LE FILS DE L'AUTRE / THE OTHER SON

「もうひとりの息子」★★★★☆
(France, 2012, 101min/新宿角川シネマ)
Director&Writer:ロレーヌ・レヴィ
題材は今年日本でも話題になった新生児の取り違え問題。
衝撃なのは、その2家族がそれぞれ今でも対立が激しいイスラエルとパレスチナ。
これまでユダヤ人であることに誇りを持っていたヨセフの実母はパレスチナ人。
一方で自分たちの土地を奪った憎きイスラエル人が母とわかり、兄から罵倒されるヤシン。
アイデンティティとは一体何なのか。
また難題にぶつかった。
私は血脈ではなく過ごしてきた環境が、その人のアイデンティティを形成すると思う。
ただ無宗教の私は信仰心を理解することは難しい。
どちらにしても、この映画が一つの事実だと信じたい。
QUELQUES HEURES DE PRINTEMPS / A FEW HOURS OF SP

「母の身終い」★★★☆☆
(France, 2012, 108min/シネスイッチ銀座)
Director&Writer:ステファヌ・ブリゼ
病で余命わずかとなり安楽死を決意した母親の姿を静かに描いた人間ドラマ。
息子役は『君を想って海をゆく』のヴァンサン・ランドン。
監督はインタビューで 「私個人の意見を表明するつもりはない。
是にも非にも傾かないよう慎重に演出した」と。
母親は止めて欲しかったんじゃないかと思う。
キャリーの件しかり、わざと書類を目に付くところに置いたに違いない。
でも息子は案外あっさりしてた。
だから何ってわけじゃない。
劇中にも出てきたセリフ、まさに“人生は人生”
衝撃的だったのはスイスでは自殺幇助が合法だということ。
過去10年で1000人以上の外国人が安楽死のためにスイスを訪れた。
日本で認められているのは安楽死ではなく尊厳死。
全く似て非なるもの。
http://www.hahanomijimai.com/
DESPUES DE LUCIA / AFTER LUCIA

「父の秘密」★★★★☆
(Mexico, 2012, 103min/ユーロスペース)
Director&Writer:マイケル・フランコ
母親を交通事故で亡くした父娘が、新天地で人生をやり直す物語。
娘が転校先でいじめを受け始め、仲の良かった父娘の距離が広がる。
数年に一度しかメキシコ映画にはお目にかかれないけど、見応えのある作品ばかり。
しかし邦題に異議あり。
ストーリーから考えると、どちらかといえば“娘”の秘密。
“父”にしたのは単に語呂が良くて、娘の秘密なんてあって当たり前だからかな。
許容できない。
結果よし、とはいえなんだか卑怯。
考え抜かれた邦題とは思えない。
ちなみに原題は「DESPUES DE LUCIA(ルシアの後)」
“ルシア”の意味は光であり、また亡くなった母親の名前。
娘がいじめられる様はとにかく不快。
途中から終盤までいやーな気分。
でも冷静になって観ると、学生を過剰に劣悪に描いているわけじゃない。
憎しみからくる行為というより遊び感覚。
悪意なくしてあそこまでするとは、余計にたちが悪い。
どんな締めを想像しても、鑑賞後感は悪いだろうなと思っていたのに。
最後のポイっで、すっーとした。
これまで様々な映画で「報復か、赦しか」が問われてきたけど、
これをみると一回の裏まではありじゃないかと思ってしまう。
http://lucia.ayapro.ne.jp/
THE PERKS OF BEING A WALLFLOWER

「ウォールフラワー」★★★☆☆
(USA, 2012, 103min/ヒューマントラストシネマ渋谷)
Director,Original&Writer:スティーヴン・チョボスキー
『少年は残酷な…』のエズラ・ミラーがお目当てだったけど、エマ・ワトソンもいい。
監督・原作・脚本がすべて同じ作品は珍しい。
小説の映画化ではありがちな詰め込み過ぎ感があり、少し描写不足と感じた所も。
小説を読んでみたい。
最近の学園映画を観て思うこと。
大人の世界より複雑。
私のころはもっと単純だったな。
http://wallflower.gaga.ne.jp/
J'AI TUE MA MERE/I KILLED MY MOTHER

