もうそろそろ芸術の秋ですね!
「累計800万部の大ベストセラー。世界一売れている美術の本」
というキャッチコピーにつられて読んでみました。
『美術の物語』(E.H.ゴンブリッチ、河出書房新社)
関西にいると、美術館や博物館に自然と行く機会が多くなります。元々、私には深掘りする性分があって、それぞれの作品や作者についての知識はある程度あるかと自負していますが、美術史全体を俯瞰して勉強したことはありません。そのため、どうしても断片的で偏った知識しかありません。本書は、私のような初心者が美術のことをイチから学ぶのにうってつけの一冊に仕上がっています。
著者であるエルンスト・H・ゴンブリッチ(1909 - 2001)は、オーストリア系ユダヤ人の美術史家。研究活動の大半を英国で行いました。本書は若い読者を想定して書かれ、1950年の初刊版以来、美術批評の重要文献として広く普及し、世界35カ国以上で翻訳され大ベストセラーとなりました。
なぜそこまで売れたのか…
本書では、原始の洞窟壁画から現代の実験的な芸術に至るまでの美術史をひとつの物語として時系列に描き出しているのですが、そこには特別な専門用語がほとんど見当たりません。平易な文体で綴られています。
そして、多くのカラー図版が収録されていて、まさに目の前に実物があるかのように作品の魅力を味わうことができます。
昔、パリのルーヴル美術館で実物の『モナ・リザ』を観たことがあります。額の中でまさに生きてうごめいているようで気味が悪かったのですが、ゴンブリッチも「薄気味悪いほどだ」と私と同じような感想を述べています。私のような凡人と違うのは、ゴンブリッチは、きちんとその理由(わけ)を解き明かしているところです。「口元と目元」をわざとぼかし、やわらかい陰に溶けこんでいくように描くことで、神秘的で感情を秘めたような表情になっているようです。いわゆる「モナ・リザの微笑み」の謎解きですね。これも拡大された図版を見ながらなのでよく理解できます。
本書は、2007年1月にファルドン株式会社から刊行されました。その後ファルドン社の日本撤退に伴い河出書房新社から新装版として刊行。そして、2024年10月に同社よりポケット版が刊行されています。こちらの方が手軽に美術史が楽しめます。
アート、美術史に興味のある方はぜひ!
『美術の物語 ポケット版』(E.H.ゴンブリッチ、河出書房新社)
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