こんな棋書が欲しい② 「将棋のパラダイム」 | 不況になると口紅が売れる

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 第二弾は「将棋のパラダイム」という書籍である。

 これはぜひとも、勝又清和六段に書いてもらおう。


 「将棋世界」で連載中の「これならわかる!」をまとめて出版されても十分面白いのだけれど、もう少しロングレンジで、将棋の考え方がどう変わってきたかを論評してほしいのだ。


 「パラダイム転換」という言葉がある。

 天動説が地動説になったのもそうだし、日本が戦争礼賛から平和主義に転換したのも、パラダイム転換といえばそうだろう。

 将棋においても、棋士の考え方の基盤が大きく変わるきっかけとなった戦法の歴史を説明してくれるといいかな、と思っている。


 例えば、「穴熊戦法」の登場は、1手早ければ何をしてもよいという気運を生んだ。そのせいで、終盤の1手争いが極めてきつくなり、ある意味でシステム化されてきた。

 また、「藤井システム」は、振り飛車は玉を固めてなんぼという考え方から、場合によっては居玉が安全という、発想の転換を生んだ。

 「1手損角換り」に至ってはもう、序盤の手得は優勢につながるというそれまでの常識を、根本から覆してしまった。

 これ以外にも「丸田流ひねり飛車」「升田式石田流」「立石流四間飛車」「中座飛車」「ごきげん中飛車」など、パラダイム転換を促進した戦法はいくつかある。

 これらが登場する以前と以後との棋譜を比較し、価値観が換わった典型的な一手を採りあげてみる。

 極めて面倒な作業だが、そんなことは勝又先生にしかできない仕事であろう。


 実は常識というのは、その時代その時代の一種の「幻想」である場合も多い。そして、それに囚われない考え方が、新しい指し方を生み出す。

 こうした革新的な戦法が現れると、「今までの常識」とは何だったのか、そして「これからの常識」とはどういうことなのか、そのあたりが見えてきたりする。

 そうした価値観転換の歴史を、そう、木村時代から現代まで、長期レンジで語ってもらうとよいかも知れない。

 意外と温故知新で、過去の考え方が現代に通用する、という例もあるかも…。