一生餅 (いっしょうもち)
日本古来より満1歳の誕生日を祝う伝統行事で “人間の一生”と“餅の一升”とを準えて
・一生(一升)食べるのに困らないように
・一生(一升)健康に育つように
・一生(一升)丸く(円満に)
などといった願いを込め 1歳まで無事に成長したことを祝い これからも健やかに成長することを祈願します 一升餅には「背負いきれない程の食べ物-一生食べ物に不自由しないように」という願いが込められています
日本は欧米のように誕生日その日を祝う風習は存在せず 正月を迎える都度年を重ねていく“数え年”という風習が専らでした しかし生まれて1年目の初誕生日だけは 親類縁者を含めた家庭の祝事として古くより“一生餅”の行事が行われていたようです
地方によってその呼び方は 誕生祝い餅/踏み餅(踏餅)/立ち餅/転ばせ餅/転ばし餅/背負餅(しょいもち).しょわせ餅/力餅/タッタラ餅...等々あるようで お祝いの仕方も地方ごとに様々です
多くの場合は一升餅を風呂敷やリュックに入れ 赤ちゃんに背負わせて祝う方法で行われているようです しかし一升は約1.8㌔と重いため 一才の赤ちゃんには重過ぎてなかなか背負えるものではなく 多くの場合 背負ったまま動けなかったり泣いてしまったりと 中々上手くは歩けないようです
この一升餅を背負えるかどうかで その子の将来を占うといった意味合いが込められている地方もあります ただ背負えずに尻もちをついてしまった場合も 全く不吉なものではなく「厄を落とす」という意味で喜ばれているようです
“一生餅”と共に1歳の誕生日祝いには“選び取り”を行う家庭も多いようです 選び取りは並んだ複数の品の中から 赤ちゃんが最初に取るもので将来の職業や才能を占う記念行事です
並べる品物は地方によって様々ですが 一般的なのは「筆/そろばん/お金」の3種類です 筆など選ぶのは知恵比べ(将来占い/選び取り)と言い 本来日本の儀式ではないそうですが 何もマニュアルにそって用意しなくても大丈夫です お家にある品を いろいろと並べたり 父親の職業を連想させる品を置くのも良いかもです
選び取りの一例としては
・「筆/ペン/クレヨン」-芸術家/文筆家の才能ありかも
・「そろばん」-商人向き? 計算が得意になるかも
・「お金/財布」-金運に恵まれ将来裕福になるかも
・「はさみ」-手先が器用 衣装関連の仕事にご縁があるかも
・「定規」-几帳面で職人向き 将来大きな家を持てるかも
・「箸/米/スプーン 」-食べ物に困らない 料理人向き
・「辞書」-成績優秀 物知りに
・「ボール/バット/靴」-スポーツ選手 運動神経抜群
・「風船」-大きく羽ばたく 世界に通用する
現在は筆やそろばんがない家庭も多いと思いますので この行事を現代風にアレンジして楽しんでも良いかと思います 筆→鉛筆やクレヨン そろばん→電卓に替えても良いかもしれません