おはようございます!一葉です。
あろうことか年明け初お披露目作は蓮誕です!(笑) つまり2月までの連載作となります。
だって次の本誌が2月20日じゃないですかぁ。それまで寂しいじゃないですか!
ってことで、原作沿い両想い蓮キョでお届けいたします。
■ 未彼と未彼女の攻と受け◇1 ■
怒涛の年末を乗り越え、めでたく新年を迎えた。
つまりもうすぐ冬休みが終わり、新学期が始まってしまうということだ。
余裕なんてこれっぽっちもない、という焦燥感にかられながら、私は社さんから聞き及んだ今日この時間の敦賀さんの仕事場であるテレビ局に潜入していた。
「 あっ 」
ターゲット、発見!
「 あけましておめでとうございます、敦賀さん、社さん! 」
紅葉でもあるまいし、潜入というのはいささか語弊があるだろうか。
なにしろ今こうして堂々と挨拶なんてしちゃっているわけだし。
でも、心情的にはそれが一番的確な言葉だった。
なぜなら私は、とある情報を敦賀さんからさりげなく聞き出すことを目的としているのだ。
つまり、いま私は潜入捜査中なのである。
「 キョーコちゃん。あけましておめでとう。今年もよろしくね 」
「 はい、よろしくお願いします!! 」
社さんから柔らかな笑顔付きの挨拶をもらってぺこりと深く頭を下げた。
これには年始の挨拶の意だけではなく、敦賀さん情報をありがとうございます、という感謝の気持ちもこもっている。
年末年始は敦賀さんおよび私自身のスケジュールの都合でお互いに顔を見ることは出来なくて、だけど今日この日この時なら平気だと、社さんがつい先日、私に教えてくれたのだ。
「 あけましておめでとう、最上さん。やっと会えたね 」
「 はい、やっとご挨拶が出来て良かったです 」
実物の敦賀さんに会うのは2週間ぶりだ。
そう。たったの2週間。だというのになぜだろう。
クリスマスに社長さんが開いてくれた感謝パーティで、自分の誕生日になってすぐ、敦賀さんとダンスをしたあの時がもうずいぶん懐かしく思える。
※物語としてキョコ誕とつながっておりませんが、出来事としてつながっている体でお読みください。
「 ・・・でいいかな?キョーコちゃん 」
「 ・・・・・・ 」
「 キョーコちゃん?お-い、キョーコちゃーん 」
はうっ!?
「 え、はい?! 」
「 スケジュールの件で話したい事があるんだけど、蓮の控室でいいかな?って言ったんだけど。一緒についてきてもらえる? 」
「 あ、はい、もちろんです!すみません 」
いけない。つい物思いにふけってしまって外部を遮断してしまった。
せっかく社さんが気を利かせて、私が敦賀さんの控室に入っても不自然がないようにしてくれているのに、そのチャンスをみすみす逃してしまうところだった。
あぶない、あぶない。気を引き締めなきゃ。
「 じゃあ行こう 」
「 はい 」
「 最上さん 」
「 はい? 」
「 ボーっとして何を考えていたの? 」
「 いえ、何も考えていなかったからボーっとしていたんです 」
「 ・・・・くす。なるほど? 」
本当はウソです。
どうやって敦賀さんから情報を引き出そうかずっと考えているんです。
元旦を迎えた日の朝、私は大将が腕を振るったおせち料理を頂きながら、おかみさんや大将と一緒にお正月の特番を観ていた。
『 おや、敦賀さんが出ているじゃないか、キョーコちゃん 』
『 え?あ、本当です!! 』
『 番宣かねぇ。確かもうすぐ敦賀さんが出演した映画が上演されるんだろ 』
『 あ、そうです、きっとそうだと思います!! 』
敦賀さんの話題になると大将はぐっと寡黙になるけれど、逆におかみさんの口は軽くなる。
新年早々に敦賀さんを見ることが出来るなんて、思いがけないお年玉をもらっちゃったような気がして私の気分はウキウキで、しばらくおかみさんと楽しく会話を弾ませていた。
お正月特番ということもあって出演者の話題もそれらしいネタでいっぱいで、おせちや初詣から始まって、お年玉はあげる立場ですか、もらう立場ですか、なんていう会話に移行していた。
『 俺はあげる立場よ~。甥と姪がいるからさー 』
『 私もあげる方ですけど、一応私まだ10代のアイドルなので両親からはもらいます 』
『 えーうそぉ?仕事してガッポガッポ稼いでいるのに?!逆にあなたがあげなきゃでしょ? 』
『 そんな稼いでいないですよぉ! 』
『 おおっと、その真偽のほどはさておき、敦賀さんはどうですか? 』
『 俺ですか?もちろん俺もあげる側ですよ。でももしお年玉をもらえるとしたら・・・。お金じゃなくて、今年は欲しいものがあったりするんですけどね。なんて、ははは 』
『 え?! 』
その一言で思わず耳をダンボにした。
予想外な敦賀さんのつぶやきに出演者たちも食いついていたけれど、たぶん私ほどがっついた人はいなかったと思う。
『 敦賀さん、それ参考までに何が欲しいか伺っても? 』
『 さすがにそれは内緒です。だってこの年でお年玉が欲しいなんて恥ずかしいじゃないですか 』
『 えー、恥ずかしくなんてないですよ。教えてくれたら私がそれをプレゼントしちゃうかもですよ? 』
『 いえいえ、言えないです。そう簡単にもらえるものではないので 』
『 えー、そうなんですか?もしかしたらものすっごく高いものとか? 』
『 あるいはめちゃめちゃ希少なもの? 』
『 それってなにぃ?めっちゃ気になるぅ 』
はい、それ私もめちゃくちゃ気になります!!
敦賀さんが欲しいものって一体なに?
だってそれ、ずっと考えていたんだもの。
自分の誕生日が終わってすぐ、私はずっとそれを考えていた。
昨年、初めて迎えた敦賀さんのお誕生日は、日付を間違えて遅れてしまった。今年は絶対そんなことがあってはならない。
しかもプレゼントしたのは羊型の安眠枕で、私は敦賀さんの控室にあった美麗なプレゼントの山を見て、自分の趣味で献上品を選んではいけないことを心の底から痛感したのだ。
私の想い人である敦賀さんのお誕生日は2月の10日。
プレゼントを何にしようか考え込んだらきっとその日はあっという間にやってくる。
だから私は潜入捜査に及ぶことにしたのだ。
あわよくばお年玉として敦賀さんが欲しいと言ったそれを、何とか本人の口から聞き出すために!!
でもそこはあくまでもさりげなく
出来ればスマートに実行したい。
想いを通じ合わせた男女らしく
ツーと言えばカーといった具合に察したいのだ。
「 蓮 」
「 はい? 」
「 なんかキョーコちゃん、一人百面相してるけど 」
「 ですね。ま、いつものことなのでもうちょっと待っていてあげましょう。自力で現実に帰ってくるまで 」
「 お・・・おう・・・ 」
まだ想いを通じ合わせただけで、私は敦賀さんの恋人でも何でもないけれど
だからこそ
敦賀さんが欲しいと思っているものをせめて私が用意したい。
だって喜んで欲しいから。
喜ぶ顔が見たいから。
それが一番うれしいから。
⇒未彼と未彼女の攻と受け・2に続く
後編2に続くのにゃぁぁぁ♡(〃∇〃)
Please do not redistribute without my permission.無断転載禁止
◇有限実践組・主要リンク◇