
男義があって好きだった。

アカシもこてっちゃんも信男も、
俺達と対等に接してくれているが、
俺達からみたら
やはりどこか兄のように思えた。
遠くで
美咲のアクセルミュージックが
かすかに聞こえていた。

次回
兄達の出会い(2)
つづく