スマホ詰パラの個人的10年史③ 2011年 | 不況になると口紅が売れる

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 北海道の北村憲一さんという人から突然手紙が来て、『四百人一局集 古今詰将棋作家名鑑』というアンソロジーを出すので、おまえも代表作を載せて原稿を書けという。

 むむむ…。

 正直、「詰将棋作家」を名乗るほどの実績もなく、宗看・看寿と並んで掲載されるなど400年早い。

 当初は断わるつもりだったが、では『五百人一局集』を出す頃にちゃんと活躍(生きている?)できている自信は全くないのて゛、お言葉に甘えて引き受けさせてもらうことに。

 同書は7月に刊行され、P403を自筆で汚すこととなった。お恥ずかしい限りである。

 しかしこの本を読んでひとつ感じたのは、詰将棋作家は皆「顔が面白い」である。

 あるいは個性的と言い換えてもいい。

 「他人と同じこと」で安心する大半の日本国民と異なり、「他人と違うこと」をよしとする変態集団?なのがよくわかった。


 携帯アプリ「山川悟の詰将棋」や、「コンテンツがブランドを創る」(同文館出版)の話も進んでいた。

 そんな矢先に大変な出来事が起きた。

 あの東日本大震災である。

 忘れもしない、うすら寒い3月11日、教授会のさなかに半端ない揺れを幾度か感じた。

 その日は結局帰宅できず、研究室で一夜を過ごした。

 

 そしてこのあと、東京電力という会社は、原発の必要性を思い知らせるだけのために、計画停電という天下の愚策を導入する。

 その際、首相の菅直人が住む武蔵野市は対象外とするなど、忖度だらけの施策であったのはご存知の通りである。

 その被害額たるや相当なものだと思うが、現在それについて指摘する人がほとんど見られないのはどうかと思う。


 だがこの数日間の暗闇のお蔭で、静かに考えるところもあった。

 詰将棋には何もできないのだろうか、ということだ。

 恐慌や戦争、震災など、社会が暗い雰囲気で落ち込んでいる時こそ、人々はエンタテインメントを求める。

 それは『不況になると口紅が売れる』で、自ら書いたことである。

 こうした中で一番楽しんでもらえる詰将棋とは…と思いを巡らせたときに浮んだのが「曲詰」であった。
 暗闇の中、脳内であぶり出し作をいくつか創作したのも良い思い出だ。

 この時作ったものをベースとして、のちにスマホアプリ「山川悟の詰将棋③オール曲詰」につながっていく。


 ただしスマホ詰パラへの掲載は、この年わずか4作であった。 

 


▲「山川悟の詰将棋」③より 詰め上り「K」
 

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