文書作成ソフトのデファクトスタンダードとなったWordは,その直感的な使いやすさから,ほとんどマニュアルを読まなくても文章を作成できる,優れたソフトである.

 

しかしその直感性故ゆえに,ときおりこちらの期待と異なる挙動を示すことがあり,特に長い文章を書くときなどはストレスすら感じることがある.この書籍はWord をそれなりに使えているユーザが,Word の仕組みを知ることで予想外の挙動に出会うことなく,思いのままにWord を使いこなすための情報を提供してくれる.

 

書籍を読んでの感想は,結局Word もLaTeX と同じような感覚で文章を作成した方が良いということである.つまり段落枚の体裁(フォント種類,大きさ,強調) を一番最初に決めて,そのルールに基づいてテンプレートを作成する.文章を作成するときは,そのテンプレートの書体を呼び出して使うというものである.

 

その他,本書を読んで,記憶に留めるべきと思った箇所を列挙する.

  • P.32: 選択範囲を自動的に調整する機能は余計なお世話なのでオフにした方が良い
  • P.91: “F4” キーを用いれば,同じ書式設定を繰り返すことができる
  • P.96: 箇条書きのインデント調整には,箇条書きを右クリックして「リストのインデントの調整」を選んで,専用のダイアログボックスを用いる
  • P.98: 箇条書きの番号付けを変えるには,箇条書きを右クリックして「番号の設定」を選んで設定する
  • P.118: 書式の解除ショートカットキー.“Ctrl + スペース” =文字書式を解除,“Ctrl + Q” =段落書式を解除
  • P.138: Word のオプションで,和文と英文で同じフォントを使わないようにすることが可能.英文は英文フォントのほうが美しい
  • P.141: 「ホーム」-「選択」-「類似した書式の文字列を選択」で,類似書式を一括選択できる
  • P.142: [標準] スタイルの文字書式はフォントサイズ以外は変えない!!
  • P.176: 表がページの途中で分離するのを防ぎたいとき,最下行を除く行では「次の段落と分離しない」オプションを選定し,最下行では「行の途中で改ページする」オプションをオフにする
  • P.200: 図の位置はアンカーされている位置と一緒に動く.Word オプションでアンカー記号の表示をオンにすべし
  • P.209: ページ内の決まった位置に図を配置するには,「書式」-「位置」-「その他のレイアウトオプション」で配置基準を[ページ] または[余白] に変える.※これにより文字列と一緒に移動するオプションがオフになる.また位置ボタンを押すと配置基準が自動的に余白に変わるので,これを使ってもよい

【書籍情報】
興奮する匂い 食欲をそそる匂い ~遺伝子が解き明かす匂いの最前線 (知りたい!サイエンス)
新村 芳人
出版社: 技術評論社 (2012/3/16)
ISBN-13: 978-4774150130

【概要・コメント】

「本書は名著である。」

まず,そんな結論から書きたい。

匂いについて雑学程度に知りたいと考えて,お気に入りの出版社である技術評論社であれば外しはないだろうと購入してみたものの,なんと雑学レベルなどと言っては失礼なほど,
とても良く出来た書籍である。

匂いの教科書と言っても過言ではないほど,匂いという1つのトピックを多面的かつ深く掘り下げている素晴らしい書籍である。

また遺伝子解析およびその技術発展についても,ずぶの素人が読んでも実に分かりやすく,かつドラマティックに書いている点が大変すばらしい。

あえて1つ残念な点を挙げるとすれば,そのタイトルであろうか。

多数の読者に読んで欲しいと考えて,柔らかめのタイトルにしたせいか,この書籍が一番伝えたいことが,ぼやけてしまっている気がする。

そのおかげで,自分が本書を手に取ったのだが・・・・


本書の中で記憶に残った記述を以下に列挙する。

P.27 光受容体(明暗1個,色覚3個)に対して,嗅覚受容体は約400個

P.35 米軍はにおい爆弾を開発しようとした~中略~
 腐敗した有機体のにおいが最も嫌われる結果が出たものの,絶対的な悪臭の発見には至らなかった。どうやら,あらゆる文化圏にとって普遍的な,不快な匂いというものは存在しないらしい

P.58 果実臭のする分子の多くはエステルである。
P.58 ギネスブックによれば,世界一臭い物質はエタンチオールだそう

P.63 グリシンを除く19種類のアミノ酸はすべてキラル(光学異性体)である。

P.65 L-カルボンはスペアミントの匂いがするのに対して,その光学異性体であるd-カルボンはキャラウェイの匂いがする。

P.77 アミグダリンが分解されると,ベンズアルデヒドと,猛毒であるシアン化水素(青酸)が発生する。このベンズアルデヒドの匂いがアーモンド臭である。 ~中略~ アーモンド臭は「杏仁豆腐の香り」

P.87 嗅細胞は,神経細胞が外界と直接接触している人体で唯一の場所である。 ~中略~ 嗅細胞は30~60日程度で新しいものに置き換わる。一般に神経細胞は新生することはないが,嗅細胞だけは例外である。

P.282 カプサイシンを摂取することと,高温を感じることは全く同じ効果を持つ

 

 

【書籍情報】
失敗学と創造学
濱口哲也
出版社: 日科技連出版社 (2009/10/1)
ISBN-13: 978-4817193278

【概要・コメント】

社員がもっと(自分のように)創造的になって欲しいと願う経営者は多いであろう.
世の中には様々な発想法があるものの,それを用いることによって創造的になったとは,なかなか思えないであろう.
本書籍は失敗の真の原因を上位の概念で集約することで,使える知識として活用することを提案している.
そして,失敗の原因を上位の概念でとらえることが,創造的思考において解くべき問題,達成すべき課題を設定する上で役に立つということを指摘している.
本書籍を読むだけで,社員の全てを創造的にすることは難しいかもしれないが,少なくとも過去の(失敗)情報を使えるカタチで保存し,未来の失敗,そして将来売れる製品・サービスを創造するためのきっかけにすることは可能であろう.

以下,本書籍の中で注目すべき文章をいくつかピックアップする.

  • P.vii: 不良というのはトップ企業の製品に比べられるから不良と呼ばれるのであって,他者が到達できていない高いレベルまで行ってしまえばそれは``技術的限界''と呼ばれるのである.
  • P.25: 知識も組織も上に登らなければ水平展開はできない
  • P.64,65: 性能を評価するのとは別に,弱点を探すために壊す試験を行わなければならない・・・中略・・・ソフトウェアに関して言うと,この破壊試験は``意地悪試験''と言い換えることができる.
  • P.90: マニュアルや自動システムを作る人は賢くなるが,それを使う人は馬鹿になる
  • P.117: なぜ失敗に学ぶと効率がよいかというと,人間は同じ過ちを繰り返す動物だから.過去の失敗と同じか,似たような形で次の失敗が起こるからである.
  • P.125: 手段をそのまま自動化したから間違えたのである.必要なのは,{\bf 機能の自動化}だったはずである.
  • P.127: 優秀な発明者は,自分で課題を設定する
  • P.128: 要求機能を記述するときは,もっとも基本的な要求だけを,手段や方法を含まず,出来る限り厳密な言葉で記述しなければならない.要求機能を記述できたら,発明は半分終わったようなもの
  • P.145: 要求機能を考え直す,上位概念と下位概念を自在に行き来するという思考プロセスがとても重要である.