プロチョーネです。寒い寒いと思っていたら今日急に気温が上がってきて高温多湿というものを見せつけられましたが、生物たちは暑さで参るわけでもなくこの7月も各地に出没しています。
昨日は専門外ですがハチの駆除の手伝いに出まして、スズメバチが巣食っていたところに行ってきました。
先輩の頼もしい後姿。専用の殺虫スプレーを専用の道具で噴射しています。
巣は結構大きく、巣を駆除した後も夕方なので帰ってきた働きバチが飛び回り、おそらく20匹規模の巣のようでした。日頃からアライグマと会っている僕としては、あれだけ小さいくせしてやたらと堅くて猛毒を持ってるハチの方がよほど恐ろしい気がします。まだアライグマには丸み、柔らかさを感じるので昆虫の機械的な身体には体格差では埋まらない恐怖があるのかもしれません。ともかくハチの方もこのところは一日15件以上は依頼が来ており、ヴェスパさんが走り回って対処しています。
で、一方プロチョーネが対応しているアライグマの動向もなかなか活発化しています。今の時期でおおよそ冬の終わりから春先に生まれた子供たちは生後4~6ヵ月に達しており、今までにも言ってきたように完全に親に同行してうろつきまわるようになっています。
これは今月鶏小屋の下にアライグマの幼獣らしき動物がいるという連絡があった現場です。残念ながら駆け付けた時には既に逃げられていましたが、親からはぐれた幼獣が人の家の近くにも出没しているわけです。
以前幼獣を捕まえた現場と同じく、連絡した方のところの柴犬さんが真っ先に気づいたそうです。吠えられてこの下で震えていたのでしょうが、今回の幼獣は既に体も大きく親から離れてもある程度動けるようになっていたためか、隙を見て逃げ出したようです。
頭を突っ込んで臭いを確認してくれていましたが、既にいませんでした。
で、今日はこれまた緊急の連絡がありました。ある学校のコンテナの中にアライグマの幼獣が6頭入り込んでいるというもので、母親は既に逃げ出したとのことでした。駆けつけてみると・・・
最初コンテナと聞いたので物置みたいなものを連想していたのですが、この学校で出たゴミを集積するゴミ捨て場でした。この通り上はがら空きで、今年になってからこのコンテナに捨ててあるゴミを何かが漁っていたとの話でした。警備員の方も監視カメラでアライグマの親子が平然と学校内の敷地を歩く姿を目撃していたそうです。
いつもはコンテナ山盛りのゴミを漁っていた一家ですが、今日はゴミの運搬日でいつもよりもゴミの量が少なくなったところに入り込んだ結果、出られなくなったようでした。ただ、母親は問題なく乗り越えて早々に逃げ出し、残された6頭の子供たちも当初は逃げられなかったのですが、そのうち閃いたのか親の姿を真似したのか、弱って動かない1頭を踏み台にして次々とコンテナから出て行ったそうなのです。
僕がついたときには残っていたのは1頭だけ。隅で動かずにじっとしていました。
この子がうずくまっている隅の上にはちょうどでっぱりがあるので、きょうだいたちはこの子を踏み台にしてでっぱりに手をかけて上がっていったようです。おそらく聞いた読者の方は薄情だと思うかもしれませんし、僕も非情なやり方だと最初思いましたが、きょうだい全員が死ぬよりは1頭を犠牲にして逃げた方がいいという合理性から考えれば賢明な判断とも言えるでしょう。彼らがどう判断したのかは知りませんが、結果としては1家族のうち1頭以外はプロチョーネに捕まらずに逃げ延びることができてしまいました。改めて彼らの賢さを垣間見た現場でしたよ。
で、置き去りっ子は捕まえましたけれど、弱っているのかと思いきや以前対応した犬にほえられて動けずにいた幼獣と同じく、捕まえようと道具で捕まえたとたんに大声で鳴き、活発に動き出しました。この猛暑の中でこの1頭だけは夜まで体力を温存するつもりだったのかもしれないと思うほど、普通に元気がありました。
既に半年程度も育てばいくら幼獣でも犬歯がある程度のところまで伸びていますので素手での捕獲はかなり危険です。単純な怪我だけでなく彼らの保有する細菌に感染したり、暴れる際にまき散らすことのある尿からアライグマ回虫という、人間に感染すると体内で暴れる(超簡単に要約すると)寄生虫に感染することもあるので見かけても決して触れないようにしてください。そんな機会があれば自治体の担当者か、アイディーサービスにでも連絡を。
さて、だんだん暑さがひどくなってきますが、動物たちの移動範囲も広がってきます。皆さんも奇妙な物音や足跡にお気をつけて。