指先の嫉妬 ◇5 | 有限実践組-skipbeat-

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 お待たせしました。

 84000キリ番GREEN23様からのリクエスト最終話をお届けです。

 

 前話<指先の嫉妬1

 


■ 指先の嫉妬 ◇5 ■

 

 

 

「まだ俺に隠していることがあったなんて・・・」

 

 

 地獄の底から響いているのではと思えるほど禍々しい声音で敦賀さんが呟いた。

 

 瞬間ぞっとしてしまったのは、下ろせなくしたはずの背中のファスナーが下ろされてしまったことで、肌が空気に触れたからだろうか。

 

 

 私を正面から抱きしめていた敦賀さんの腕に力がこもり、背中に痛みを感じた。

 押し付けられた敦賀さんの胸板で息苦しさを覚えて、息継ぎをする金魚のごとく私は天井を仰いだ。

 

 

「それがあったのはいつ?と聞いたら、君は素直に答えるのかな」

 

 

 その低い声がめちゃくちゃ怖かった。

 こうなるって分かっていたから、このことは墓場まで持っていく気でいたのに。

 

 

「なに涙ぐんでいるのかな、最上さん。ああ、もしかしたら・・・俺が怖い?」

 

 

 はい、そうですね!

 

 自慢じゃないけど最上キョーコ

 あなたと出会ってから今まで、いろんな敦賀さんを見てきたつもりですけど

 

 あなたのことを怖いか怖くないかで言ったら、断然怖いの方が多いですから!!

 

 

「ごめん。真顔でこんなことを言っていたら怖いよな?大丈夫。俺はもう怒ってないよ。だから正直にさっきの俺の質問に答えてごらん?」

 

 

 いやあぁぁぁ、それ絶対嘘ですよね、敦賀さん?!

 だってとびっきりのウソ・毒吐き紳士スマイルでほほ笑んでいらっしゃるじゃないですか!

 

 

「最上さん」

 

 

 ひやりと冷めた声で名前を呼ばれてすぐに悟った。

 黙っていられるはずがないって。

 

 

「あの日です!」

 

「あの日?」

 

「敦賀さんが予定より一日早く軽井沢に来てくれた、あの・・・」

 

「ああ。君を助けたのは自分だと、ホテルで俺と一緒の部屋にいた君を探しに来た不破が俺に宣戦布告を告げに来たあの日のことか」

 

 

 宣戦布告って。

 しかもその言い方。

 

 確かにそれもあの日あった出来事ですけど。

 

 

「・・ハイ、そうです」

 

「そう、か。だからあんなエラそうな態度だったんだ、あいつ」

 

「あの、でも・・・ひゃうっ?!」

 

 

 軽く開けられていたファスナーがさらに下ろされて行って思わず声が上ずった。

 体を起こそうと腕に力を込めたけど全然意味なんて無くて、私は敦賀さんに拘束されたままだった。

 

 

「ちょっと待っ・・・どうしてファスナーを下ろすんですか?!」

 

「腹が立つから」

 

「すみませんでした!!でもこのことを黙っていたのはこんなにも時間が経っちゃっていて・・・」

 

「それじゃない」

 

「え?えっと、今日私が出演したのは・・」

 

「社長に言われたからだろ。それじゃない」

 

 

 ええぇぇぇぇ?

 じゃあ何に腹を立てていらっしゃるんですか。

 もう全然わからないぃぃぃい。

 

 

「最上さん、正直に答えて」

 

「ひゃい」

 

「そもそもなぜファスナーを下ろされたんだ」

 

「それは、逃げに逃げまくって森で捕まってしまって」

 

 

 スリッパも履かずにストッキングだけだったからとにかく足が痛くって

 

 あっという間にあいつに追いつかれて腰が抜けて

 

 力づくで腕を引っ張られて、強引に引き寄せられたら身体が動かなくなってしまって

 

 それで、私の喉笛に喰らいつくために魔界人が背中のファスナーを・・・

 

 

「それがどれだけ危険な状況だったか分かってる?!」

 

「もちろん分かってます!!」

 

「それで不破が登場したのは?」

 

「あいつが喉笛にかみつこうとする直前で・・・」

 

「・・・・・そう」

 

 

 その時よりさらに深く、敦賀さんの手でファスナーが下ろされた。

 その様を私の肩越しに覗き込んだ敦賀さんが忌々し気に呟いた。

 

 

「本当に腹が立つよ。こんな君の姿を俺以外の男に、しかも二人の男に見られていたってことも、君を守ることが出来なかったあの時の自分にも」

 

「えっ」

 

 

 っと。それは正確に言うとあの場に緒方監督もいたので目撃者は3人で・・・って、いま言うべき?

