日本でも売られてきた西ドイツのヴァイオリン | ヴァイオリン技術者の弦楽器研究ノート

ヴァイオリン技術者の弦楽器研究ノート

クラシックの本場ヨーロッパで職人として働いている技術者の視点で弦楽器をこっそり解明していきます。

こんにちはガリッポです。


まずは前回のチタン製のテールガットのことについてです。
私は値段が高いのではないかと指摘しました。調べてみるとドイツのメーカー、ウィットナーのスチール製のテールガットでも値段はあまり変わりません。
ウィットナーのものはスチールが細くてナットに食い込んでしまうので問題があると考えています。その欠点を改良して素材をチタンにして値段が同程度であるなら、考えられた価格設定だと言えると思います。ウィットナーと同程度の価格で改良されてるということです。
一般的に使われているプラスチック製のものが200円位でスチールやチタンのものが2000円するということをどう考えるかです。全世界の弦楽器奏者が使うようになるとなれば値段は安い方が良いでしょうし、マニアックな人だけが使うならそれくらいの値段でも良いでしょう。

世の中の工業製品ではプラスチックのものが多いです。それは値段を安くするためのもので、金属で作られているものの方が高いでしょう。高級時計は金属で作られていてプラスチックで作られているのは安価なものです。

そう考えれば金属製のものの値段が高いのは当たり前のことです。

音について違いがあるということは言えると思います。改善するかどうかは使う人の主観によります。客観的に音が良くなるということは言えません。

エヴァピラッチのような明るく輝かしい音で音量が増加したと感じるかもしれません。エヴァピラッチはずっと高いですし、耐久性も限られています。2000円でもチタンのテールガットのほうが経済的です。


この中国メーカーのチタンのテールガットはビオラやチェロ用もあります。
チェロはウィットナーのスチールのものでももう少し太さがあります。

一方コントラバスはスチールのほうが主流で純粋にプラスチックのものは珍しいです。




西ドイツのヴァイオリン


日本でドイツのヴァイオリンというと80~90年代に西ドイツのブーベンロイトで作られた量産品が多く輸入されていました。その後は中国や東欧の楽器が低価格帯では主流になったはずです。
有名なのはヘフナーやロートなどです。私のところではあまり見かけることはありません。それぞれ過去に一度見たことがあるくらいです。日本やアメリカに輸出するのを主としたメーカーだからです。
珍しくロートを下取りにしたので見てみたいと思います。

こちらでは量産品はノーブランドのものが多いです。ラベルが何もついていないかストラディバリウスなどの架空のラベルがついているものです。メーカー名がちゃんと書いてある量産品は多くありません。ヴァイオリンを製造する中小企業はたくさんあるのですが世界に輸出するにはビジネスの手腕が必要です、とりわけブランド好きの日本人にはメーカー名が必要なのです。

ロートも個人の職人としてマイスターの楽器を作ったのですが、これは工場製であることが書いてあります。
私がこれまで見たことがあったのはマイスター級のものが一度だけでした。今回のようなものは初めて見ました。

日付は癖のある手書き文字ですが7/70と書いてあるように思います。70年の7月でしょうか。
日本に盛んに輸出されていた時期よりも古いでしょう。
そうすると作られて50年ですからよく鳴るのではないかと期待が持てます。

見た目は普通の量産品です。おそらくニスもスプレーで塗られたものでしょう。エアブラシで陰影がつけてあります。

裏板は極端に安い材料ではありません。こちらもスプレーで塗り分けているようです。
角などは丸くなっていて仕事にシャープさがありません。

パフリングは電動のミニルーターに専用のジグを付けて溝が掘られているはずです。現在では表板や裏板を削りだす時に同時に溝まで加工されます。

表板は縦の木目がはっきり出ています。木材が古くなるとこのように年輪がはっきり出てきます。新しい木材とは明らかに違います。アンティーク塗装でわざと黒くしている場合もありますが量産品ではわざとらしいことが多いです。これは自然の色です。

