プロチョーネです。今週はいきなり事件が起こりました。
場所は某市役所。急に役所の方から連絡があったかと思えば、市役所の建物内にアライグマが出没したとのこと。ちょうど同じ市内で巨大なアライグマの回収に向かっていたヴェヴェヴェスパさんが駆け付けて対応しました。
写真は1階上部の窓と内側の棚か天井部分の間に入り込んだ様子。もっと写真を撮ってくれればよかったんですが、仕方ないですね。職員の方々に追い込んでもらった末に動物捕獲用の網を役所が持っていたのでそれで捕まえたみたいです。
この通り、上部がワイヤーで締まる強力な網でした。それはよかったのですがベスパさんは午後から健康診断だったので処分を任されたものの開け方が分からずしばらく困りましたが・・・笑
個体としては7㎏近いオスで今の時期では珍しくない感じでしたが、もちろんこんなところにアライグマが出現したことはないために彼らがよそからやってきた懸念があります。
また、もう一頭もこの市役所の近くで捕まったのですが、これがまたすごい奴でした・・・。
小型サイズの罠に入っていましたけど狭苦しそうに入っており、罠の部品も曲げてしまい、扉部分も歪んで壊れそうだったそうです。
(※ 以下、動物の死体の写真がありますので苦手な方はご注意下さい)
まずはこのサイズ。筋肉も脂肪もしっかりついた巨大なオスでした。
お次は体重。滅多にいない10㎏越えです。僕たちが年間数百頭捕獲する中でも10㎏を越えるアライグマはせいぜい1,2頭程度しかいませんので、相当な大物だと言っていいでしょう。餌を豊富に確保し、おそらくメスをめぐる争いにも勝ち抜いてきた強者だと思います。
ただ・・・
この歯の様子を見ると人間でいう80過ぎの歯の抜けた爺さんを連想させられました。 よく牙が折れた個体がいますが、こいつの場合は明らかに長年の使用ですり減る、歯周病や虫歯で溶けていってます。こうなるには相当な時間がかかると思いますので、おそらくこの個体は10歳前後かそれ以上は生きていたと思います。アライグマ世界で言えばかなりの長老だと言えるでしょう。このような個体は10㎏越えと同じく滅多に見ませんが、これだけの個体が埼玉県にはあちこちに暮らしているのだと思います・・・。
しかし、今回の件で気がかりなのは2頭が捕まった地区は今までハクビシンの捕獲はあれどアライグマの捕獲はほとんどなかったところだということです。地形としても目立った林や田畑があるわけでもなく、住宅や建物が多く並んでいるところです。あとは、せいぜい元荒川が流れている程度・・・。
そう、元荒川です。県北から海まで流れているあの川沿いをたどって北から下ってきたと考えるのが最も妥当な経緯だと思います。この時期のオスが移動しまくることはこれまでに述べたとおりですので、川沿いに調子に乗って動いていた連中がこうしてこれまでアライグマがいなかった地域に入り込み、そこに他の個体も続いてやってくるというパターンがアライグマの生息圏の拡大を成してきたのかもしれませんね。
当然、このような移動はアライグマの数が多いほど起こりやすいはずで、人口(アライグマ口)が多くなった地域から新天地を求めてうろつく個体の比率も増えるのだと思います。それだけアライグマの数が増え続け、順調に生息圏を拡大していると示しているのが今回の一件だと思えてなりません・・・。