ここ数年、心療内科系の患者さんがとても増えました。
精神科医や心理カウンセラーの書いた本を読むことも多いのですが、こんなのはいかがでしょう。
一部の患者さんにおすすめしている本でもあります。
『傷を愛せるか』(宮地尚子、ちくま文庫)
帯に、
弱いまま
強くある
ということ
ケアとは何か?
エンパワメントとは何か?
トラウマ研究の第一人者による、
深く沁みとおるエッセイ
とあるように、著者はトラウマ研究の第一人者。一橋大学大学院社会学研究科教授で、精神科の医師として臨床をしながら、トラウマやジェンダーの研究を続けておられます。
宮地さんを知ったのは10年ほど前。心療内科系の患者さんが増え、勉強のためにと読んだ本のなかの一冊が、先生の書かれた『トラウマ』(岩波新書)でした。
その中にこんな文章があり、大いに腑に落ちたものでした。
もちろん、心の片隅に傷痕や痛みは残り続けることでしょう。起き上がれない日もあれば、誰とも会わずに心を閉ざしておきたいときもあるでしょう。痛みや苦しさをなくすのが目標ではなく、それらを抱えながらも少しずつ生活範囲が広がり、生きる喜びや楽しさを時々でも味わえるようになることが、回復の現実的な目標といえるかもしれません。(『トラウマ』宮地尚子著、岩波新書)
臨床をしていると、「何かをする(doing)」というより、とまどいながらも「そばに居続ける(being)」ことの大切さを身に染みて感じることがあります。鍼という治療道具を媒介として、ともに居続け、待ち続けることの重要性を……。
今回紹介するエッセイ集『傷を愛せるか』も、『トラウマ』を書かれた頃の思いがぶれることはありません。
臨床の現場での経験、旅先での体験、映画、留学の際に感じたことを通して「傷を抱えながら生きるということ」を主題に書かれています。表題の「傷を愛せるか」もまた、ワシントンのベトナム戦没者慰霊碑からはじまり、天童荒太作『包帯クラブ』(ちくまプリマ―新書)を引用しつつ、主題「傷を抱えながら生きるということ」に一気に迫ります。
とても静かな文章ですが、優しくもあり厳しくもあり、とても現実的で核心的なことが書かれています。
何となく生きづらいと感じている方にもおすすめします。
機会があれば、『トラウマ』もぜひ!
『トラウマ』(宮地尚子、岩波新書)
「人気ブログランキング」にエントリーしています。
1日に1回 クリックして頂けると嬉しいです!
↡ ↡ ↡ ↡ ↡ ↡ ↡
『いど鍼灸整骨院 / 中医鍼灸治療室』のFacebookも適宜更新しています。
Facebookはこちら → ♡
Instagramはこちら→💛
いど鍼灸整骨院 / 中医鍼灸治療室
大阪府八尾市北本町1-1-7
TEL : 072-991-3366
http://www.ido-s.jp/