砂漠は熱いと決め込みスーツケースに夏の服を詰め込んだが、スマホにドバイの天気予報みたら、最低気温16度とあった。
ほんとかなあ、と不安だったが、2月のドバイは、暑くもなく寒くもない。
降り立ったドバイの町は、派手な高層ビルが林立し、上海の街の景色とはあまり変わらない。
走る車の中からは砂漠らしい景色は何処にも見当たらない。
3日間の滞在中に2日も雨が降り、少しの雨で道路は水没、各所で通行止めだ。
私の秘書は危機管理能力に優れ、小さな折り畳みの傘をもっていた。
相合傘で歩く秘書と私を見て、雨の中を走るドバイの人は、なんと感じたのだろうか?
日本で想像していたドバイと何もかも違う、、、もう頭の中で納得できない。
一目でいろいろな人種がいるのがわかる。
レストランやホテルやタクシーで出身は何処? と聞くと、バングラデシュやパキスタン、インド、インドネシアやフィリッピンと答えてくれる。
みんな満足して働き暮らしている様子。
とうとう働くドバイ人には出会わなかった。
そんなこんなでアラブの街に行ってきたという印象は今もない。
今までアラブのことは肌身で感じる機会はほとんどなく、昔、スイスで働いた時に、チェニジアのお金持ちを治療し、文化の違いを強烈に感じたくらいだ。
もう一つ、
ヨーロッパからの帰り、ドバイ空港はいつも経由地だった。
ある時、ドバイの空港のビジネスラウンジにいたとき、ニカーブという目だけを出した黒ずくめの女性が二人、私の隣に座った。
無為に緊張したのを覚えている。
でも二人は座ると同時にニカーブを脱ぎ始め、中から見眼麗しい千夜一夜の舞姫が2人出てきたのだ。
ミニスカートの二人は二カーブをバッグに入れて、スマホ片手に転げるように笑いながらラウンジからでていったのだ。
何かを垣間見た。
学会の懇親会で知り合いになったサウジアラビアから来たハディジャは、もうすっかり欧米の人達と変わらない。
可愛らしい人で、声も優しい。
ユキオミシマが好き、トヨコヤマザキの大ファンだという。
日本に来たいという、、、大歓迎だ。
彼女がトヨタの車を運転して、ドバイの町を案内してくれた。
ふと気が付くと、懇親会の時にはしていたヒジャブはなく、きれいな黒髪をナビカセながら町を案内してくれている。
帰りにホテルまで送ってくれて、別れ際、私の秘書とハグをしている。
私もしたかった、、、
帰る日にイラン人とフランス人とミーティングがあった。
出席していたイラン人の女性二人もノースリーブにノーヒジャブである。
アレレ?と思ったが、それを聞くとイランに帰ったら、しっかり長袖を着てヒジャブは必携とのことである。
伝え聞くとイランも変わりつつあるらしいが、どうなんだろう?
なんだかアラブが面白い。
みんな好奇心強いし、友好的だし、誰ともけんかをしてる様子もうかがえない。
私が見たのはアラブのほんの一面である。
ドバイで見たイスラムは、学会上のお祈り部屋の入り口だけだった。
なんだかここからは踏み込めない世界の入り口のように感じた。
人類みな兄弟と思うものの、同じ人間の日々の生活に及ぼしている宗教の影響をもう少し見てみたい。
いま、私が一番行ってみたい国はサウジアラビアだ。