「マイ・マザー」★★★☆☆
(Canada, 2009, 100min/アップリンク)
Director&Writer:グザヴィエ・ドラン
『わたしはロランス』の監督が17歳で書き上げた渾身のデビュー作。
彼の演技は少しうるさい。
でも17歳ってうるさいもの。
原題が面白い。『J'AI TUE MA MERE(僕は母を殺した)』
本当に殺したわけでない。
反抗期のユベールが母親と関わりたくない一心で“母は死んだ”と教師についた嘘。
世間にも休みが欲しくて親族を“殺す”人がいる。それと同じ。
映像とか音楽とか衣装とかセットとか、凝っていて見聴き応えがある。
それ故に単にアート映画と言われると残念。
ドランが映す被写体はあくまでも「人」。
人間を過不足なく、ありのままに映す。
先日WOWWOWのジャパンプレミアでドラン2作目の『胸騒ぎの恋人(2010)』を鑑賞。
主演はまたまたドランと『私はロランス』でフレッドの妹役を演じたモニア・ショクリ。
この「人」たちも実に愉快。
http://www.ikilledmymother.net/
HANNAH ARENDT

「ハンナ・アーレント」★★★☆☆
(German, 2012, 114min/岩波ホール)
Director:マルガレーテ・フォン・トロッタ
Writer:パム・カッツ
ホコーストを生き延びた実在するユダヤ人哲学者。
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1960年代初頭、何百万人ものユダヤ人の収容所移送を指揮したナチスの重要戦犯アドルフ・アイヒマンの裁判に立ち会い、その傍聴記を発表する。しかしアイヒマンを、思考することを放棄して命令に従っただけの凡庸な小役人と評し、さらにユダヤ人自治組織の指導者がアイヒマンに協力していたことにも言及したレポート『イェルサレムのアイヒマン』は、ユダヤ人社会からの激しいバッシングに晒される。本作は、そんなアーレントの孤高の戦いを通して、その波乱の人生と彼女が訴え続けた信念に迫る伝記ドラマ。
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憎しみを封じ、真実を見出すことこそが正義。
50年前に刊行された『イェルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告』を入手。
現在第14版。
http://www.cetera.co.jp/h_arendt/
EVERYDAY

「いとしきエブリデイ」★★★★☆
(UK, 2012, 90min/ヒューマントラストシネマ有楽町)
Director:マイケル・ウィンターボトム
Writer:ローレンス・コリアット
服役中の父親の帰りを待ちわびる4人の子ども達と母親の5年間の日常を映した物語。
監督は『9 Songs ナイン・ソングス (2004)』のマイケル・ウィンターボトム。
長回しを多用し、セリフというセリフがほとんどなく、まるでドキュメンタリー。
そう思わせる大きな理由は、8歳から3歳の実の4兄妹が起用されたことと、撮影が5年間に渡ったこと。
"構想○年"と謳う作品はたくさんあるけど、"撮影期間5年"はあまりない。
当然5年間で子どもたちはフィジカルもメンタルも成長し、親への態度にも変化がでる。
あれ、前者は本物だけど後者はフィクションか。
もう現実なのかドラマなのかわからなくなる。
http://everyday-cinema.com/
HOW TO MAKE A BOOK WITH STEIDL

「世界一美しい本を作る男 -シュタイデルとの旅-」★★☆☆☆
(German, 2010, 88min/イメージフォーラム)
Director:ゲレオン・ヴェツェル、ヨルグ・アドルフ
シュタイデルというドイツの出版社。
難しそうな偏屈な人。
クライアントが納得するまで打ち合わせし本を創る。
http://steidl-movie.com/
THIRD STAR
29歳で末期ガンを患ったデイヴィーは、友人たちの助けを借りて人生最期の旅に出る。
カットのつなぎ目がとっても不自然。
できないと思った私は自分本位なんだと思う。

