初めての方プロローグからどうぞ


「誰だあいつら?」


学ランを着た
20人程のやつらが
五本松に近づいてくるのが見えた。


一気に
俺達の緊張感が
高まった。


ただ、
どこにも
アカシ達の姿は無かった。


「アカシさんどこだよ?」


「わかんねー」


「あいつらが西中の日向かな?」


「たぶんそうじゃねーか?」


見るからに
不良と呼べる奴等だった。


バットを持ってる奴や
警棒を持ってる奴も
混じっていた。


こいつら汚ねー。


子供ながらにそう思った。


ワン公に目をやると、
怖気づいたのか、
それとも
義憤にかられたのか、
手が小刻みに
震えているのが分かった。


ただ、
それはすぐに
前者だと分かった。


視線を
ワン公の足元に落とすと、
ワン公は足も震えていた。


俺も
怖くなかったと言えば嘘になる。


本当の俺はチキン。



でも今日は
その壁を打ち破るには
うってつけの日だ。


松の木も俺も見ている。


アカシがくれたチャンスを逃す訳にはいかない。



喧嘩を観るだけなのに
何故俺は怖がる。


そう自問自答しながらも
たむろしてる奴等へと
目をやった。



既にそいつらは
五本松に到着していた。


俺達との距離は
10メートル程だった。


「なぁワン公」


「シーー!声でけーよ!」


「もうちょっとそばに行かねー?」


「ダメだよ!バレるって!」


「だってよー、
あいつら何しゃべってるか聞こえねーじゃん…」


心臓の高鳴りが
自分でも分かる程だった。


怖さと緊張感で、
お互い言葉尻が
微妙に震えていた。


その時だった。


たむろしてる
奴等の一人が
遠くを指差して叫んだ。


「沼田だ!沼田が来た!」


すぐに俺とワン公は
指が指された方向に目をやった。


「アカシさんだ!達也!アカシさん達が来た!」



次回
五本松の決闘(2)
へ続く