第五弾は「勝つために必要な心」。
著書はこの人、羽生善治名人以外には考えられない。
「優勢」にするための手順は、定跡書にたくさん書かれている。
しかし問題は、優勢から勝利に持っていくための心の持ち方である。
慢心しないのはもちろんだが、あまり安全運転しすぎて逆転されるということもしばしばある。
優勢のときほど強気で行かなくてはいけない場合もあるわけだ。
逆もある。
たとえ非勢でも、開き直ったり、一発逆転を狙ったりせずに、「離されないようについていく」指し方とか、である。
そういう「心の持ち方」についての羽生さんのアドバイスは、たぶん大変参考になる。
具体的な局面を示し、「次の1手」ではなく、「ここでどのような心の持ち方をすべきか」を問題として出す。
観念論や対談はもういいから、実戦的な内容で構成してもらえると嬉しい。
ある程度以上の技術を持った者同士の対局の場合、そういうメンタルな面の差がものをいう。
恐らく、プロも必読の書となるはずだ。