なんということでしょう
一葉です。
もうあっという間に蓮くんのお誕生日が・・・っ。
でもいいですよね、しょーがない。まだ途中段階ですけど、ご容赦くださいませ。
■ 未彼と未彼女の攻と受け ◇4 ■
2月のスケジュールの件で社さんと話した翌日、私は自分の控室で撃沈していた。
「・・・どうすればいいの。まさか敦賀さんが欲しかったお年玉がお休みだったなんて・・・」
モデルと俳優業をこなしている敦賀さんのスケジュールはとにかく忙しいの一言で、そんなことは代理マネをしたあの時から重々承知していたつもりだった。
そういえば敦賀さんはデビューしてからほとんど休んでないと聞く。
先日のテレビ番組で、そう簡単にもらえるものではない、とスタジオ内の皆さんに向かって敦賀さんが言っていたのはつまりそういうことだったのだ。
そして
昨夜の電話の内容を聞く限り、敦賀さんは無事、社さんからお年玉を受け取れたと推察できた。
なぜなら私にもお年玉をあげると社さんが言ったから。
「あああー!でも社さん!!私が欲しいのはお休みではなくて情報なんです!できれば敦賀さんが喜んでくれるプレゼントを教えて欲しい!それを私のお年玉にして欲しいです~~!」
なんて。
そんなことを声に出して言えたならどんなに良かったか。
でも言えるはずもなかった。
だってどう考えたっておかしいでしょう?
敦賀さんに関するネタをお年玉としてくれ、だなんて。
ああ、でもでも
今年はどうしてくれようか。
何をあの人に捧げたら喜んでくれるだろう。
「はぁ・・・。あのお正月番組からずっと考えているのに、それを本人からさりげなく聞き出すことに精を出していたから、今さらコレと思いつく品物なんて浮かばないわよ」
去年は簡単に決めることが出来て、ある意味すごく楽だった。
反して今年こんなにも悩んでいるのは、敦賀さんと両想いになったことに起因している。
「だって、喜んでもらいたいじゃない。いまだになぜ敦賀さんが私なんかのことを好きになってくれたのかが謎なんだけど、だからこそ喜んでもらいたいじゃない。私で良かったって、せめてそう思ってもらいたいの!!」
そういうわけで、今年のバレンタインは敦賀さん以外の男性にチョコを用意するつもりはなかった。
そもそもバレンタインというのは女の子が好きな男性にチョコを贈る神聖な日じゃないですか。
私は自他ともに認める聖らガールですから、そう考えたらまるで私のためにあるような日だと思いませんか?思いませんね。
「・・・なんて。脳内で一人ツッコミをしている場合じゃないわ」
問題はその前なのだ。
どうして敦賀さんってばバレンタインの4日前に生まれてしまったのかしら。
さんざん考えたけれどいいアイディアが生まれてくるはずもなく、タイマーセットをしておいた携帯がやがてブルブルと震え出した。
「はあ、時間。とりあえず切り替えて頑張ってこないと。今日の仕事が終わったらまた敦賀さんのところに行ってみよう。もしかしたら今日こそなんかピンとくるプレゼントが思いつくかもしれないし!」
立ち上がって気合を入れて、控室のドアを開ける。・・と、目の前に腕組みした見覚えのある男が現れた。
そこにいたのはグループ名だけは愛らしい、ビーグルの悪魔だった。
「よぉ、キョーコ」
「あ、あ、あ、あんたぁぁぁ~!!性懲りもなくまた現れたのね!怨霊退散!!」
「怨霊?いまこのあたりに感知できるような怨霊の気配はないが」
「ああ、そうだったわ。あんたは怨霊じゃなく悪魔だものね!いったい何しに来たのよ。っていうか、気軽に人間界と魔界を行き来しないでちょうだい」
「言っておくが俺は行き来なぞしていないぞ。何しろ俺の家はいま23区にあるんだからな」
「はぁ?あんたの住居事情なんてどうだっていいんですけど。っていうか、どいてくれない?もう現場に戻らなきゃいけないんだから」
「お前が俺から情報を聞き出そうとしたくせに。まあいい、手短に話そう。今年の2月はツアーが入っていて、14日にお前からのチョコを受け取ることが難しい。ということで10日に前倒しで受け取ってやる。もっともお前がどうしても当日がいいというなら仙台で受け取るのもやぶさかではないのだが、お前はどっちを選ぶ?」
「・・・・は?なんですって?」
「だから、10日に前倒しで俺にチョコを渡すか、それとも仙台まで俺を追いかけてきて当日に渡すか、を聞いているんだが」
そこで私はぶちっと切れた。
両肩がわなわなと震えただけじゃなく、私の額にはいくつもの怒りマークが浮かんでいたに違いない。
右手の人差し指を魔界人に突き出し、私は腹の底から叫んだ。
「どっちもお断りよ!」
今年のバレンタインは大本命の敦賀さんと
日ごろからお世話になっている社さんに感謝のチョコを用意するぐらいで、その他の誰にも渡す気はないのだ。
というかその前に大事な大事な敦賀さんの誕生日があって、そのことでいま盛大に頭を悩ませているというのに、こんな奴に構っている時間など1秒だって惜しすぎる。
「そもそも10日に前倒し?バッカじゃないの。その日はこの世に神が生まれた尊き日!あんたなんかのために割ける時間などないのよ!一昨日いらっしゃい!」
「そうか、じゃあ仕方がない。じゃあ14日に仙台で待つことにしてやる」
「はぁ?あんた、人の話聞いてた?!」
「もちろんだ。10日は用があってダメだという話だろう。ならば仕方がない」
「仕方がないって、そもそもなんで私からもらえる前提なのよ、あんたは!」
こんなに日本語が通じないなんて魔界人はほんとうに恐ろしい人種ね!!
こうなったらもうこれで引っ込んでもらうしかないわ。
秘儀、神の威を借るキツネ作戦!
「・・ふ。残念ですけど、今年は私、誰にもチョコを用意するつもりはないの。なぜなら敦賀さんからそう指示されているから。けどあんたがどうしても私からチョコを受け取りたいっていうなら、直々に敦賀さんから許可を受けて来なさいよ。もちろんちゃんとそれを証明してよね。そうしたら考えてあげる」
にやり、と笑みが浮かんだ。
100%自信があった。
敦賀さん効果の絶大性に。
「・・・わかった。そういうことなら仕方がない」
そう言ってそそくさと去ってゆく魔界人の後姿を見送り、私は心の底から勝った!!!とガッツポーズを作った。
勝った!やったわ!
さすが我が神。
彼の方の名前を出すだけでどんな悪魔でも撃退できるなんて
さすがは敦賀さんデスッ!!!!
「あ、いた!何してるの京子ちゃーん?とっくに時間過ぎちゃってるよー」
「はうっ?!いけない、そうでした、すみませんでした!!」
スタッフさんの声掛けで我に返った私は、速足で現場に向かった。
その道すがら、私はどうしようかと再び頭を悩ませた。
ああ、もう本当に敦賀さんのお誕生日プレゼント、どうしよう。
いっそ敦賀さんの方からさりげなくおねだりしてくれないかしら。・・・なんて、他力本願は絶対だめよね。
⇒未彼と未彼女の攻と受け◇5に続く
まだ続く体ですみません。内容的には1月終わり~2月初旬ぐらいの出来事なので・・・。ぐぅ・・
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