先日 掲載した“粕汁”の続きです
粕汁は古くから一般に馴染み親しまれてきた汁物です 簡単に言うとおだしに
酒粕を溶いたものですが 味噌をブレンドしたり入れる具材も地方によって様々です
途中 割愛する部分もありますが 僭越ながら私どもの作り方を
一番最初に粕汁の”スープ”を作ります 二番出しに金時人参.大根.白葱など野菜のへた
鶏ガラで更に濃い目のスープに仕立て スープが冷めたら酒粕を浸し一晩馴染ませます
出しに対する酒粕の分量 鶏がらの量など分量は有りますが 数値は割愛します
下処理のポイントは 野菜と鶏がらの旨味.こくを酒粕にしっかり時間を掛け馴染ます事
ただ雑に混ぜるだけでは あの滑らかな舌触りと旨味は体現出来ません
私は吟醸諸粕を好んで使いますが 板粕を用いる時は馴染ます時間に2日かけます
時間は掛かりますが 雑味やアクをしっかり馴染ませる事を優先します
酒粕の馴染んだ状態を確認して 目の細かい漉し網(馬毛越し)で丁寧に裏漉します
粕汁ベースが出来たら 中具を用意します 祝い事で華やかな見栄えにする時は
金時人参.青首大根の拍子木切り“紅白” 魚介は寒鰤.新巻鮭を コクと旨味を
補う意味で油抜きした薄揚げ 笹がきにした若牛蒡の軸 擦り柚子も忍ばせますが
個人的に好きな(笑)花柚子も添えます 全て霜降りなどの下処理を施しています
味付けは塩と僅かの醤油 そして味が決まったら 最後清酒を少々薫り付けに
仕上げに柚子をふり 芹の若葉を添えて出来上がりです
粕汁を美味しく頂くコツとして 食べる分だけ小まめに汁を加熱し
出来るだけ粕汁に余分な火を加えないようにする事です
酒(アルコール成分)が飛ぶから? と思われる方が多いみたいですが それよりも
粕中の豊富な旨味成分と栄養分が火によって失活するのを防ぐ為です
今回は魚介と春野菜で仕立てましたが 上質の豚肉とごんぼうで作る
“豚汁仕立て”も中々美味しいですよ また今度作ったら紹介したいと思います