ドバイにおける医学及び社会問題に関する総合的実感調査報告(その1) | S.H@IGTのブログ

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大阪府泉佐野市にある、ゲートタワーIGTクリニックの院長のブログ

昨年、夏の終わりに知り合いのシリア人の医者から、今の仕事は何?と簡単なメールが届いた。

彼は昔、大阪の大学病院に留学していた放射線科医だ。

一緒に研究したことはないのだが、帰国する直前に私のクリニックを1週間見学してくれた。

返事には、他の病院では全く治療できない乳癌や肺がん進行例を、カテーテルで治療していると書き留めた。

 

秋も深くなったころ、突然、アラブ諸国のカテーテル治療の学会から招待メールが届いた。

プログラムが添付されていて、既に私の名前が、いくつかのセッションに載っている。

この状況になると断る理由をみつけるのは難しい。

 

このご時世、中東に行くなんて、、といろいろご意見ご忠告を頂いたが、アラブが如何なるところか知らないで一生を終えたくない。

 

その学会は、思っていたより大きく運営もしっかりしていて、3000人くらいは参加していただろうか。

アラビア半島を中心に、ヨーロッパやアメリカから有名どころが参加し、かなり国際色豊かだ。

でも不思議に東洋系は少なく、私を含めて4,5人しかいない。

 

発表はすべて英語で、アラビア語はほとんど聞こえてこない。

アラブ人同士で話している時も、時々英語が混じる。

お互いの国の訛りが強くて解らないときに、英語になるのだろうか?

 

私は合計5回も発表の機会を与えられ、今回はやり切った感が強い。

その訳は、簡単だ。

壇上で緊張しながら話している時に、聴衆の誰が寝ているのか、だれがボーとしているか、誰がスマホをいじっているか、実は結構わかるのだ。

今回は私の発表中、誰も寝ていない。

自慢の症例を提示した時は、会場の人々の声にならない ”オー、、“ が聞こえたりする。

要は私の話がウケたと感じることができたのだ。

幾つもの質問を受け、多少焦ったりしたが、関心を示してくれた証であろう。

新しい技術を探し求める人たちがここにはいっぱいいる!、と感じたのだ。

 

翻ってこんなこと、日本の学会で発表した時に感じたことがあったろうかと、考え込んでしまう。

 

学会場を歩いていると、色々な人が声を掛けてくる。

“貴殿のクリニックで研修できるのか?” と何度も聞かれた。

よくよく聞くと、アラブの人達は外国で1年間勉強した実績がないと、まともな医者として認められないらしい。

私は、快くOK, と答えるのだが、ほんとに全員来たらどうしようと今不安になっている。

 

とにかくアラブの人達は人見知りもせず、積極的で行動的なのだ。

昔の日本にも、こんな人たちが多くいたから、今の日本があるのではと思ったりする。

今の日本人が、未来の日本を作ることができるのだろうかと、余計な心配までしている。

 

3日間で知り合いもいっぱいできた。

サウジアラビアやイランやエジプトにも来てほしいと言ってくれる。

なんだか恐ろし気なところばかりだが、行ってみたいと思い始めている。

 

医療器具の展示会場であのナディーンを思い出した。

どこかのブースの人だかりの中心にいないかと探してみたが、見つからない。

 

あの妖しい香水をもう一度嗅いでみたかったのに、、、、

 

つづく、、、