【書籍情報】
マスカレード・ホテル
東野 圭吾 (著)
出版社: 集英社 (2014/7/18)
ISBN-13: 978-4087452068

【概要・コメント】
この書籍は書店で山積みにされているときから
気になっていたが,ついに読む機会を得ることができた。

結論からすると,とってもピュアな推理小説であると言える。

推理小説ファンの期待を裏切らない見事な1冊である一方で,
時折,東野氏が見せる(魅せる)圧倒的な世界観や,
新しい小説のジャンルを感じさせるものではないかもしれない。

ホテルという閉鎖空間はサスペンスものでは,
とても頻繁に扱われるし,そのホテルという施設の特異性を使うことで
面白いトリックが実現されるのも,また事実ではある。

一方で,その特異性が故に,前振りの時点で推理の幅がある程度限られてしまい
「あー,そういうことだったのか!?」
という驚きは,やや少ないような気もする。

推理を行う主人公についても,継続作のマスカレードイブでは
ホテルマン(ウーマン?)である女性にも,焦点が置かれているが,
本作のほうではやはり刑事をサポートするという色が強い。

東野氏の作品としては,置きにいった1冊という評価になってしまうであろう。

マスカレード・ホテル (集英社文庫)/集英社
¥821
Amazon.co.jp


【書籍情報】
未来のイノベーターはどう育つのか――子供の可能性を伸ばすもの・つぶすもの
トニー ワグナー (著), 藤原 朝子 (翻訳)
出版社: 英治出版 (2014/5/13)
ISBN-13: 978-4862761798

【概要・コメント】
まず最初に,この本を読む価値があるのか?
答えはYESであり,NOでもある。

この本を読んで強く思ったこと,,,
売れる本を書くためには奇抜な内容を書かなくてはならない。
そして奇抜な内容を読んでも,一方的に感化されない強い精神力が読者には必要だと。

つまり,本を読んでも冷静な判断が出来るタイプの人には,この書籍は読む価値があるが,本に影響されやすいタイプの人には,この書籍はお勧めできない。

本を読む価値の1つとして,これまでにない新しい見方・知識を取り入れることがあると思う。
しかし,広く一般的に認知されている情報・知識というベースなしに本書のような目新しい情報を取り入れることは時に危険だとさえ感じる。

本書籍の内容において,1つ問題だと思うことは,世の中の全ての人間がイノベータになる必要があるのか?
またはイノベータになれるのか?
という疑問に対して,真剣に議論をしていない点がある。

本書の中での論理展開は
さまざまな”先進的な”企業で,イノベータが必要だと言われているから,
イノベータは必要なのだ!
というものであるが,いささかそれを支持する情報に欠ける。

個人的には,イノベータとオペレータの適切なバランスことが良い社会に不可欠だと考えている。
ここでオペレータとは,日々の仕事を”こなす”人であり,1+1=2になるような作業を,少しも欠損させずにきっちりとこなす人のことを指す。

どのような仕事がイノベータであり,どのような仕事がオペレータなのかを厳密に定義するのは難しいが,社会秩序を維持する上で,1から1万を生み出すのではない,地道(地味)な仕事というのも尊敬されるべきであり,それが近い将来,そして遠い将来も無くなるとは到底思えないし,無くなるべきではないと思う。

時折,創造的なイノベーションこそが人間の価値ある営みであり,オペレーションは機械の作業というような乱暴な議論を見かけることがあるが,日々のオペレーションを全く知らない人間が,適切なイノベーションをもたらすことが出来るだろうか?
はなはだ疑問である。

と,本書の問題点はあるものの,科学者として自らの頭を整理するうえで,有用な記述も多数含まれる。

例えばイノベータには,以下の市民生活で求められる新しいスキル(7つのサバイバル術)が必要だが,これだけでは不十分である。

1)批判的な思考と問題解決能力
2)ネットワーク全体におけるコラボレーションと影響力によるリーダーシップ
3)敏捷性と適応力
4)イニシアチブと企業家精神
5)情報へのアクセス力と分析力
6)口頭と書面でのきちんとしたコミュニケーション力
7)好奇心と想像力

上記の7つのスキルに加えて,イノベータの資質には例えば次のようなものが必要である。といった部分である。

・好奇心:すなわちいい質問をする癖と,もっと深く理解したいという欲求。
・コラボレーション:これは自分とは異なる見解や専門知識を持つ人の話に耳を傾け,他人から学ぶことから始まる。
・関連付けまたは統合的思考
・行動志向と実験志向

この本を読んでの,自分なりの理解をまとめると
イノベータは批判的であり,実験的であるべきである。
よって既存の教育者から一方的に与えるような教育を甘んじて受けさせては,イノベータを育てることはできない。
より学際的で,実験的,すなわち子供(学生)自らが学ぶことを定義するような枠組みが必要ということである。

確かに現在の高等教育は,あまりに教える側からの一方的な価値観の押し付けであることは否めない。
その意味で,学ぶ側からの欲求がもっと活かされるな仕組みは重要だと思う。

そして何より重要なのは,そもそも学びたいと子供(学生)に思わせるような仕組みを作りあげることだと思う。

学びはすばらしいことだという価値観だけは,大人が責任を持って教えなければならないことだと強く感じた。


未来のイノベーターはどう育つのか――子供の可能性を伸ばすもの・つぶすもの/英治出版
¥2,052
Amazon.co.jp


【書籍情報】
Pythonスタートブック
辻 真吾
出版社: 技術評論社 (2010/4/24)
ISBN-13: 978-4774142296

【概要・コメント】
これまでLEGO MINDSTORMSやOpenCVなどを利用するために,Webの情報だけからなんとなく利用してきたPythonだが,ここはひとつまじめに勉強をしてみようということで,Amazonでの評価が高かった入門書を読んでみた。

結論から言うと,プログラミング初心者には大変よく出来た書籍である。
しかし,自分にとっては「わざわざ読むほどでもなかったかな,,」と思ってしまった1冊である。

古典的なプログラミング言語の教科書と比較すると,プログラムの基本を一般的な例を挙げつつ,分かりやすく丁寧に説明されているので,初めてプログラムを勉強する人には良いのではないだろうか?

改めてPythonを勉強すると,matlabのオブジェクト指向が如何にPythonのそれをまねして作られているかがわかる。Pythonユーザを引き込みたいというのが,Mathworks
の狙いなのだろうが,果たしてどちらがデファクトスタンダードとして生き残るのであろうか?
今後が楽しみである。

さて,本題とはずれたが,C言語やJavaのプログラミングにつまづいたが,Excelだけでのデータ処理には限界を感じている人は一度,読んでみる価値のある一冊だと思う。

しかしPython 2系と3系のごちゃごちゃは,自分のようなPythonヘビーユーザでないものにとっては,避けてほしいものである。
環境は一つであるほうが結局,みんな幸せになれるのだろう。。。