高島 野十郎(たかしま やじゅうろう)という画家をご存じでしょうか。
没後50年になる「孤高の画家」です。
今日は、こんな本はいかがでしょう。
『髙島野十郎 光と闇、魂の軌跡』(髙島野十郎、東京美術)
高島野十郎(1890~1975)は、福岡県久留米市の酒造家に生まれました。東京帝国大学農学部水産学科を首席で卒業しながらも画家の道へと進み、独学で絵を学びました。終生画壇と交わることなく、自らの理想と信念に忠実に写実表現を追求しました。
それゆえ、先に書いたように、「孤高の画家」として知られます。
そして高島は、蝋燭をテーマに数多くの作品を描いたので「蠟燭の画家」としても知られています。緻密で神秘的な光を発する蝋燭の炎はまさに彼のトレードマークと言えそうです。
個人的には『雨 法隆寺塔』(昭和40年頃、個人蔵)が好きなのですが、この作品はそれだけで一冊の本が書けるかと思うほどの数奇な運命を背負っています。そのことについては本書でも詳細に書かれています。盗難に遭い、水害に遭い、そして火事に見舞われた『雨 法隆寺塔』。その修復の過程も明らかにされています。
本書は今から十年前、孤高の画家の全貌を詳らかにする展覧会『没後40年 高島野十郎展』の公式図録の役割も兼ねて発刊されました。それゆえ、掲載作品数、作品解説まで詳細に書かれています。
写真家・十文字美信さんのエッセイや、井浦新さんへのインタビューや、野十郎ファンでもある川上弘美のエッセイ、専門的な文章では、福岡県立美術館学芸員・高山百合さんの「高島野十郎《蝋燭》の知られざる光」等々、盛りだくさんの内容。
没後50年ということもあり、今年は全国各地で『没後50年 高島野十郎展』が開催されています。私は、大阪中之島美術館で観てきました。人々の心、魂を揺さぶり続ける高島野十郎の深遠な絵画、そして魂の軌跡を垣間見ることのできるパーフェクトな一冊かと思います。(良心的なお値段にもびっくり!)
そして、野十郎に興味を持たれたら、こちらの本もどうぞ
野十郎の生涯を描いた伝記的な作品です。
私が好きな『雨 法隆寺塔』についての文章が心に残ります。
おすすめです。
『野十郎の炎』(多田茂治、葦書房)
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