量産楽器でよく見るのはネックの付け根やペグボックスのところが塗装に境目があるものです。マスキングテープを使って塗装した場合もありますし、これはネックの方を後で削って着色したようです。ニスが塗ってあるところはステインが入らないので色が違って見えるのです。量産楽器ではネックまで透明なニスを塗ってあるものがあります。
私は普通はネックにニスは塗りません。持った時にぺたぺたするからです。

当時ブーベンロイトには渦巻を専門に作る職人がいました。しかしこれは機械で作られているようです。

ノミで削ったのとは明らかに違ういかにも機械で作った感じがします。日本のスズキバイオリンでも同じようなものを作っていたでしょう。スズキバイオリンの最も安いものは渦巻きの最後のところがプラスチックでできているものがあります。
その意味では完全な「大量生産品」です。西ドイツの工業技術の高さとも言えるでしょう。コンピュータ制御ではないのですから。
もしかしたらスプレーの塗装が奥まで入りにくいのでそう見えるのかもしれませんが、そのあたりは私はスプレーで塗ったことが無いのでわかりません。


値段は難しい所でもあります。当時としてはかなり安い製品として作られたのは間違いありません。コストダウンのための手法がオンパレードですから。
ただし現在では、他の工業製品でも「ドイツ製」などはよほどの高級品以外にはありません。
同じような手法で作られた量産品なら中国製品よりも品質が良いと言えます。このヴァイオリンもすごく凝ってある感じはしませんが、右から左に流していくように雑に作られた感じはしません。
だから20万円くらいしてもおかしくないと思います。ドイツ製でメーカー名もついているということになると25万円くらいはいけるでしょう。アディダスのマークがついているジャージと同じです。

余談になりますがプーマのスウェットを買いました。これがかなり品質が良くて丈夫です。ドイツ本国も含まれるヨーロッパ仕様のものです。
プーマがどうかは別として日本の場合には日本のアパレルメーカーがライセンス料を払ってマークを付けて売っていることがよくあります。日本人にはメーカー名が何より大事なのです。


見るからに量産品というヴァイオリンですが、板の厚みを測ってみると薄めに作られています。私が作るものに近いです。

私はいつも「見た目は悪くないけど、表板を開けると中がひどい」楽器が多いことを言っていますが、これについて言えば珍しいそうではない例です。
70年の当時としては近代的なものです。
世界に楽器を輸出するだけ先進的な経営をしていたのでしょう。

気になる音は

50年も経っていて板も薄ければとても期待が持てます。
実際に弾いてみるとまさに予想通りの音です。まずとてもよく鳴ります。とりわけ低音は分厚く豊かな音がします。低音は板の薄さからくるものでしょう。

これで20万円なら驚くほど音が良いヴァイオリンと言えるでしょう。音で値段を決めるなら50万円以上でしょう、しかしさっきのようにコストを下げるための製造法が取られているのでこれは安い楽器です。

ただし楽器のキャパシティとして硬さは感じます。量産品特有の硬さです。それは私が気にするだけのことで誰もが気になることではないでしょう。音もやや硬めです。でもとても鋭い音がするわけではありません。
この硬さが楽器自体の硬さなのか、例えばニスに分厚い人工樹脂のが使われているからなのかわからない所です。この楽器のニスをはがして塗り直せばそのあたりのことは分かりますが、研究が仕事ではないのでできません。

もしそうならニスを変えれば音も柔らかくなりハンドメイドの楽器と変わらない音になるかもしれません。ニスの塗り直しや工場製の白木のヴァイオリンを買って、自家製の天然ニスを塗ったときは柔らかくなりました。
それだけで音の良いヴァイオリンになるかもしれません。


ともかく初心者から中級者くらいなら楽器が勝手に鳴ってくれるようなものが求められます。それについて言えばまさにそんな楽器です。
上級者になると何を弾いても力強い音を出すのでこの硬さが今度は邪魔をするようになるでしょう。

音色はものすごく暗いということはありませんが暗めのものです。私はちょうどバランスがいいくらいに思います。明るめのオールド楽器くらいの感じです。新品の中ではずっと暗い方でしょう。