 それとも今度こそこれは墓場まで?

 

 

「・・・っ・・」

 

 

 私を抱きしめる敦賀さんの腕にさっきより強い力が加わっていた。

 

 

 この状況で敦賀さんにどう声をかければいいかしら。

 

 二人じゃなく三人なんですよって

 言いにくいことこの上ない。

 

 

「・・・あの」

 

「こんな思いをするぐらいなら、いっそ今このまま俺が手込めた方が・・・って、いくら何でもそれは混迷しすぎか」

 

「いいですよ!!」

 

「え?」

 

「どうぞ、敦賀さん、ご存分に私を捏ね回してください!それで敦賀さんの気が済むのなら」

 

「は?」

 

「それでもすみません。パン生地のように叩きつけるのは3回ぐらいにしていただけますか?それぐらいなら耐えられると思いますので。それと注文が多くて申し訳ありませんが、腰回りの捏ね回しは笑いが漏れることもあると予想できますのであらかじめご容赦ください」

 

「捏ね回しって・・」

 

「その前に!一つだけいいでしょうか。その前にちゃんと敦賀さんにお伝えしておきたいことがあるんです!」

 

「・・・なに?」

 

「二人ではなく三人なんです」

 

「なにが?」

 

「あの、緒方監督もあの場にいたので・・・。えっと、三人・・・・なんです」

 

 

 だいぶ端折った内容だったけれど、私が言わんとしたことが敦賀さんにはちゃんと通じたに違いない。

 

 勇気を振り絞った私からの告白にほんの少しの間はあったけれど、敦賀さんがはっとした瞬間があったから。

 

 それから徐々に敦賀さんは独特なオーラを溢れさせ始めた。

 

 

「・・・そう」

 

「・・・っ!!」

 

 

 どうしよう!!心臓がバクバクしてきちゃった。

 もしかしなくてもこれって正直に告白すべきじゃなかったのかも。

 

 だって私

 本当に苦手なのよ。

 

 夜の帝王の敦賀さんがっっっ!!!

 

 

「敦賀さん、やっぱり今のはなかったことに・・・」

 

「ありがとう、最上さん。せっかくだし君のご厚意に甘えさせてもらうよ」

 

「いえ、いえ!!それはもう」

 

「確かに手込めと手捏ねは似てるよね?けど、まさか違いが分かっていないとか言わないよな?だとしたらその辺も考慮してじっくり君に教えてあげようと思う。今後の君のためにも」

 

「え?え?あれ?え?」

 

「ひとまず寝室に行こうか」

 

「え、どうしてわざわざ寝室に?え、あのすみません!今日はもうこれで失礼し・・・」

 

 

 その場から脱兎のごとく逃げ去ろうとしたけれど、見事に敦賀さんに絡めとられてしまった私は、連れていかれた寝室で何度も敦賀さんに頭を下げた。

 

 

「すみません、敦賀さん!!やっぱり別の方法でお願いできませんでしょうか?!」

 

 

 もはやそれが何のために行われるのかすらさっぱり理解できない状況で

 私を見てにっこりと笑った敦賀さんのそれに、私は全身を震わせた。

 

 

 

 

 

 END


なんか、全然依頼通りの内容になりませんでした。

頂いたリクエストは「レイノにどこまでされたか、どんな風にされたか、キョーコの体を使って蓮様に点検させてあげてください。成立後キスどまりまでで」という内容。

 

そこで改めて15巻を読み返してACT.87の内容を文字起こししたのですが、出来事自体は大きいですけど言葉にするとそうでもなくて、しかもいざその状況に至るように蓮キョを動かそうにも、攻め蓮くんでキスどまりっていうのがどうにも難しくて・・・。

なので勝手に両想いに直してみたのですが、それでもやっぱり弊宅の蓮くんには難しいお題だったみたいですwww

 

なのでタイトルが全然活かされない内容に・・・。

 

ほんと、すみません。力不足で。

リクエストを頂いたとき、めっちゃ面白そう!!ってかなりテンション上がっただけに、全然応えられていなくて本当に申し訳ないです。

お付き合いいただきありがとうございました!

 

 

⇒嫉妬の指先◇5・拍手

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