極貧なんだけど、贅沢メニュー(後編) | 蝶に魅せられた旅人

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蝶と食いもんの話しが主です。


  昨日は、たまたまチャンネルをつけた懐メロ番組みたいなのに食いついてしまい、文章を書けなかった。
びっくりしたのは、山口百恵が「横須賀ストーリー」を歌った当時の年齢が17歳だったって事だ。
随分と大人びている。百恵ちゃんは元々大人びていたとはいえ、にしても驚きの大人の色気だ。今の17歳には中々いないじゃないかと思う。
でも、他の歌手も実年齢よりも見た目がフケているんだよなあ…。

  多分、これは昔の日本人の方が精神的に成熟するのが今よりも格段に早かったのだろう。
今の日本人は、どうもネオテニー(未成熟)化が進んでいるのではないかと思う。
だから、おでんツンツン男とか幼稚な事件も多いのではなかろうか?
  でも、これは今回の主題ではないので、この件に関してはまた別な機会にじっくりと論じたいと思う。
と云うワケで、前回のつづきを書きます。


  所持金は4円だけど、食いもんだけは豊富にある。

  アントレーは、大山ハムのモルタ・デッラから。



  このハムは以前にも紹介したことがあると思うのだが、チーズとパプリカが鋳込まれている。
勿論、貧乏人は半額GETである。



  しっとりとした食感で、コクがあって旨い。

  このあとがガッツリ系なので、間にちょいと野菜を挟もう。

【菊菜のおひたし】


  さっと火を通した菊菜に出汁と醤油をちょいとかけ、白胡麻を散らした。
菊菜は火を入れれば入れるほど苦みが出るので、お気をつけあそばせ。
できれば、塩を一つまみ入れた熱湯に茎を先に入れてから間をおいて葉っぱをブチ込んでの時間差攻撃が望ましい。葉っぱなんて10秒も茹でれば充分なのだ。

  さっと茹でると、独特の香りが嫌みにならない。
仄かな苦みが大人の味だにゃあ(о´∀`о)
子供の頃は苦くてあんまり好きじゃなかったけど、オッサンになるとこういうのが旨いと感じるようになるのだ。
これを老化という。一説によると、歳を食うと舌の感性が鈍くなるんだとさ。若い時ほど苦みやエグみを感じなくなるらしい。

  そういえば、関西では一般的には菊菜って呼ぶんだけど、関東では春菊と呼ぶんだったよね。東京に住み始めた頃は、結構それに戸惑った記憶がある。
冬が旬やのに、何で春菊やねんムキー!?
と憤ったものだ(ググったら、春に花が咲くかららしい)。
住む場所が変わると、色々とあるよね。


  続いて、お揚げさんの炙り焼き。



  製造元は忘れたけど、ちよっとお高めの薄揚げだけあって厚めである。
これを両面炙って、生姜と葱をそえる。
で、醤油を垂らす。



  これもガキの頃は最低クラスのオカズだったが、オッサン化が進むと旨いと感じるようになるものだね。
嗚呼、日本酒が飲みたいよー。
でも、4円しかないもんなあぐすん…。


 そして、いよいよのメインだべぇ~。

\(^o^)/じゃあ~ん!!

【フォアグラのロッシーニ風モドキ】


  キャヴィア、トリュフと並ぶ世界三大珍味のフォアグラだよ、フォアグラ!
それがデーンと上に鎮座されておる。
フレンチの店で食ったら、結構な値を取られるくらいの量だ。

  これは去年の12月、南船場の『マルシェ』に行った時に買ったものだ。
びっくり何と、ハンガリー産のフォアグラが半額になっていたのだ。
かなりの大きさで、20㎝以上の長さは優にあった。それが、たったの1300円くらいになっていたのだ。

  もう切っちやった後だけど、こんな感じ。



  つまり、今回のあの量でも4分の1しか使ってないって事なのだ。

  作り方を説明するっぺよ。
先ずはフォアグラ様を半日かけて解凍する。
下手に解凍すると人間モドキみたいにドロドロに溶けちゃうらしいので、それなりに気を使わねばならぬ。
指で押してみて、弾力が出てくれば大丈夫だ。胡椒とトリュフ塩で下味をつけ、小麦粉をまぶしておく。

  準備が出来れば、さあ戦闘開始じゃよ。
霜ふり平茸をソテーし、次に解凍したアンガスビーフをサイコロステーキにする。そこにフォアグラを入れて軽くソテー。
フォアグラは焼き過ぎると溶けて脂になってしまうので、細心の注意が必要だ。両面に焼きめがついたら、ソッコーで火を止める。多分、両面を焼くのに1分半くらいしかかかってないと思う。
で、仕上げにジンギスカン(羊肉)の時に使わなかった甘めの醤油ダレをブッかけて混ぜ合わせる。
  そして、皿にサイコロステーキと霜ふり茸、その上にフォアグラを乗せて盛り付ければ完成。

  期待を込めて食う。
赤身の肉とフォアグラが一体となって、噛むほどに口の中で溶けてゆく。
ロッシーニ風モドキにしては、味付けは成功と言ってもいいんじゃないかと思う。
因みにロッシーニ風とは、フォンドヴォー・ベースのソースにマデラ酒とトリュフを加えたもの。一応トリュフ塩は使っているものの、だからロッシーニ風モドキなのだ。

  嗚呼、赤ワインが飲みてぇ~。
フルボトルのどっしり系の赤ワインが飲みてぇ~えーん
でも、所持金はたったの4円なのである。
ポッテチ━━ ゲッソリ ━━ン。

  ワインが無いことを知っていたので、米を予め炊いておいた。

  フォアグラに敬意を表して、米は特A米の『青天の霹靂』を動員。
この米、マジで旨いんだよなあ照れ



  勿論、これも値下げ品である。
誰か主夫として飼ってくれないかなあ。
結構、お買い得ですよウインク

  さてさて、それではいきましょうか。
ご飯の上にエイヤ!と乗っける。



  グワシと箸で掴んで、口一杯に頬張る。
言わずもがなだが、うみゃ~い\ラブ


                                                                おしまい


追伸
  フォアグラ、フォアグラと浮かれたように宣(のた)まったが、実を言うと元々フォアグラよりもアン肝の方が断然美味いと思ってる。
これだけ贅沢にフォアグラを食っても、その意見に揺るぎはない。フォアグラは脂が多過ぎなんである。だからフォアグラ単品ではなく、大根とか他のものと組合わせるのが定番なのだろう。
こういう洋風じゃなくて、アン肝みたいな和風の食べ方は出来ないのかなあ?
でも、あんまりそういう食べ方って聞いた事がないなあ…。