もし日本に輸入されていたものがこのようなものであれば「ドイツの楽器は音が暗い」ということが言えたのかもしれません。しかし私はたくさんのドイツの楽器を見てきていますが、音色はいろいろです。暗い音のほうがオールドやモダン楽器のように暖かみや味があり好まれるので暗い音の楽器を探している方です。そうなると戦後のドイツの量産品で暗い音のものは珍しいという印象を受けます。

実はブーベンロイトは西ドイツに位置しますが流派としては東ドイツの流派です。戦争が終わってドイツが東西に分かれるときに、チェコや東ドイツにいた職人たちが西ドイツに引き上げて来て産地を作ったのがブーベンロイトです。位置はニュルンベルクの近くです。

それに対してもともと西ドイツにはヴァイオリン職人がいました。大きな産地はミッテンバルトでそれ以外はどこの都市にも職人がいるという状況でした。どこの街にもオーケストラがあり、アマチュアや子供から弦楽器の演奏が盛んだからです。西ドイツのマイスターというとこのような職人の作るものでブーベンロイトとは全く違う流派のものです。

日本にはブーベンロイトのものが「西ドイツのヴァイオリン」として輸入されました。それに対してハンドメイドのクレモナの楽器が高級品として売られたのです。
西ドイツのマイスターの楽器は日本には輸入されていません。日本人が知っているドイツのヴァイオリンは偏っているということです。実際に国際的なヴァイオリン製作コンクールでドイツは常に上位に入賞者を出しています。基本的な教育水準の高さを意味しています。

どこの国でも今は関係がありません。


そしてブーベンロイト製もクレモナ製も日本で売られているのと同じメーカーのものをこちらではほとんど見たことがありません。

ミッテンバルトのヴァイオリン製作

オールドの時代からドイツの大きなヴァイオリンの産地はマルクノイキルヒェンなどザクセン州です。戦後は東側になってしまったので、西側ではミッテンバルトが中心地となりました。ミッテンバルトはマティアス・クロッツ云々の話から始まるわけですが、生産量としてはマルクノイキルヒェンよりもはるかに少ないようです。

ロンドンやニューヨーク、クレモナなど国際社会ではマティアス・クロッツ云々のところで知識が終っていますが、実際にはモダン楽器も作られました。1800年代になると独自にフランスのモダン楽器を真似たものを作っていました。これが不思議と音が悪くなくプロの演奏者にも愛用されています。
オールドの時代から続くノイナー家のルードビッヒがヴィヨームの弟子として働いてフランスの楽器の製造法をミッテンバルトに伝えました。ノイナーはその後ベルリンに自分の工房を構えます。ノイナーの自作の楽器は全くヴィヨームと同じと言っても良いものです。値段は300万円くらいですからお買い得です。
色味などは若干違いますが作りは完全にフランス、それもヴィヨームです。当然年代は少し新しくなります。

ミッテンバルトではノイナー&ホルンシュタイナーという会社で大量生産をしました。これもミルクールの楽器に近いくらいの値段がついています。

このようにしてミッテンバルトにはフランスのモダン楽器の製法が伝わりました。このため1900年ごろのミッテンバルトの楽器にははっきりとフランスの影響が感じられます。

マルクノイキルヒェンの方も弓ではフランスで修行した職人が弓づくりを伝えています。H.R.プレッチナーなどは有名です。ヴァイオリンもモダン楽器の量産ではフランスの影響が強くあります。アンティーク塗装はまさにその例で、特にヴィヨームの手法によく似たものもあります。
それに対してチェコのボヘミアではイタリアの影響が強くあります。

戦後になるとミッテンバルトでもイタリアをはじめとする国際的な作風となり世界の違いがほとんどなくなってしまいます。

話が長くなりましたがこんな楽器がありました。

これはミュンヘンで1918年にグスタフ・グラゼックという人が作ったものです。作者は全く有名ではなく、本には生年月日と亡くなった年が書いてあるだけでした。

私はこれを見たときに「ミッテンバルトっぽいな」と思いました。どこで修行したかは本にも書いてありませんが慣用句で「顔に書いてある」と言うように「楽器」に雰囲気が表れています。

