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理事長@IGTのブログ

大阪府泉佐野市にあるIGTクリニックの理事長のブログ

インドネシアのバリで開かれた学会に招待された。

バリ! まだ見ぬ天国を見たい一心で直ちにOKの返事をした。

 

バリ島の空港に着くと迎えがいて、直ちに学会場に連れていかれた。

そのまま学会で3時間しゃべりっぱなしの拷問にあい、地獄を見てしまった。

けれども地獄の鬼は、いずれも優しく友好的で、懇親会では踊りの輪まででき、一緒に踊る羽目になった。

浜辺にあるリゾートホテルがこの世の天国らしかったが、入り込むことは難しく、残念至極であった。

でも、アジアのにおいがいっぱいの長い歴史が刻まれた島を十分に堪能した。

でもでも、次は天国も見てみたいと心から思っている。

 

インドネシア行きのもう一つの目的は、ジャカルタの病院見学であった。

半年前、インドネシアの高名な医者が私のクリニックに来た。

彼はインドネシアの厚生大臣まで歴任し、今は軍人の病院の医師で肩には星が3つ輝いている。

私が聞いたことのない免疫治療を開発したらしく、興味本位で彼の病院の見学を決めた。

 

彼の病院はインドネシア軍の病院で、軍の車が空港まで迎えに来てくれた。

その車は、緑の回転灯を派手に回し、サイレンのような音を発しながら、高速道路のラインを自由にまたぎ、バス専用レーンを突っ走り、赤信号はなかったように走る。

 

到着した軍隊の病院は、とても立派でアジアの病院の雰囲気はほとんどない。

MRIの機械は4台もある。

血管造影装置は5部屋もある。

これらの装置を使い、ブレインクレンジングと称して頭の動脈、静脈の血の流れをよくする治療を行なっているという。

 

診察風景も見学させていただき、患者一人一人への説明も丁寧で、600人も彼治療を待っている。

治療を受けた患者さんに話も聞くことができ、こんなに頭がすっきりしたとテラワン先生に感謝している。

 

彼がコロナの予防治療として開発したという免疫治療も目から鱗である。

彼の免疫治療は樹状細胞療法の一種だが、がん治療だけでなくいろいろな病気に効くらしい。

西洋医学では難治性の多発性硬化症の少女が、私にこんなに上手に歩けるようになったと涙ながらに教えくれた。

 

見学のあと、突然若い医者向けに私たちが行っている治療の講義を頼まれた。

20人ほどの若い医者が集まってくれた。

私の話をききながら、彼らの眼がキラキラしているのが分かる。

私のクリニックに外国人の医者をサポートする財団がもうすぐできるので、必ず研修においでと何度も言ってしまった。

 

私もなるべく早くもう一度、テラワン先生を訪ねて二つの治療法をしっかり勉強するつもりだ。

 

インドネシアのどこかの島に魔術師がいて、患者のお腹に手を突っ込んでがんを引っ張り出すという。

次は、そんな魔術治療も見学して、技術を習得してこようかな?っと思っている。

 

アレックスは私の友達だ。

マレーシアのデカい私立病院の放射線科で私と同じような治療をしている。

早口の英語でしゃべりまくるが、何を言っているのか意味不明のことが多い。

中国系のマレーシア人なので、中国語も話す。

私の秘書は語学に堪能で、様々な種類の中国語と英語と日本語をしゃべるが、彼の中国語も英語も何を言っているのかよくわからないという。

だから、彼の英語がよく解らないのは私のせいではない。

 

アレックスは世界中に沢山の友達がいて、私はその末席に連なっている。

アレックスの生い立ちは良く分からない。

なんだか貧しい家に生まれたらしく、お金のない人の気持ちがよく分かるらしい。

道理で彼が発表する治療は、あまりお金の掛からない治療ばかりだ。

でも、最近プール付きの家を買ったらしく、プールを満たすのに水道代がかかって仕方がないと言っていた。

 

5年前、マレーシアで放射線科の大きな学会があり、アレックスが大会長であった。

世界中の有名どころが沢山集まり、学会は大成功であった。

私は彼から無理難題の発表をいくつも頼まれ、結構大変だったが、「お前のおかげでうまくいった」とベンチャラを言われ、苦労は霧散した。

 

学会の最終日、彼が閉会の宣言をした後、私にすぐには帰るなと言う。

来いと言われた場所は、学会場の前の公園がよく見える場所だ。

小さなテーブルを何人もが囲み、アレックスがいる。

テーブルの上には、ドリアンの山がある。

 

まずい!と感じた私は通り過ぎようとしたが、目ざとく私を見つけた彼は、こっちに来いと手招きをする。

 

仲間に合流した私は、ドリアンの食べ方、猫印のドリアンが美味しいこと等、色々教えられたが、それ以上はもう思い出したくない。

ドリアンの仲間には、現在アメリカの放射線学会長になっている美人の女医さんもいた。

昨年、アメリカで彼女に会った。

彼女とドリアンの話で盛り上がった後、彼のことをドリアン王子と呼ぶことにした。

 

