初めての方プロローグからどうぞ

*五本松の決闘1話はこちら から


「日向ぁ!」

こてっちゃんが
叫ぶ声と同時に
日向はニヤっと笑うと蹴るのを止めた。

「おー、沼田ぁ、これが力の差だよボケが」

アカシはピクリとも動かない。

俺はどうしていいか分からずに
ワン公に目をやった。

ワン公は
口を半開きにして震えていた。

俺達は
アカシを助けるどころか、
怖くて動けなかった。

「さーて、
沼田はコレもんだしよぉ、
おまけの二人もやっちまおーかぁ?」

西中の奴等が
再び臨戦態勢に入った。

こてっちゃん達も身構えた。


「全殺しでいいからよぉ、
おまけの二人は
おめーらでボコってやってくれー。
俺はよぉ、
ゾンビの沼田の相手で
疲れちまったからよぉ、
休んどくわ」


そう言って
後ろに下がろうとした。


「待てコラ」


横たわったアカシから
小さい声が聞こえた。

「あん?なんだてめー、
まだ生きてたんかよ」

日向が振り返った。

「勝手に殺すなコラ」

「やっぱりてめーは
ゾンビだなぁ沼田ぁ」

そういうと日向は
アカシにまた近づいていった。

そして
まだ横になってる
アカシの髪の毛を掴み、
引きずり起こした。

すると不思議な事に
アカシは笑っていた。

「何笑ってん…」

そう言うより早く
アカシは日向の顔めがけて
口から血を吹きかけた。

血が目に入った日向は
アカシから手を離して
両目を押さえた。

「てめー沼田ぁ!
きたねーぞコラ!?」

「てめーに言われたかねー」

そう言うとアカシは
日向の腹に蹴りをかまし、
日向が前傾姿勢に
うずくまったところに拳を振り上げた。

日向の頭が
振り子のように
一瞬起き上がり、
首が元に戻るのと一緒に
両膝が地面に落ち、
大きな体が前のめりに倒れた。


日向は顔を
地面につけたまま
完全に気を失っていた。


アカシは日向の体を足で押し、
横向きにした。

「息ぐらいはさせてやるよ」

そう言って
タバコに火をつけようと
手で風除けを作った。

その瞬間
アカシに誰かが体当たりをした。

ドスンという音と共に
そいつとアカシは倒れた。

さっきアカシにやられた
沖浦だった。

アカシの腹には
ナイフが刺さっていた。

次回
五本松の決闘(7)
へ続く