大雑把に見ればミルクールの路線です。しかしディティールはミルクールとは違いがあってフランスのものではありません。

アーチの感じもミルクールみたいですが何かが違うのです。
具体的にどこがどう違うということもあるのですが、雰囲気が違うのです。
このような違いを再現するのは非常に難しく、そこで修行しないと身につかないものです。ミッテンバルトはフランス風になったとはいえ、それが近代のミッテンバルト風なのです。

裏板はランクの低い木材で着色もされていません。「亜麻仁油の目止め」というのがミッテンバルトの伝統で木材は着色せずに亜麻仁油を塗りこんであります。これは乾燥するのに時間がかかるので長い時間太陽光にあてて干しておかないといけません。今なら紫外線のライトがありますが昔は一年乾かすなんてことはあったでしょう。
日本でも無量塔蔵六氏がミッテンバルトのヴァイオリン製作学校で学んで日本で学校を作りました。今でも東京には同様の目止めをする人がいるかもしれません。話は聞いたことがあります。

ニスはアルコールニスで刷毛で塗った跡が残っています。
アルコールニスではオレンジ色の染料が多く使えるので色からしてもアルコールニスという感じがします。

スクロールは手作りの感じがあります。

クロッツ家のようなオールドの時代とは全く違うフランス的なものです。よく見ると指板の幅とペグボックスの幅が一緒になっています。指板の延長線上にペグボックスがあります。
これがフランスのものならペグボックスのほうが指板よりも幅広くなっていてナットのところから急に細くなっています。
それからフランスのものはペグボックスの壁の外側だけ面取りをしています。これは内側もしています。これはミッテンバルトのはっきりした特徴です。

このような細かいことでもミッテンバルトの流派だとわかるわけです。

クオリティはそれほど高くありません。一流の職人と言えるレベルではなく、今ならヴァイオリン製作学校の生徒が作るくらいのレベルのものです。
しかし作られた年の年齢を計算してみると30代後半で駆け出しのころに作ったわけでは無さそうです。弟子が作った可能性は否定できませんが。
f字孔などは典型的な失敗です。幅が太くなりすぎています。

これ以下のクオリティでもメディアで紹介されて有名になり250万円以上の値段で楽器を売っている人がいます。
修理をしましたが、ニスはベトベトで耐久性が無くほとんど剥がれ落ちていました。10年も経っていないものです。
ニスの色もアマチュアの職人が独学で作ったもののようでした。
口がうまければ「楽器は音が大事で見た目は大事じゃない」と音楽家を説得することができます。
しかし実際に音も大したことはありませんでした。
工業製品として最低限の品質もなく、製作学校の並以下の生徒のようなもので巨匠のふりをして楽器を売っているのです。これが現代という時代です。
それをうちで中古品として販売するなら30万円が良い所でしょう。買い取らないでしょうが。


これはそれよりはましな楽器ですが、値段は50万円くらいでしょう。板は厚めで、フランス風というよりも現代風です。現代と同じような厚みになっています。

作られて100年ちょっと経っていますから音がどうなのかは気になります。並の楽器が100年経ってどうなるかということです。

気になる音は

弦を張って調弦している段階でも、鳴らないなという感じがしました。
弾いてみても音量があるという感じはしません。
3/4くらいのこじんまりした感じの音でいわゆるソリスト的なものではありません。低音には全く量感がありません。

一方で「室内楽的」と言えないこともありません。音は柔らかく耳障りな嫌な音はしません。量産楽器の安っぽい感じでもありません。スケールが小さい分音がはっきりして聞き取りやすいとも言えます。

モダン楽器を10本ヴァイオリンを並べて選んだらまず選ばれないでしょう。しかし、50万円くらいで量産品と比べれば上品で優しい音の楽器だと差別化はできます。
弓が弦に触れたとたんにギャーと音がする量産品に比べるとじわっと音が出るので微妙なニュアンスも出せることでしょう。
他に比べる楽器が無ければ普通に使える楽器だと思います。

このように楽器の音というのは良いとか悪いとか言うのは難しいです。


この楽器は柔らかい音がするものですが、理由は全く分かりません。外から見て予想はできませんでした。

板が厚いので低音が出にくく、音が重く楽器から出にくい感じは予想できました。
しかし板が厚い楽器でも予想を裏切る音の可能性もあります。

見た目にも消極的で気の弱い感じがします。作者の性格が音に出ているような感じもしますが何の根拠もありません。後から言っているだけです。

いかにもモダン楽器というフラットなアーチと作風でも室内楽的な音になるのです。

ドイツの音?


