プロチョーネです。お待たせしましたが、11月のセミナーで最後に発表頂いた天白先生の講演内容に入ります。
天白牧夫さんは神奈川県東部の三浦半島のNPOの代表で、10年以上前よりこの問題に対策されてきました。
以下がNPOへのリンクです。
NPO法人三浦半島生物多様性保全 ホームページ
被害予測などできないのにできる気になる人間
獣医の小山先生と同様元より動物が好きな方で、できればアライグマの駆除もしたくないと仰られていましたが、そのような方々が駆除せざるを得ないほどにアライグマの環境に及ぼす影響は深刻ということです。天白先生は被害予測に関して
・ヒトに関する被害予測(経済、産業、建造物等)は可能
・自然環境への被害予測はできない
という見解をお持ちです。何故か?ヒトは複雑極まりない多様性からなる自然環境を決して理解などできていないからです。外来種はその典型的な表れで、たとえば危ない毒蛇を駆除してくれるだろうという目論見でインドの方からマングースを導入すれば毒蛇以外の楽に捕食できる昆虫動物が襲われてその島の生態系が壊されたり、食用としてカエル、カエルの餌としてザリガニを導入すれば大して受け入れられずに逃亡したのが全国で増殖するわけです。
入口ですら予測を誤っているわけですから、外来種が侵入した将来に現地の生態系にどのような影響が及ぶかなど、そりゃ予測などできるはずがありません。予測できてるならこんなことになってるはずはありませんからね
天白先生は当然外来種を悪くは思わず、ヒトの勝手な真似によって連れてこられて利用され、挙句に行政の許可つきで殺される被害者だと見なしています。それでも彼らを根絶しない限りは生態系の回復は見込めない以上、自ら駆除をされるに至った次第です。
神奈川県の生態系被害
小山先生の発表でも埼玉県比企郡の生態系被害が扱われましたが、神奈川県の被害も深刻です。三浦半島北西部の葉山町は2005年までの間に最もアライグマの生息が多かったところなのですが、センサーカメラを仕掛けて映る動物の8割はアライグマだったそうです。ここでもサンショウウオはもちろん、海沿いなので汽船域に生息しているハマガニ(ただでさえ生息数が減ってるそうです)が次々に食い荒らされました。
このようにサンショウウオの産卵場所の水辺近辺にカメラを設置したところ、アライグマがこのように夜通し待ち伏せして水辺にやってきたサンショウウオを捕食する様子が映っています。もちろんサンショウウオを「ウマイ、オソイ、ミズベクル」と認識しているからこそできる芸当であり、元々水性両生類の捕食が得意なアライグマが見事に三浦半島の環境に適応している証拠です。
このような被害をさすがに国も行政も深刻に見るようになったのが特定外来生物を法的に指定するようになった2004年でしたが既に手遅れなのは見ての通りです。天白先生は日本の自然管理の変遷を もともと多神教的に自然を敬いつつ共存しようとする社会から欧米型の自然を管理しようとする社会に移行したものの、徹底化はできなかったために半端な結果に終わったとみています。
ただ、いかに欧米社会が自然に対して管理しようとする傾向が強いにしても、加藤先生の発表のようにアライグマはヨーロッパではもっと増殖してますし(https://ameblo.jp/ids-gaichu-h/entry-12544406594.htmlを御参照ください)、外来種対策の先進国であるニュージーランド、オーストラリアでも対策は先進的でも大火災による生態系への被害はどうしようもないですし、希少な有袋類の減少や在来生物の外来種による減少を完全に防げているわけではありません。先進国(自然管理に関する)の自然に対する取り組みの熱心さは羨ましい限りですが、どこの国であろうと自然を完全に管理、理解などできてはいないのも間違いないでしょう。
ともかく神奈川県での被害は早いうちから深刻と見なされていたのは確かであり、天白先生には続いて神奈川県の有害獣対策の方針についてお話頂きました。これがまた羨ましい部分も多いわけでして・・・。
次回から神奈川県の対策方法について扱っていきます。
次回セミナー開催延期
同時にお知らせなのですが、この新型ウィルスの蔓延がいつ収束するかも全く分からない状況なので次回のセミナー開催も当分の間延期致します。
いったい誰が数ヶ月前に同じウィルスがここまで世界中に拡がるかを予測できたでしょう。外来種の問題とその点では似ていると思います。ウィルスだって人間には及びもつかない生態系の複雑極まりない相関関係の中から生じたはずですから。
少なくとも僕の立場から言えるのは、この機会で人類が少しは自然に対する自分たちの「予測」だったり「管理」がいかに傲慢で間抜けかを実感して、今後せめて今よりはまともな形で自然、生態系に対して向き合わねばならないと思い直すことにならないかと思うばかりだ、ということです。
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