今年の春、再びマレーシアに呼ばれた。

ドリアン王子に会う予定はなかったが、私が来ると判り昼飯を奢ると伝えてきた。

 

火鍋だという。

辛い物は得意ではない私は、生涯この手の料理は避けてきたが、手招きされては仕方がない。

ドリアン王子は、私のために何十種類のスパイス、薬味をドロドロに混ぜたソースを作ってくれた。

ドリアンより受け入れられる。

 

何とか火鍋パーティはやり過し、アレックス、楽しかったねと挨拶をした。

「これだけじゃないよ、せっかく大阪から来たんだから」、ドリアン王子は確かにそう言った。

 

やばい!と感じた私は、「お腹いっぱい」と言ったが、「こんないい機会は逃す手はない。

猫印が待っている」、と言う。

 

かくして私たちは、クアラルンプールの町はずれのテントの屋台のような所に連れてゆかれ、トゲトゲの機雷のような猫印のドリアンを分かち合った。

肝を据えた私が、たくさん食べると、そんなにうまいかと、2つ目、3つ目のドリアンが、目の前でパカンパカンと割られ、ドリアン腹になってしまった。

 

人に言わせると、2,3回食べると病みつきになるらしい。

でも、私は人の百倍一気に食べたので、もう食べる必要はない。

その日以来、私はアレックスのことを、ドリアンキングと呼んでいる。

 

近々、ドリアンキング、日本に来るらしい。

納豆を勧めたいところだが、そんなのチョロすぎると思っている。

「では始めまーす」、スピーカーから技師さんの声が聞こえる。

「息を吸って、止めてください」 澄んだ声がCTの機械から聞こえる。

この声の主はきっとこの世にいないようだけど、結構、私の好きな声だ

 

ベッドが音もなくスライドし、天井の景色は機械の陰に隠れる。

再びベッドが動き、始まった感がいっぱいだ。

 

「息を楽にしてください」素敵な声がして、あれ? もう終わった? と感じる間もなく、

「では、造影剤を注入しまーす」 技師さんの声だ。

 

右の二の腕の内側、腕の中で何かが波打ちながら流れている。

「あれれ・・?」と感じる間もなく、喉のあたりがなんだか熱いような、煙を吸ったような感覚、と同時に、頭の中に何かを注ぎ込んだよう!?

 

「息を吸って、とめてくださーい」、素敵な声がまた聞こえる。

 

次の瞬間、お臍の奥の背中側になんだか感じたことのない異物がすごい速度で通過の様子、「オット、ナンダこれは?」と驚く間もなく、骨盤のなか、お尻の穴の中まで暖かく、あそこの先までなんだか変かな?

ほぼ同時に、足の付け根からの先まで体の中を駆け抜けてゆく。

 

「楽にしてください」 またあの声だ。

ほんの数秒の出来事だった。

 

CTのベッドは音もなく動く。

気持ち悪いのかな? と思う気持ちもあるが、ボタンを押すほどのものでもない。

オー、体の中に何か重たいものが充満した気分だ。

 

1分も経過したころだろうか?

再びあの声がする、「息を吸って、止めてください」

ベッドが音もなく、滑らかにうごき、雲の天井がまた見える。

 

「楽にしてください」の声と共に、操作室の扉が開き、

「センセ、どうだった? だいじょうぶ?」

いつもの看護師さんの声だ。

心配してくれてありがとう、という気分、わかってもらえるかなあ?

 

私が仕事を始めた大阪府立成人病センターに大阪府で初めて全身用のCT装置が導入された。

患者さんには拷問のような息止めを30回以上お願いし、やっと30枚程度の画像が取れた。

検査の夕方、私の読影フィルムの棚に、フィルムの束が置かれる。

私は、患者さんの輪切りの像を、頭の中で何枚も重ねて肝臓や腎臓の形を想像した。

 

検査をおえて、服を着替えて、自分の診察机に座る。

先ほどの画像は、もうパソコンのモニターに映し出されている。

画像の数は数千枚に及ぶ。

もう頭の中で考える必要なんかない。

画像診断装置のアイコンをチョコッといじれば、たちどころに縦切り、横切り、斜め切りの写真がモニター上に現れ、あまつさえ動脈の立体画像も現れる。

 

もうCT装置は、我々の診療になくてはならぬありがたい機械だ。

それに加えてトリヨードベンゼンは、体の中を駆け巡りながら、立派に役目をはなし、きれいな立体画像になって、血管内治療のガイド役を果たしてくれている。

 

それに、最近は、カテーテルから腕の動脈やお腹の動脈に打ち込まれ、それはそれはきれいな画像になって、「ここに病気があるよ!」と無言で伝えてくれる。

 

トリヨードベンゼンに感謝!

 

今、私はトリヨードベンゼンが入っていた瓶に、私の作った球状塞栓物質に色をつけ、診察室の窓際に置いている。夕日が当たるとそれはそれはきれいな光を放つ。