私はおざっぱに4つに音を分けます。
順番はどうでもいのですが

①明るくて柔らかい音
➁明るくて鋭い音
➂暗くて柔らかい音
④暗くて鋭い音

ロートのものはどちらかというと暗くて鋭い④ですが、極端にそうではありません。人によってはちょうど良いという人もいるでしょう。
グラゼックのものは明るくて柔らかい①です。

私の作るものは暗くて柔らかい音の➂です。最初のころ作っていたのは①でした。板の厚みもこの楽器と似ていて音も似た傾向です。ただし100年経っても鳴らないというのはグラゼックはさらに板が厚すぎるのかもしれません。
その後オールドやモダン楽器を研究し板を薄くすることで音色が暗くなり③になったのです。
しかしどちらも柔らかい音であることには変わりません。

なぜ柔らかいのかわからないのです。何年か前に趣味でヴァイオリンを作りたいというおじいさんに工房で教えたことがあります。先輩が教えて、殆ど先輩が作ったようなものでしたが2本作ったうち両方ともうちの会社ではできた事のないような鋭い音のものでした。

材料やニス、寸法など全く同じものを使っています。未熟でクオリティが低かったからということも考えられますが、高いクオリティでも鋭い音のものはあります。

このグラゼックも私と同じように柔らかい音のものを作る人なんでしょう。癖としか言いようがありません。
全体としてモダンや現代では鋭い音の楽器を作る人や量産品のほうが多い印象があります。それらは珍しいとは思いません。

柔らかい音のほうが刺激が少ないので静かに聞こえます。鋭い音のほうが強く感じます。しかし鳴るというのはそれとは違います。

柔らかくてよく鳴る楽器もあります。これは珍しいものです。

フランスのモダン楽器の影響が強いのがドイツのヴァイオリン製作です。しかしフランスのものと見間違えることはありません。どうしてもフランスの楽器の感じが出ないのです。フランス人を含めた現代の職人も同じです。私にとってはイタリアのオールド楽器だけでなくフランスのモダン楽器も憧れのものです。

そんなフランスっぽいミッテンバルトの楽器は長らく目にかけていません。数として多くないのです。

来週には1年続いてきたフランスのチェロの修理が終わるかどうか。
全然作業が進まない「地獄の仕事」でした。フランスの楽器の話もまたしましょう。


ドイツの楽器でもいろいろな音があり、「ドイツの音」なんてものはありません。クラシックファンにはドイツ音楽の愛好家も多いでしょうからドイツの音のヴァイオリンがあれば良いのですが残念ながらそんなものはありません。オールドになればさすがに作風に地域性が出てきます。中にはドイツのオールド楽器らしいとイメージするようなものもあるでしょう。

ましてや日本に輸入されていたのは限られたメーカーの量産品だけでした。

ドイツのワインもそうですね。
バブルのころ甘口のドイツワインを宣伝して女性市場を開拓しようとしたのでした。昔は女性はあまりお酒を飲みませんでしたから、甘口のワインなら飲みやすいということでニーズに合致したのです。スーパーなどには必ず甘口のドイツワインがあります。

実際にはドイツにはいろいろなワインがあり白だけでなく評価の高い赤ワインもあります。辛口のワインもあります。好みによって好きなものを飲んでいます。
でも日本でポジションが定まって商品価値があるのは甘口の白ワインだけなのです。

だいたい外国のものなんてそんなものです。何十年も前のところでイメージが止まっているものです。なぜが外国人に人気の商品というのもありますね。